【2018年度】介護保険制度改正で老後の生活はどう変わる!?知らないと老後破産の危険も。







高齢化社会にどのように対応していくかは、現在の日本にとってとても大きな課題です。そのなかでも大切なポイントが「介護」です。ひとりで、もしくは家族のみで日常生活を送ることが難しくなっている高齢者の方に、どのような法律を定め、どのようなサービスを提供していくのか。民間のサービスを利用しやすいように、どのような金銭的補助をしていくのか。

それは民間の介護会社の仕事だけではなく、国を挙げた取組が必要です。その取組にとって大切な法律が、介護保険法です。2018年(平成30年)、介護保険法の改正が目前に迫っています。

介護保険法の改正とは?

介護保険法は公的年金と同じく、「賦課方式」が採用されています。賦課方式とは、現在の現役世代は保険料納付によって受給世代を支える一方、現役世代が受給世代になる数十年後には同じようにサービスを受けられなくてはなりません。

その前提が継続するように、介護保険法は時勢を鑑み3年に1度改正が行われています。最近は日本の直面している高齢化により、介護保険の財源となる社会保険費の抑制が叫ばれている背景もあり、前回2015(平成27)年度の改正は介護報酬の引き下げや一部利用者の自己負担割合2割化など、利用者にとっても事業者にとってもとても厳しいものでした。今回もこの厳しい流れが継続した改正が予定されています。

2018年介護保険法の改正内容(予定)

2017年現在予定されている、介護保険法の改正内容です。現在は草案であるため、大きな方向性は保たれながらも詳細は変わっていく可能性があります。2017年2月に草案が国会に提出され、審議が開始されました。

これまで介護保険の保険料は、健康保険の区割りによって異なってきました。健康保険制度の第1号被保険者(自営業者など)は所得によって介護保険の保険料額が決まる一方、第2号被保険者(会社員など)は健康保険組合など運営元ごとに決まった税率が課せられていました。

この税率を決めるときに考慮されたのが、それぞれの健康保険に「どれくらいの人が属しているか」という点です。各保険の人数の違いが、多いところには保険料も多く、少ないところには少なく、という方法でした。

この理由は、同じ環境のなかで介護保険を払う人と、介護保険によるサービスを受ける人がどれくらいいるのかという考えに基づきます。この手法は「加入者割」や「あたま割」と呼ばれており、今回の改正で「総報酬割」に変わる見込みです。

介護保険料が「総報酬割」になる

今回の改正はこの加入者割・あたま割を「総報酬割」とするものです。40歳以上の被保険者が所得によって定められて保険料を納める制度のこと。いっけん馴染みがないですが、現在健康保険料や年金保険料に適用されている制度と聞けば理解できる人も多いでしょう。

介護保険料改正のポイント

変更前:加入者割・あたま割:加入形態の母数によって保険料が決定
変更後:総報酬割:1年間の所得額によって保険料が決定

介護に関する政令をつくる権限を政府が有する

以前の介護保険精度は国・都道府県・市町村が一体となって運営されてきました。必ずしも国(政府)が先導的な役割を担ってきたものではなかったのですが、新しい介護保険法は国に「介護に関する政令をつくる権限」を有すると定められます。

これは全体を踏まえた介護保険制度が整備されるというメリットの一方で、いわば国の決定権が強化されるという側面も持ちます。国は都道府県や市町村も自立した介護保険の担い手として制度を定めるとは思いますが、今後政府は強制的な政策を打ち出す土台とする可能性はあります。

「介護医療院」を新設する

今回の改正でもうひとつの目玉が「介護医療院」の開設です。介護は医療分野と密接な関係を持っており、介護と医療の施策を一体化して取り組む政府施設です。今後はこの介護医療院がリードをとって様々な政策決定をしていく土台としての役割を担うことが期待されています。

実際にどれくらい介護費用の負担は増えるの?

現在の健康保険料は、毎年4月から6月の報酬平均額をもとに「報酬月額」を策定し、それをもとに保険料が決定されます。つまり、今後はここに介護保険も加わるという位置づけになります。

現在の協会けんぽ保険料
平成29年3月分(5月1日納付期限分)から報酬月額の1.65%

改正案にもとづく政府の試算では、この改正による保険料の負担増となる人が約1300万人、負担減となる人が1700万人とされています。また、この保険料条項は通常国会終了直後の2017年8月を予定しています。とても急いでいる、「駆け足感」を感じざるを得ません。

どの人が負担増になり、どの人が負担減になるのか現在は明らかになっていません。ただ、これまで負担の少なかったのは加入者の少ない保険制度に加入していた人と考えると、自営業の人などは負担増になる「可能性が高い」といえそうです。

老後破産の可能性

現在の試算で約1300万人の人が負担増になるとすると、今回の改正に老後破産になる世帯も考えられます。介護保険法の改正はミクロな部分ですが、今回のような老後資金に直接かかわる改正が続くと、「老後これくらいのお金がかかる」として貯金や退職金、確定拠出年金などで老後資金の準備をしている人も、貯蓄金額の見直しが必要になってくるかもしれません。

今回の介護保険法の改正で老後、どれくらいの負担増になるかは、まだ草案の段階ですのでわかりません。ただ、現行のままでは国民の老後を支える社会保障費の維持は難しい面、そして現在保険料を納める現役世代が将来受給側となった時に、同質のサービスを受けられない可能性があると判断されたからこそ今回の改正があったものと考えられます。

かつ、介護保険料を納める被保険者となるのは40歳から65歳(介護保険制度における第2号被保険者)です。20歳からの、「介護を受けるのはまだまだ先」という現役世代とのバランスではなく、長くとも25年後には受給を受ける世代とのバランスを見直さなければいけない点からも、現行の介護保険制度の「余裕のなさ」を見て取ることができます。

リバースモーゲージが救世主となる

ここで救世主のなるのがリバースモーゲージです。リバースモーゲージとは、現在住んでいる居住用住宅を担保として抵当権を設定し、金融機関から老後資金を借り入れるというもの。すぐに返済義務は生じず、契約者が無くなった時点で住宅を引き渡すことによって、返済義務を相殺します。遺された家族も返済義務に苦しむことはないという制度です。

金融機関ごとに様々な商品があり、契約者の死亡後に配偶者の環境が整うまで引き渡しを猶予してくれる場合や、通常の返済が可能なら住宅への担保設定を抹消するものもあります。特に一戸建ての所有が多い現在の老後世代にとってはニーズが高く、金融機関側からも様々な商品が生まれています。

このリバースモーゲージを「まだ聞いたことがない」という方は、1度検討しておくことをお勧めします。まずはリバースモーゲージを扱っている金融機関に問い合わせて、「今の住宅からどれくらいの資金を借り入れることができるのか」を査定することが第一段階です。気軽に問い合わせるようにしましょう。

まとめ

老後資金は各家庭において、「いくらぐらい確保しなければいけない」と準備を進めているるものと思います。ただ、その時々の財源の変化などで、今回の介護保険法改正のように「変わる」ことが多いのも事実です。随時、最新の状況を把握しながら、リバースモーゲージのようなサービスを活用し、対応していくことが大切です。









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ABOUTこの記事をかいた人

工藤 崇

株式会社FP-MYS代表取締役社長兼CEO。ファイナンシャルプランニング(FP)を通じて、Fintech領域のリテラシーを上げたいとお考えの個人、 FP領域を活用して、Fintechビジネスを開始、発展させたいとする法人のアドバイザーやプロダクトの受注を請け負っている。Fintechベンチャー集積拠点Finolab(フィノラボ)入居企業。執筆実績多数。東京都千代田区大手町。