離婚慰謝料の相場はいくら?浮気・DV・モラハラなど離婚原因別に解説







相手の浮気や不倫、さらにはDVやモラハラなど離婚する原因は人それぞれと言えますが、離婚の原因によっては相手方に慰謝料を請求することが可能になります。

離婚慰謝料の相場は、おおよそ50万円〜300万円程度が一般的ですが、実際のところは離婚原因や婚姻期間によっても変動します。また、離婚慰謝料の請求時に知っておくべき知識が不足していると、思ったよりも慰謝料が請求できない。という問題も発生してしまいます。

そこで今回は、離婚慰謝料の相場はいくらなのか離婚原因別にお伝えすると共に、離婚時の慰謝料請求で知っておくべき知識を解説したいと思います。

離婚時の慰謝料相場

冒頭でもお伝えをしましたが、離婚慰謝料の相場50万円〜300万円程度が平均的と言えますが、1998年までは厚生労働省が離婚慰謝料の平均額を調査していました。

その金額を参照したのが以下の表となります。

年代離婚慰謝料額(平均)
1980年216万円
1985年336万円
1990年413万円
1995年405万円
1998年380万円

1990年をピークに徐々に離婚慰謝料の金額は下降していると言えますが、結局のところ離婚慰謝料は、離婚原因や婚姻期間によっても大きく変動してしまいます。

そこで、ここからは離婚原因別の慰謝料相場をお伝えさせて頂きます。

離婚原因別の慰謝料金額の相場

離婚慰謝料の金額は下限も上限も法的に決められているという訳ではありません。夫と妻で協議した上で慰謝料の金額を決めることも可能になりますので、「慰謝料請求=調停や裁判」という訳でもないのです。

そのため、資産家の配偶者が慰謝料請求をするような場合に極端ではありますが、10億円の慰謝料を請求すること自体も可能と言えるです。

ただし、慰謝料は離婚する事実に対して支払っている訳ではなく、離婚に至った原因によって受けた精神的な苦痛に対して支払うものになりますので、離婚すれば請求することができる。と勘違いしないようにしましょう。

それでは、離婚原因別の慰謝料相場をお伝えします。

不貞行為(浮気・不倫)が原因で離婚する場合の慰謝料相場

不貞行為(浮気・不倫)が原因で離婚する場合の慰謝料は100万円〜500万円が相場となります。

この金額の幅は、不貞行為の回数や期間などにより変動しますし、不倫相手との間に子供を授かった場合なども慰謝料額に影響することになります。

悪意の遺棄(同居の拒否など)が原因で離婚する場合の慰謝料相場

悪意の遺棄(同居の拒否など)が原因で離婚する場合の慰謝料は50万円〜300万円が相場となります。

ただし、基本的には100万円の慰謝料額が一般的です。

悪意の遺棄は、同居の拒否などが該当するのですが、「そもそも同居しないだけで離婚され慰謝料が請求されてしまうのか?」と疑問に感じる方もいると思いますが、民法752上でも以下の通り明記がされております。

第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

上記のように夫婦は共に一緒に暮らし協力し合う必要があるのですが、別居を選択した場合に関係修復の努力をしたのか?一方的に家を出たのか?などその原因によって慰謝料の金額が増減することになります。

もちろん、単身赴任についてはこの限りではありませんのでご留意ください。

暴力(DV)・モラハラが原因で離婚する場合の慰謝料相場

暴力(DV)・モラハラが原因で離婚する場合の慰謝料は50万円〜500万円が相場となります。

モラハラでの慰謝料請求はまだまだ件数自体は少ないのですが、暴力(DV)やモラハラがどの程度の頻度で発生しどのくらい期間続いたのか?怪我や後遺症が残ったのか?によって慰謝料の金額が増減することになります。

