離婚時に親権を手に入れるために知っておくべき知識を解説







離婚時に「財産は一切いらいないが、親権だけはどうしても欲しい。」と考える方は非常に多いものです。

夫婦が話し合いによって親権者を決めることができれば大きな問題にはならないでしょうが、双方が譲らない場合については調停によって親権を決めることになります。

その際、母親が親権を獲得するケースが8割〜9割となっているのですが、母親だから必ず親権を獲得できる。という訳でもありません。そこで今回は、離婚時に調停で親権を手に入れるために知っておくべき知識を解説したいと思います。

離婚時に調停で親権を決める場合

まず最初に、離婚調停によって親権を決める場合とはどのような時なのか解説したいと思います。大きく調停によって親権を決める場合は3つあります。

離婚時に調停で親権を決める場合

  1. 離婚するか否かの争いを調停で行なっている場合(離婚調停)
  2. 離婚することは合意しているが親権者が決まっておらず調停になっている場合
  3. 離婚後に親権者を変更するために調停を行なっている場合

今回は、離婚前に親権を獲得するための知識をお伝えしたいと思いますので、①と②についてこれから解説をしていくことになります。

また、親権の獲得については、夫婦で相談し解決する場合は調停や裁判などをする必要はありません。そのため、ここから紹介するのは調停など親権者争いが発生していることが前提となります。

親権者が決まっていない場合は離婚することが出来ない

親権者は決まってないが、一刻も早く夫婦関係を解消したい。」という場合もあることでしょうが、親権が決まっていない場合は離婚することが出来ません。

未成年の子供がこれからどのような生活を送るのかは非常に重要であることからこのように取り決めがなされております。

ただし、子供がすでに成人している場合や未成年の子供でも結婚しているような場合は、親権が決まっていなくても離婚することは可能になります。

離婚調停の場合は家庭裁判所調査官が実態を調査する

離婚調停になると、その手続き期間中に家庭裁判所の調査官が家庭訪問などによって親権をどちらが獲得した方が良いか調べに来ることになります。

この家庭裁判所調査官の調査結果は親権を決める上では非常に重要であり調査官にどのように判断されるかによって親権の獲得有無も左右されることになります。

では、この家庭裁判所調査官はどのような役割や調査をするのかお伝えしたいと思います。

家庭裁判所調査官の役割

家庭裁判所調査官の主な役割は以下の3つとなります。

家庭裁判所調査官の主な役割

家庭裁判所調査官の役割詳細
子供との面談
  • 子供に父親や母親との関わりや気持ちなどを聞き出します。言葉を上手く話せない合は心理テストを活用する場合もあります。
家庭訪問
  • 実際の家庭環境について調査することになります。部屋が片付けられ清潔であるか?などが調査されることになります。
学校訪問
  • 学校で子供がおかれている状況を調査します。未就学児は保育園や幼稚園なども調査します。

家庭裁判所調査官の調査内容

では、家庭裁判所調査官は何を調査しているのか?調査内容について解説をしたいと思います。

家庭裁判所調査官の調査内容

  1. 親権者に適当であるか否かの判断を行うための調査:愛情や経済面など複合的に調査
  2. これまでの子育ての主体や環境の調査:夫婦どちらが主体となり子育てをしているのか調査
  3. 今後の教育方針:教育に関する方針や監護する場所などの調査
  4. 相手方が親権を得ることが不適当であるか否かの調査:相手方が監護できない理由を調査

上記のような調査を得て、報告書にまとめ家庭裁判所に提出することが家庭裁判所調査官の役割と調査内容になりますので、この調査結果は非常に重要になると言えます。

離婚時に親権を獲得するための判断基準

家庭裁判所調査官の調査内容をお伝えしましたが、最終的に親権を決めるにあたってどのような項目が判断基準になるのか?ここでは7つの基準をお伝えしたいと思います。

判断基準1.子育てにおける監護状況

これまで父親、母親のどちらの方が主体となり子育てを行なっていたかは非常に重要な判断基準になります。

「継続性の維持」と呼ばれ子供の家庭環境が大きく変わることは避けるべきである。という考え方があり、変化が少ない方が有利であると言えます。

そのため、これまで母親が主体となり子育てをしていたが、離婚をきっかけに父親が監護するような場合は環境が大きく変わると言えますので父親が親権を獲得することが不利になると言えます。

判断基準2.子供への愛情

親権者争いをしている状況を考えればどちらも愛情があることは間違いのない事実だと思いますが、これもどちらの方が愛情が深いのか客観的に調査する必要があります。

その際、1つの判断軸として活用されるのが「時間」です。

時間とは子供とどちらの方が長く一緒にいるのか?という点になり、別居などをしているような場合は子供の面倒を見ていた方が圧倒的に有利になると言えますので、親権を獲得したい場合は主張することが望ましいと言えます。

判断基準3.扶養者の健康状態

これから長期に渡って子育てをすることになりますが、それも健康であることが前提条件になります。

そのため、よく体調を崩していた。などがあると親権獲得には不利に働くことになります。これは肉体的な健康状態だけでなく、精神的な健康状態も鑑みることになります。

判断基準4.子供の年齢|幼い場合は母親が優遇される

子供の年齢が幼いほど母親が親権を持つことが適当と言われています。

そのため、生まれたばかりの幼い子供がいるような場合は母親が優遇されると言えるでしょう。また、妊娠中の子供については原則母親が親権を持つことになります。

判断基準5.15歳以上の場合は子供の意思

家庭裁判所調査官の調査内容でもお伝えしたように「子供の気持ち」も親権を獲得する上では重要な判断材料になります。その際、15歳を超えているような場合は「子供の意思」が尊重されることになります。

