介護保険の全て|制度を理解するために必要な全知識を徹底解説







介護保険とは何か?と疑問に感じる方に向けて、このページでは介護保険の制度説明、適用される条件やサービス、手続き・申請方法など介護保険の理解に必要な全知識を網羅的にご紹介します。

介護保険に関して正しい知識を身につけることで「いざ」という時に慌てずに対処ができることからブックマークで保存しておくことをおすすめします。

介護保険とは?

介護保険とは、介護が必要になった人を社会全体で支えることで、介護が必要な人に適切な介護サービスを受けられるようにすることを目的に1997年12月に「介護保険法」が制定され、2000年4月に施行されました。これと同時に「介護保険制度」が開始されることとなります。

社会全体で支えることが前提となっておりますので、国民全員が介護保険料を納めることが義務付けされており、徴収が開始されるのは満40歳の誕生日前月の該当月から支払いが発生します。

介護保険の申請はケアマネジャーなどが相談に乗ってくれますが、基本的な知識が無いと話が理解できないなどの問題が起きてしまうことから必要事項は知識として蓄えておくと良いでしょう。

介護保険が適用される要介護認定とは

介護保険は当然ながら介護が必要になった方が利用できる制度ですが、受給者の状態に応じて利用できる介護保険の限度額が異なります。

この際、介護の状態を示す尺度として「要介護認定」が活用されます。

要介護認定は7段階に分かれており、「要支援1」、「要支援2」、「要介護1」、「要介護2」、「要介護3」、「要介護4」、「要介護5」の7段階になります。

要支援と要介護の違い

さて、要介護認定を大きく分けると「要支援」と「要介護」の2つに分類されます。それぞれの違いを確認してみましょう。

分類状態
要支援生活機能が低下しているが改善の見込みがある状態
要介護今現在、介護サービスを必要としている状態であり数字が大きいほど重症度が高い

「要支援」の方は現状維持または予防サービスによって身体機能の低下を維持させることや緩やかにすることを目的に介護サービスが提供されます。

「要介護」の方は介護施設へ入居し介護サービスを受けることや在宅介護でも居宅介護サービスを受けることが可能になります。

要介護認定の区分け

それでは要介護認定の7段階の区分けについて状態別に確認をしてみましょう。

要支援1
  • 日常生活において一部手助けを必要とする状態だが、排泄や食事は自分で出来ることから立ち上がり時に支えなどあれば生活が送れる
要支援2
  • 要支援1よりも日常生活に支障が出ている状態。部分的に介護が必要な方が該当する
要介護1
  • 食事や排泄は基本的には自分で出来る。日常の生活は基本的には1人でできる
  • 身だしなみを整える、立ち上がり、歩行、移動で支えが必要になる。問題行動や理解の低下がみられることがある
要介護2
  • 身だしなみや身の回りの世話が必要になる。立ち上がりや歩行、移動には支えが必要で日常生活において部分的な介護が発生する。
  • 排泄や食事に手助けが必要な時があり、問題行動や理解の低下がみられることがある。
要介護3
  • 身だしなみ、立ち上がり、歩行、移動が1人ではできない時があり、排泄も自分ではできないことから日常生活全般で介護が必要
  • 問題行動や理解の低下がみられることがある
要介護4
  • 介護なしでは日常生活を営むことができず、問題行動や理解の低下が多くみられる。
  • 歩行や移動などもほぼ出来ない状態
要介護5
  • ほぼ寝たきりの状態で介護なしでは生活を送ることが出来ない。

介護保険制度の財源は公費50%保険料50%で運営

介護保険制度の財源は公費と保険料でそれぞれ50%ずつ負担をしています。公費は国が25%、都道府県が12.5%、市区町村が12.5%が税収として徴収を行なっております。また、保険料の50%は満40歳以上の方が納付する義務を負うことになります。

このようにして徴収された介護保険料を活用し、介護を必要とする人が1割負担(所得によっては2割や3割もある)で介護サービスを活用することが出来ますので、超高齢化社会の日本にとっては非常に重要な制度と言えるでしょう。

介護保険料はいつからどのように納付するのか?