性的不調和(セックスレス)が原因で離婚する場合の慰謝料相場

性的不調和(セックスレス)が原因で離婚する場合の慰謝料は0円〜100万円が相場となります。

性的不調和の代表格はセックスレスと言えますが、こちらもどのくらいの期間セックスレスであったのかが焦点となります。

また、性的不調和には、「過度にセックスを求められ過ぎた」、「特異な性癖があった」などセックスレス以外でも離婚の原因となることを覚えておきましょう。

性格の不一致が原因で離婚する場合の慰謝料相場

性格の不一致が原因で離婚する場合の慰謝料は0円が相場となります。

性格の不一致が離婚原因である場合は、どちらか一方に非があるとは言いづらく慰謝料が請求できないケースが一般的です。ただし、性格の不一致から不貞行為や暴力を振るった場合は、それぞれ慰謝料を請求することが可能になると覚えておきましょう。

離婚慰謝料は婚姻期間と責任の程度によって決まる

離婚原因別の慰謝料相場をお伝えしましたが、「結婚してすぐに不倫をして別れる場合」と「数十年も婚姻生活が続いている夫婦が不倫で離婚する場合」では、決して同じ金額の慰謝料が請求できる訳ではありません。

同様に、「たった1回だけ肉体関係を持ってしまった場合」と「何度も不倫を重ね妊娠までさせてしまった場合」では慰謝料は異なるのです。

要は、離婚慰謝料は婚姻期間と離婚原因の責任の程度によって大きく変動することになるのです。

実際、千葉県弁護士会が11年間の離婚慰謝料の請求事案について弁護士にアンケートを取得したところ、「離婚期間」と「離婚原因の責任の程度」によって慰謝料の請求額が異なることが分かりました。

婚姻期間1年未満1~3年3~10年10~20年20年以上
責任軽度100万円200万円300万円400万円500万円
責任中度200万円300万円500万円600万円800万円
責任重度300万円500万円700万円900万円1000万円

参照:慰謝料算定の実務 第2版

上記を参照しても婚姻期間が長く、責任の程度が重たいほど慰謝料は高くなる傾向がわかると思います。責任の程度について双方の見解が食い違い慰謝料の金額が決まらない場合は証拠を提出裁判によって金額を決める場合もあります。

離婚慰謝料の決められた計算方法はない

では、離婚慰謝料は具体的にどのような計算方法によって算出されているのか?目安や相場ではなく正確に算出できる基準を知りたいと思う方も多いことだと思います。

実は、離婚慰謝料には正確な計算式というものは存在していないと言われております。

そのため、離婚慰謝料は原則双方が合意した金額が慰謝料となりますので、仮に10億円でも100億円でも相手方が合意すればそれで良いのです。とは言え、そのような大金を支払うこともできないでしょうから相場が落とし所になるのが実態です。

また、裁判によって慰謝料の金額を決める場合も、婚姻期間や離婚原因の責任の程度から過去の判例を参照するケースが多いと言えます。とは言え、まったく計算式が無いかと言えば以下のような計算式を活用する場合もあるようです。

離婚慰謝料の計算式

基本慰謝料120万円+相手方の年収3 % × 婚姻年数(最高20年) × 有責度 × 調整係数

婚姻年数
  • 実際に結婚していた期間
有責度
  • 相手方の責任が非常に重たい場合:1
  • 相手方の責任が重たい場合   :0.9~0.2
  • 双方に責任がある場合     :0
調整係数
  • 夫婦間の収入が同程度の場合  :0.7
  • 就業経験がない場合      :1.3

離婚慰謝料を請求する際に知っておくべき5つの知識

ここでまで離婚慰謝料の相場についてお伝えをさせて頂きましたが、ここから離婚慰謝料を請求する場合に事前に知っておくべき基礎知識についてお伝えをさせて頂きます。

離婚慰謝料を請求する際に知っておくべき5つの知識

  • 知識1.そもそも離婚慰謝料とは?
  • 知識2.離婚慰謝料が請求できる場合とできない場合
  • 知識3.慰謝料は誰に請求する?浮気相手にも請求できるのか?
  • 知識4.離婚をしなくても慰謝料は請求できる
  • 知識5.離婚後でも慰謝料請求は可能

早速、それぞれ詳しく解説をしていきたいと思います。

知識1.そもそも離婚慰謝料とは?