15歳を超えるとある程度自立している段階でもあるでしょうし、冷静に感情だけではなく離婚後の経済面や生活環境を踏まえた上で自分の将来と照らし合わせ判断することもできる年齢です。

そのため、子供の年齢が15歳を超えている場合は、夫婦の感情面よりも子供の夢や目標に適した方が親権を得るという考えも重要になるでしょう。

判断基準6.子供にかけられる時間

15歳以上の場合は、子供の意思を尊重するべきとお伝えしましたが、「子供が生まれたばかり」や「親との時間が重要な幼児期」においてはどれほど育児の時間を増やすことができるのか?も重要な判断基準となります。

子供の年齢が幼いほど母親の方が親権を得るに適しているとお伝えしましたが、仮に父親が親権を得るためにはこの問題を解決する必要があります。

例えば、子供との時間を増やせるように両親と同居することや仕事を変えるなどの対策が必要でしょう。このように仕事やライフスタイルを見直すことができれば、子供の年齢が幼い場合でも親権を獲得できる可能性があると言えます。

判断基準7.経済的な余裕

離婚後の親権争いにおいて経済面は非常に重要である。と考える方も多いことだと思いますが、実は他の項目に比べるとやや軽視できる部分でもあるのです。

これは、教育費を請求することができるためです。

「監護する親」は教育費に加え自分の仕事の収入も得ることができますし、母親の場合は、離婚すると実家に戻るケースが多いことから家賃も発生しないなど裕福ではないにしても生活するためのお金を稼ぐことは可能と言える場合が多いのです。

とは言え、「実家に戻ることが出来ない。」「働くことができない。」「借金がある。」など状況によっては経済面で親権を失う場合もありますので注意しましょう。

離婚調停で親権獲得を有利に進める方法

ここまで、親権を獲得する際の判断基準をお伝えしましたが、実際に離婚調停で親権獲得を有利に進める方法をお伝えしたいと思います。

離婚調停で親権獲得を有利に進める方法

  • 調停委員の同情を得る
  • 家庭裁判所調査官の調査内容を把握し対策する
  • 親権者にふさわしい理由を主張する

離婚調停では、夫婦の間に調停委員が介在し第三者視点で離婚の正当性や親権をどちらにした方が良いかなどの意見を述べることになります。その際、いかに子供を愛しているのかなど調停委員の同情を得ることも実は非常に重要なのです。

加えて、家庭裁判所調査官の調査内容に対してしっかりと対応できることを主張し親権者にふさわしいということを認めさせることが重要になります。

感情面での方法とはなりますが、決めるのも同じ人であることからしっかりと対応するようにしましょう。

親権を獲得する際によくある疑問

ここからは、離婚時に親権を獲得する際によくある疑問を解説したいと思います。

親権は父親でも獲得することはできる?

親権は母親が獲得するケースが8割〜9割であることをお伝えさせていただきましたが、父親でも親権を獲得することは可能になります。その際、「離婚時に親権を獲得するための判断基準」でお伝えした7つの基準をできる限り満たしている必要があります。

例えば、時短勤務が出来ないような場合は、実家の両親を迎え入れ一緒に暮らすことで父親がいない時間も子供が1人にならないようにするなどの対策を講じることが必要です。

また、離婚前に別居し子供と一緒に暮らすなど既成事実があれば尚のこと親権を獲得する可能性が高まりますので事前に親権を得るための準備を行なっておく方が良いでしょう。

不倫した側でも親権者にはなれる?

不倫が原因で離婚した場合など離婚原因を作った側が親権者になることも可能です。

これは、離婚原因と親権者は別々に考えることが原則となりますので、仮に母親が不倫し離婚する場合でも子供と過ごした時間などが多い場合は母親が親権者となります。

ただし、母親が不倫に夢中になり家を空けることが多いような場合は親権を獲得することは難しいと言えます。また、DVなど子供に危害が加わるような離婚原因の場合は、当然ながら親権を獲得することはできません。

親権を獲得できないと子供に会えなくなる?

父親は親権を獲得することが難しいとお伝えしたように、実際に親権を獲得出来なかった場合は「面会交流権」を獲得できるようにしましょう。面会交流権は離婚後に子供に会うための権利ですが、離婚前に以下のような取り決めをしておくと良いでしょう。

面会交流権を得るために決めておくこと

  • 面会の回数(子供に会える頻度を決めておく)
  • 面会時の時間
  • 面会時の宿泊有無
  • 面会場所
  • 電話やメールなどの連絡の可否

事前に上記のような取り決めをしておくことで離婚後も揉めることなく子供に会うことが可能になります。

調停で決着しないとどうなる?

最後に、調停で親権をどちらにするか決まらない場合はどのようにして親権を決めるのか解説をしたいと思います。

まず、離婚調停によって親権を決めようとしていた場合は離婚裁判によって親権を決めることになります。一方で親権者変更によって調停しているような場合は家事審判に移行することになります。

仮に裁判になる場合は、判所に証拠を提出する必要がありますので、事前に証拠を集めておくことが必要になります。

まとめ

離婚時に親権を得るために知っておくべき知識について解説を行いました。

親権の獲得は母親が有利であることから父親が親権を得るためには相当な準備が必要になると言えます。もし、親権を獲得することが難しい場合は面会交流権だけでも獲得できるように相談をした方が良いでしょう。

どちらにせよ子供に不安を感じさせないためにも早めの決着が望ましいと言えます。









全国320の法律事務所を徹底比較

ABOUTこの記事をかいた人

老後資金の教科書

老後資金の教科書は老後の生活をより豊かにするために、金融や老後に関する法改正などを中心に解説記事を掲載しています。 リバースモーゲージ、介護保険問題、年金カット法案、高額医療費の自己負担の増加など難しい制度を分かりやすくご紹介します。