では、満40歳を迎え介護保険料を納付する必要が出た時にどのように納めるべきなのでしょう。介護保険料は、40歳以上〜64歳までの「第2号被保険者」と65歳以上の「第1号被保険者」で納付方法が変わりますので解説を行います。

介護保険料の詳しい解説は「介護保険料の計算と免除基準を40歳以上と65歳以上でそれぞれ解説」をご参照ください。

分類年齢概要
第1号被保険者65歳以上65歳以上の方は年金から天引きされ支払いを行います。市町村により保険料の基準が異なりますが、所得に応じて9段階に納付する保険料が変わります
第2号被保険者40~64歳40歳以上64歳以下の方は、現在加入している医療保険に上乗せされ介護保険料が徴収されます。介護保険料は加入している医療保険で異なりますが、所得に応じて徴収額が変わります。

第1号被保険者と第2号被保険者の介護保険の利用条件

第1号被保険者(65歳以上の方)と第2号被保険者(40歳以上64歳以下の方)では介護保険者の利用条件が異なります。

第1号被保険者の場合は、老化による身体的な衰えだけでなく事故などによる後遺症によって介護が必要になった場合も介護保険を活用することが可能になります。

一方で、第2号被保険者の利用条件は「16の特定疾患」を発症した場合に介護保険を利用できると定められています。16の特定疾患については以下をご参照ください。

 16の特定疾患の一覧

  1. 末期ガン(医師が医学的知見に基づき回復の見込みがないと判断した場合)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病【パーキンソン病関連疾患】
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

要介護認定の手続きと申請方法

介護保険を利用するには、要介護認定を受ける必要があります。要介護の認定審査は市町村にて申し込み、手続き、申請を行うこととなります。要介護認定を受けることで所得にもよりますが、1割負担で介護サービスを受けることができますので必ず申請を行うようにしましょう。

手続きの流れは以下の通りです。

申請は本人またはその家族が行うと記載をしておりますが、「地域包括支援センター」「居宅介護支援事業者」「介護保険施設」の職員が代理で申請することも可能です。

その際の申請書類については以下を参考に準備をするようにしましょう。また、主治医の意見書の作成も必要になりますので提出が求められたら用意を行うようにしましょう。

要介護認定の申請書類

  • 要介護・要支援認定申請書(主治医の氏名を記載するなど書き方に注意が必要。市町村の記入例を参考にしましょう。)
  • 介護保険被保険者証
  • 健康保険被保険者証(第2号被保険者の場合)

介護保険で受けられる介護サービスの一覧

厚生労働省は介護サービスを大きく3つに分けています。

給付内容詳細
介護給付介護給付とは、要介護認定の方に行われる介護サービス
予防給付予防給付とは、健康維持や生活習慣の改善を目的にしたサポート。要介護者が施設に赴いて受けるサービスは介護保険の給付内容に含まれない
市町村特別給付国が定めた基準に到達しない方でも市町村が決めた給付水準を満たしている方に介護サービスを行うこと

この3分野に紐づくかたちで様々な介護サービスを受けることが出来ますが、それぞれ概要をお伝えしたいと思います。介護保険で利用できる介護サービスについて詳しく知りたい方は「介護保険サービスの適用範囲を完全網羅!全25種を一挙公開」をご参照ください。

分類介護サービスの詳細
介護給付
  • 居宅介護サービス

訪問介護
訪問入浴介護
訪問看護
訪問リハビリテーション
居宅医療管理指導
通所介護(デイサービス)
通所リハビリテーション
短期入所生活介護(ショートステイ)
短期入所療養介護
痴呆対応型共同生活介護(痴呆性老人グループホーム)
特定施設入所者生活介護
福祉用具貸与
居宅介護福祉用具購入費補填
居宅介護用住宅改修費補填

  • 居宅介護サービス計画費(ケアマネジメント)
  • 施設介護サービス費

介護福祉施設サービス
介護保険施設サービス
介護療養施設サービス

予防給付
  • 居宅支援サービス費
  • 特例居宅支援サービス費
  • 居宅支援福祉用具購入費
  • 居宅支援住宅改修費
  • 居宅支援サービス計画費
  • 特例居宅支援サービス計画費
  • 高額居宅支援サービス計画費
市町村特別給付
  • 市町村が条例にて設定する

