婚姻費用とは?計算方法・相場・請求方法・よくある疑問をまとめて解説







婚姻費用とは、夫婦が生活する上で必要なお金のことを指しております。この婚姻費用は「収入が高い人はお金を提供」し「収入が低い人は家事育児を提供する」と言うように分担で負担することで成り立っております。

一般的には、会社員の夫と専業主婦の妻が同程度の暮らしが出来るのも、上記の扶養義務に則り夫婦が共同で助け合いながら生活しているからと言えるでしょう。

ただし、収入が高い人が夫婦関係を意図的に崩壊させようと家庭に生活費を入れなければ、収入が低い人が生活できない状況に追い込まれてしまいます。(これを悪意の遺棄と呼び離婚原因の1つです。慰謝料も請求できます)

その際、収入が低い人を守るために「婚姻費用分担請求」と呼ばる収入が高い人に対して生活費を支払ってもらう手続きを同居中でも別居中でも請求が可能なのです。

そこで今回は、婚姻費用の計算方法、相場、請求方法、婚姻費用が受給できる期間などをまとめて解説したいと思います。

婚姻費用とは?

冒頭でもお伝えしたように、婚姻費用とは、夫婦が日常的に生活するために必要なお金を指した言葉になります。

婚姻費用に含まれるものは、「衣食住に関する費用」や「医療・教育に関する費用」など夫婦生活を送る上で必要になる支出は基本的に含まれています。

婚姻費用に含まれるもの

  • 衣食住に必要な支出
  • 常識的に必要な交際費や娯楽費
  • 医療費
  • 子供の教育費 など

婚姻費用の計算方法や相場は算定表を活用すべし

婚姻費用を必要に応じて都度請求するのは現実的ではありませんので、毎月定められた金額を相手方に振り込みをしてもらうのが一般的と言えます。

その際、婚姻費用の金額は夫婦間の話し合いで合意した金額で設定は可能になりますので、合意さえ得られれば100万円でも可能という訳です。しかしながら、そのような金額を婚姻費用として渡せるケースもほぼないでしょう。

そのため、「婚姻費用をいくらに設定すれば良いのか?」「婚姻費用の計算式はあるのか?」と疑問に感じる方も多いと言えますが、その際「婚姻費用算定表」を活用することで簡単に婚姻費用の金額を算出することが可能になります。

婚姻費用を計算する基準

  • 相手方の年収
  • 請求人の年収
  • 子供の人数
  • 子供の年齢

上記の4点から婚姻費用算定表を活用し婚姻費用の金額を算出することになります。

婚姻費用算定表の使い方

それでは、婚姻費用算定表の使い方をお伝えしたいと思います。

婚姻費用算定表の使い方

  1. 子供の人数と年齢から利用する婚姻費用算定表を選択し印刷する
  2. 相手方の年収(縦軸)から該当する箇所まで線を引く
  3. 請求人の年収(横軸)から該当する箇所まで線を引く
  4. 二つの線が交わる箇所が婚姻費用の金額の基準になる

上記より、一例をご紹介したいと思います。

夫の年収500万円、妻の年収が200万円、8歳の子供1人いる家庭での婚姻費用を算出すると、毎月6万円〜8万円が相場であることが分かります。

婚姻費用の請求方法

では、実際に婚姻費用を請求する方法をお伝えしたいと思います。夫婦間の話し合いによって解決できるならば特別な請求方法はありませんので、ここでは相手方と婚姻費用の請求について話し合いが出来ない場合の請求方法をお伝えしたいと思います。

婚姻費用の請求方法

  1. 内容証明郵便の雛形をダウンロードする
  2. 内容証明郵便を記載する
  3. 内容証明郵便を郵送する

内容証明郵便の雛形をダウンロードする

内容証明郵便は、「送付人、時期、内容を郵送したことを証明する郵便」となります。一見、重々しい郵便に受け取れますが、法律的には通常の郵便と何も変わりません。

とは言え、内容証明郵便が送られた側からすると相当なプレッシャーを感じることは間違いないでしょう。そのため、婚姻費用を支払ってもらえない場合の第一ステップとしては、内容証明郵便を送付するところから始めましょう。

