高齢者給付金で必ず抑えたい3つの制度|消費税・雇用・年金問題の対策に







老後生活は様々な支出があります。家計のキャッシュフロー計画を組み立てて、計画通り進んでいた場合も、国の制度が突然変更して思わぬ負担が生じることも。ただ、その時には高齢者に限定した「給付金」を受け取れることがあります。

また、公的年金を受け取れるか不安が募る昨今、著しく賃金が下がったときに受け取れる給付金もあります。老後生活の支援にはどのような給付金があるのでしょうか。また、「知らなきゃ損をする」といわれる給付金の情報を、的確にキャッチアップするにはどうすればよいのかを考えます。

臨時福祉給付金(経済対策分)

平成26年4月に増税した消費税率引き上げ(5%→8%)にともない、所得の低い方に一律支給した給付金です。制度的な対応を行うまでの「一時的な軽減策」として、対象の人に1人あたり1万5千円を支給します。支給は一度のみです。

対象者前年の平成28年臨時福祉給付金3,000円の支給対象の方が対象となります。この(平成28年度)給付金は住民税が非課税の方が対象です。住民税の課税対象者に生活の世話をして貰っている方(扶養親族の場合)や、生活保護を受けている方は対象にはなりません。ほか、様々な支援給付を受けている方の場合も対象外となります。
給付額対象者1人につき15,000円。支給は1回のみです。
申請方法と期限、申請書類 

実際の配布は住民票のある自治体ごとに異なります。申請書を入手して必要事項を記入し、郵送もしくは直接持参によって申請となります。手続きは自治体によって大きく異なります。

たとえば東京23区のなかでも支給スケジュールには差があります。港区の場合は平成29年3月14日に申請受付開始を開始しておりますが、千代田区はまだスケジュールが公表されていません。

市町村によっては、個人ではなく世帯まとめて手続きをすることができる自治体もあります。

参考:厚生労働省

住民税の非課税対象者における目安

対象者の基準となる住民税の非課税対象者は、給与所得者と公的年金等受給者によって基準が異なります。

給与所得者

区分非課税限度額※給与収入ベース
単身100万円
夫婦(配偶者を扶養している場合)156万円
夫婦子1人(配偶者と子1人を扶養)205万7千円
夫婦子2人(配偶者と子2人を扶養) 255万7千円

公的年金等受給者

区分非課税限度額※給与収入ペース
単身:65歳以上155万円
単身:65歳未満105万円
夫婦(配偶者扶養):65歳以上211万円
夫婦(配偶者扶養):65歳未満171万3千円

※生活保護基準1級地(東京23区等)における非課税限度額

年金生活者等支援臨時福祉給付金

アベノミクスにより日常生活の不安感が増した高齢者世帯や、年金を含めた高齢者所得の底上げを目的とした給付金です。社会保険改革により負担感が増す高齢者世帯を対象としていることに加え、平成29年から開始される年金生活者支援給付金の前倒し的な位置づけにする目的もあります。

支給決定のニュースが報じられたとき、「高齢者向けに3万円を一時支給」として注目されたのがこちらの給付金です。野党からのバラマキという批判も合わせてメディアを賑わせました。

対象者平成27年の臨時福祉給付金の対象者(平成27年の住民税非課税者)において、平成28年度中に65歳となる人に対して支給されます。年金上乗せの意味が強い給付金です。翌年の平成28年の臨時福祉給付金(3,000円の給付金)の対象者で、障害基礎年金または遺族基礎年金を受給している人も対象となります。
給付額支給対象者につき3万円
DVを受けている人は特別な提出書類障害・遺族年金受給者で配偶者からの暴力を理由に避難している方は、別途申出書を提出することで特例措置を受けることができます。
申請方法と期限 平成27年の臨時福祉給付金の対象者、平成28年の障害・遺族基礎年金ともに住民票のある市町村での手続き、受け取りとなります。詳細は自治体ごとに異なります。

参考:厚生労働省

高齢者雇用継続給付金

平成25年4月1日に、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」が施行されました。この法律は、希望する労働者は一般的な定年である60歳を迎えたあとも、原則65歳までの継続した雇用を定めるものです。60歳から65歳までの年金の空白期間に対応したものです。