介護保険を活用し住宅改修を行う

介護保険の代表的な活用方法として、「住宅改修」があります。トイレをバリアフリー構造に改修することや手すりを付けるなど介護保険にて住宅改修を安価に済ませることが可能になります。

ただし、1回あたりの住宅改修の上限額が決められており20万円までとなります。実際は1割負担となりますので18万円が一度に改修できる上限額となります。自己負担額が2割の方は16万円となります。

複数回に分けて住宅改修を行うことは可能になりますので、住宅の改修計画をケアマネジャーと相談しながら決定することをおすすめします。詳しくは「介護保険を住宅改修に活用|適用される対象者・条件・申請手順・限度額を解説」をご参照ください。

介護保険施設の種類と特徴

介護保険サービスを活用し入居できる老人ホームがあることはご存知でしょうか?

「介護保険施設」と呼ばれ、分かりやすく説明をすると公的機関が運営する介護施設になりますが、費用が安く重度の要介護認定者も長期に渡って入居できることから非常に人気となっているのです。そのため、ほとんどの施設で空きがないという問題もあります。

一方で民間企業が運営する介護施設は介護保険サービスの適用外となりますので、費用が高額であり老後資金にゆとりがなければ利用が難しい。という実態があります。

そこで、公的機関が運営する介護保険施設にはどのような種類があるのかお伝えしたいと思います。

介護保険施設の種類

種類対象者入居金の目安月額利用料の目安
特別養護老人ホーム(特養)原則要介護3以上0円5万円~15万円
介護保険老人施設(老健)要介護1-50円5万円~20万円
介護療養型医療施設(療養病床施設)要介護1-50円5万円~20万円

介護保険施設と民間運営の介護施設のメリット・デメリットを比較

公的機関が運営する介護保険施設と民間運営のサービス付き高齢者住宅などはどのような違いがあるのかメリットとデメリットを比較してみましょう。

施設メリットデメリット
介護保険施設
  • 利用料金が安価
  • 入居一時金が発生しない
  • 重度の介護状態でも長期間入居可能
  • 数に限りがあり入居難易度が高い
  • 相部屋が多い
民間運営の介護施設
  • 自分の好みの施設を複数選べる
  • 金額的ハードルが無ければ入居が容易
  • 設備やサービスが充実している
  • 入居費用及び入居一時金が高い
  • 介護が重傷化すると料金の引き上げや転居が発生する可能性あり

介護保険施設は相部屋が多いなどプライバシー面で抵抗がある方も多いかもしれませんが、それでも入居一時金が発生しない、月額費用安価など金額面でのメリットが非常に高いのが特徴です。

一方で、民間の介護施設は選択肢の幅が広く、サービスが充実している施設も多いのですが費用が非常に高額となります。「【老後の相談室Vol.5】老人ホームの入居費が足りない夫婦の選択」にて解説を行いましたが、介護保険施設に入居出来ない場合は在宅介護とバランスを取りながら介護費用の圧縮を行うようにしましょう。

ただし、価格が安価な介護保険施設も入居待ちが発生しているように入居難易度が非常に高い。というのが一番の難点となります。

介護保険施設の数は1万3000施設

それでは、介護保険施設は全国にどのくらいの数があるのか確認をしてみましょう。2017年6月時点では、特別養護老人ホームが7,631施設、介護老人保険施設が4,222施設、介護療養型医療施設1,215施設あります。

 施設名施設数
特別養護老人ホーム7,631施設
介護老人保健施設4,222施設
介護療養型医療施設1,215施設

介護保険のまとめ

介護保険を活用するにあたっての要介護認定区分、介護保険の仕組み、申請方法を解説いたしました。

介護保険は、制度自体が非常に複雑であり分かりづらくことから、介護サービスが適用される範囲とされない範囲で都度判断に悩むことになるでしょう。

そのような時は、ケアマネージャーに相談しながら介護プランを作成することで介護保険を上手に活用した計画が立てられますのでおすすめと言えます。









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