離婚慰謝料とは、離婚の原因によって精神的な苦痛を与えた側が与えられた側に対して損害賠償金を支払うことを指した言葉になります。従って、同じ離婚でも精神的な苦痛を与えていないような場合は離婚慰謝料は請求することができません。

その際、離婚慰謝料には「離婚原因慰謝料」と「離婚自体慰謝料」の2つを合計した金額で算出することになりますが、前者の「離婚原因慰謝料」とは、先ほどお伝えしたように不倫やDVなど離婚に至った原因に対して支払う慰謝料となります。

一方で、「離婚自体慰謝料」とは、離婚したことによって相手方に今後の生活に悪影響が出てしまうような場合に支払うものとなります。

知識2.離婚慰謝料が請求できる場合とできない場合

では、具体的にどのような原因で離婚すると慰謝料が請求できるのか一覧表にまとめましたのでご参照ください。

請求できるケース請求できないケース
  • 相手方の不倫などの不貞行為
  • 悪意の遺棄(理由がないままに一方的な同居の拒否など)
  • 有責行為(離婚の原因)が双方にある
  • 宗教上の対立
  • 相手の親族との不和
  • 暴力(DVやモラハラなど)
  • セックスレスなどの性的不調和
  • 一方的な離婚の申し入れ
  • 性格の不一致
  • 重度の精神障害
  • 有責行為がない
  • すでに夫婦関係が破綻

知識3.慰謝料は誰に請求する?浮気相手にも請求できるのか?

離婚慰謝料は離婚の原因を作った側から被害を受けた者が請求することが可能になります。また、不倫相手にも慰謝料を請求することが可能になります。

ただし、不倫相手が既婚者である事実を知らずに付き合っているような場合は、慰謝料の請求が出来ない場合もあります。

よく「浮気は向こうから誘ってきたから私は悪く無い」と言い訳をする人もおりますが、既婚者である事実を知っているような場合は、言い逃れは出来ないと言えるでしょう。

また、「夫の不倫原因が妻からセックスを拒否されたこと」だとして、逆に慰謝料を請求されるような場合もあります。要は、どちらか悪い方が慰謝料を多く支払うことになるため泥沼化しやすい。という特徴があります。

知識4.離婚をしなくても慰謝料は請求できる

浮気や不倫などによって全ての夫婦が離婚する訳でなく最終的に話し合いを行い離婚はしない。という結論に至る夫婦も多いことだと思います。

このように離婚をしない場合でも、慰謝料の請求は可能なのです。その際、不貞行為など離婚原因の発覚から3年間が慰謝料の請求期限となります。

知識5.離婚後でも慰謝料請求は可能

離婚後でも先ほどの慰謝料の請求期限である3年以内であれば慰謝料の請求は可能になります。その際、慰謝料が請求できるのは以下の3つの場合になります。

離婚後に慰謝料請求ができる場合

①:不貞行為自体に対する精神的苦痛への慰謝料
不貞行為の事実が発覚した時から起算する

②:不貞行為によって婚姻生活が破綻したことに対する精神的苦痛への慰謝料
不貞行為の事実によって婚姻生活が破綻した時から起算する

③:不貞行為によって離婚することによって生まれた精神的苦痛への慰謝料
不貞行為が原因で離婚した時から起算する

ただし、離婚後に一切の金銭を要求しないなど双方が合意している場合は、上記が該当しても慰謝料の請求ができませんので注意してください。

離婚慰謝料を請求する手順

離婚慰謝料の相場や基礎知識を理解したところで、実際にどのような手順で相手方に離婚慰謝料を請求するのか手順を解説したいと思います。

離婚慰謝料の請求手順

  1. 離婚原因を証明する証拠を集める(不倫であれば浮気現場の写真など)
  2. 慰謝料の請求内容を決める
  3. 直接請求または内容証明郵便で請求する
  4. 慰謝料の詳細は公正証書にして記録する

大きくは上記の4つのステップで手続きを進めることになりますが、それぞれどのような作業が発生するのか解説をしたいと思います。

また、以下の4つのステップは夫婦間で合意が図れる場合の流れとなっており、どちらか一方が慰謝料の金額に応じない場合は、調停や裁判によって慰謝料の請求有無や金額を決めることになります。

手順1.離婚原因を証明する証拠を集める

離婚慰謝料において最も重要なのが証拠集めです。

証拠がなければ離婚原因を証明することが出来ませんので慰謝料の請求も出来ないと言えますし、証拠を探していることが相手方にバレてしまうと証拠を隠滅されてしまう可能性があります。