ただ、60歳以降の給与水準はそれまでの半分以下に下がってしまうケースも多いという問題があります。この部分を給付金で補填するものが高齢者雇用継続給付金です。 高齢者雇用継続給付金は2種類に分けられています。

60歳を過ぎたとき、それまでの勤務先に継続して勤められる方と、一度(定年)退職をして雇用保険給付金を受け取り、再就職をする方に分かれます。高齢者雇用継続給付金は、どちらにも対応できる形態になっています。

対象者

この給付金を受給するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 60歳以上65歳未満、かつ雇用保険の一般被保険者であること
  • 雇用保険の被保険者期間が5年以上あること(基本手当の受け取りがある人は、受け取り終了から5年が経過していること)
  • 60歳以上時の賃金が、60歳時点の75%未満であること
  • 育児休業給付金や介護休業給付金の支給を受けていないこと
給付額

支給期間は、60歳になった月から65歳になった月までです。支給額は、60歳時点の給与額からどのくらい減少しているかによって異なります。

なお、賃金額の上限は平成28年8月1日現在。毎年8月1日に見直される予定です。また、支給額にも上限・下限があります。

同じく平成28年8月1日現在、支給上限額はです。これは現行の給与水準をもとに計算することで、極端な高所得者や、低所得者とのあいだに「不平等感」が出ないことを目的としています。

(1)賃金の低下率が61%未満:支給対象月の賃金×15%を支給

(2)賃金の低下率が61%以上75%未満:支給対象月の賃金×一定の割合(0%-15%)を支給

賃金額によって、細かい支給額要件があります。

手続期限初回申請は最初に支給を受けようとする支給対象月の初日から起算して4カ月以内です。以降の手続きは原則、対象月の月内に行う必要があります。
申請方法と提出書類 

支給を受けるためには原則2カ月に1度、事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に届出をする必要があります。

(1)高年齢雇用継続基本給付金

基本的に事業主が手続きをしますが、被保険者自身で手続きをすることも可能です。①高年齢雇用継続給付支給申請書、②払渡希望金融機関指定届の2種類の書類を提出します。

(2)高年齢再就職給付金

こちらも事業主が手続きをします。①高年齢雇用継続給付支給申請書、②払渡希望金融機関指定届の2種類の書類に加え、一度退職しているため③受給資格確認書を提出します。

参考:ハローワークインターネットサービス

なぜ給付金制度はわかりづらいのか

ここまで高齢者に対する3種類の給付金をご紹介しました。対象世帯や手続きなど、とてもわかりづらいものが給付金制度です。なぜ、このような制度設計になっているのでしょうか。

大きな理由は全体像や長期間の視野ではなく、その時々の景気状況や、消費税増税などに対して都度都度の給付政策を出していることです。野党から「バラマキ」といわれるのもここに理由があります。そこで、給付金の受け取り漏れをなくすためにはどうすればよいのでしょうか。

給付金の情報を的確にキャッチアップするために

給付金の情報を的確にキャッチアップするには、〇〇の給付金制度に対して自身が対象かを給付金ごとに問い合わせるのではなく、「自分自身にはどのような給付金が該当するのか」をまとめて照合することが大切です。

とはいっても行政機関は担当部署が分かれているため、「専門家」に相談するとよいでしょう。労働者の保障制度に詳しい社労士(社会保険労務士)や、一部の税理士やファイナンシャルプランナー(FP)も給付金に詳しいです。

専門家は相談料が高いというイメージがありますが、初回相談は無料としている専門家も多いです。まずは一度、気軽に相談するようにしましょう。









ABOUTこの記事をかいた人

工藤 崇

株式会社FP-MYS代表取締役社長兼CEO。ファイナンシャルプランニング(FP)を通じて、Fintech領域のリテラシーを上げたいとお考えの個人、 FP領域を活用して、Fintechビジネスを開始、発展させたいとする法人のアドバイザーやプロダクトの受注を請け負っている。Fintechベンチャー集積拠点Finolab(フィノラボ)入居企業。執筆実績多数。東京都千代田区大手町。