そのため、証拠集めは慎重にかつ正確に行う必要があります。

証拠が必要な離婚証拠の種類
不倫・浮気を証明する証拠
  • ラボホテルに出入りしている写真
  • メールやチャットなどで肉体関係があったと証明できるやりとり
  • 相手方が浮気を認めた念書
悪意の遺棄を証明する証拠
  • 生活の振込が途絶えたことが分かる記録
  • 別居に至った経緯や別居が始まった時期が分かるもの
  • 別居先の賃貸借契約書など
DVやモラハラを証明する証拠
  • 外傷がある場合は医師の診断書
  • 外傷を写した写真
  • DVやモラハラを受けた場所、時間、状況などのメモ
  • モラハラの場合は暴言の内容
  • 精神的な病になった場合はその診断書
セックスレスを証明する証拠
  • セックスレスに至った経緯と期間が分かるもの

上記にように少しでも多くの証拠を集めることが離婚慰謝料を請求する上では重要です。

セックスレスなど証明が難しい場合は、音声データやセックスを拒否された日を記載したメモなど少しでも経緯が分かるようにすることが重要と言えるでしょう。

また、不倫や浮気を疑っているような場合は、相手方の浮気現場を撮影するなどは素人には到底出来ない側面もありますので、探偵を活用することも検討してみましょう。

探偵への相談に関しては「探偵に浮気調査を依頼するメリット・調査方法・費用相場を解説」にて詳しく解説をしておりますのでご参照ください。

手順2.慰謝料の請求内容を決める

証拠を集めが完了したら慰謝料をいくら請求するの考えるようにしましょう。

当然ながら、相手方も慰謝料の減額など交渉してくる可能性がありますので、実際に請求したい金額に対して+100万円程度しておくと良いでしょう。

そのほか、慰謝料を請求する際に決めておくと良い項目は以下の通りです。

慰謝料の請求内容

  • 離婚原因の事実を証明する証拠
  • 慰謝料を請求する事実とその金額
  • 慰謝料の支払い期限
  • 慰謝料の振込口座

手順3.直接請求または内容証明郵便で請求する

さて、慰謝料の請求準備が整ったところで実際に請求を行うことになりますが、その際、夫婦間で協議ができる場合は話し合いによって証拠の提出と金額を伝えても良いでしょう。

一方で、話し合いができる関係にない場合は、内容証明郵便を送ることになります。内容証明には、先ほどお伝えした「慰謝料の請求内容」を記載し送るようにしてください。

通常の郵便で慰謝料の請求をすることも可能ですが、内容証明郵便は送った日付や書面の内容を証明することが出来ますし、受け取った側も通常の郵便よりも真摯に受け止めることになるので効果的です。

手順4.慰謝料の詳細は公正証書にして記録する

慰謝料の請求内容について相手方の合意を得たら慰謝料が支払われることになりますが、その際に、必ず公正証書に決定事項を残しておくことが必要です。

法的には口約束でも契約は成立する。となっていますが、仮に慰謝料300万円支払うと約束したが、実際に離婚してからそのような話し合いを行なったことはない。と言った言わないの揉め事に発展してしまう可能性があるのです。

そのため、公正証書にして口約束の証拠として保管できる方が確実に支払いをさせることが可能になります。

まとめ

離婚慰謝料の相場、基礎知識、手続き方法について解説をさせて頂きました。

離婚慰謝料は、離婚後の生活にも大きな影響を与えることからしっかりと準備し適正な金額を請求するようにしましょう。その際、請求額などに不安がある場合や揉め事に発展するような場合は弁護士に依頼することをおすすめします。

また、証拠集めには探偵を活用することで効率的かつ確実に証拠を集めることが可能になりますので、一度相談することをおすすめします。









全国320の法律事務所を徹底比較

ABOUTこの記事をかいた人

老後資金の教科書

老後資金の教科書は老後の生活をより豊かにするために、金融や老後に関する法改正などを中心に解説記事を掲載しています。 リバースモーゲージ、介護保険問題、年金カット法案、高額医療費の自己負担の増加など難しい制度を分かりやすくご紹介します。