内容証明郵便の雛形はこちらよりダウンロードが可能です。

内容証明郵便を記載する

内容証明郵便の雛形をご確認頂くことで記載する内容はおおよそ想定が付くかと思いますが、記載すべき項目は以下の通りになります。

内容証明郵便の記載事項

  • 別居している事実
  • 婚姻費用の請求金額と請求する旨の意思表示
  • 婚姻費用の支払い期日
  • 婚姻費用の振込先
  • 婚姻費用を支払わない場合の対応(調停)

内容証明郵便を郵送する

内容証明郵便の準備が完了したら郵便局で郵送の手続きを行いましょう。費用は1000円〜2000円程度で郵送が出来ますので最寄りの郵便局に向かいましょう。

婚姻費用の未払い時は婚姻費用分担調停を行う

内容証明郵便を送ったが相手方から一向に振り込みがされない」という場合は、婚姻費用分担調停を行うことになります。調停と聞くと重々しい言葉に聞こえますが、費用は2000円程度で以下の書類を家庭裁判所に提出することで手続きは完了となります。

婚姻費用分担調停の提出書類

  • 婚姻費用分担請求の申立書
  • 夫婦の戸籍謄本
  • 申立人の収入証明書(源泉徴収票や給与明細など)
  • 相手方の収入証明書(保有している場合)

調停後に婚姻費用を支払いしない場合は強制執行ができる

婚姻費用分担調停にて婚姻費用の支払いが決定した後に、婚姻費用の未払いが発生した場合は、相手方の給与や財産を差し押さえする強制執行が可能になります。

通常の強制執行の場合は、給与の1/4が強制執行の上限(33万円を超える場合は33万円が上限)とされておりますが、婚姻費用の場合は、給与の1/2まで強制執行が可能になります。

また、将来分も一括で強制執行することが可能になる場合もありますので、未払いだからと泣き寝入りするのではなくしっかりと請求した方が良いでしょう。

婚姻費用のよくある疑問

ここまで婚姻費用の計算方法、相場、請求方法、調停についてお伝えをさせていただきましたが、ここからは婚姻費用のよくある疑問を一問一答で回答をしたいと思います。

Q1.婚姻費用を請求したが離婚しなくても大丈夫?

婚姻費用は、夫婦生活に必要な費用を負担するものになりますので、離婚するしないは関係なく支払いが必要になります。

Q2.妻から別居の申し出があり認めたが離婚する気配がないのはなぜ?

複数の理由が考えられますが、離婚後の経済的不安が大きいと言えます。

婚姻費用を支払っている場合は、妻の収入と婚姻費用を合わせれば生活することは可能と言えます。そのため、離婚し婚姻費用がもらえなくなるよりは、別居し婚姻費用をもらい続けた方が良いと考えているかもしれません。

このような場合は、一度、奥様と話し合いの時間を設けることや離婚調停を起こすことも検討しても良いかもしれません。離婚調停の詳しい解説は「離婚調停とは?流れ・期間・費用から弁護士への依頼有無までの全知識」をご参照ください。

Q3.別居するための引っ越し代や入居費用は婚姻費用で請求可能?

婚姻費用には「衣食住」の費用が含まれることから、別居に必要な引っ越し代や入居費用も請求できる印象があると思いますが、結論は相手方の承認次第となります。

婚姻費用は別居するための費用を払う制度ではなく、夫婦の扶養義務の一環として支払うものなので別居に必要な費用は含まれないと考えることができるのです。

そのため、あくまでも相手方が承認した場合のみ別居に必要な費用(引っ越し代、入居費用、家具家電購入費など)を請求できると考えておきましょう。

Q4.住宅ローンがある物件から出て別居する場合の婚姻費用の計算方法は?

住宅ローンが残る住宅から別居する場合は、「名義人の年収から住宅ローンの1年間分の支払額を差し引いた年収を算定表に当てはめる」ことが一般的です。

具体例としては、夫の年収が600万円、妻の年収が0円、1年間の住宅ローン返済総額が120万円とした場合は、600万円から120万円の返済を引いた480万円を算定表に当てはめることになります。

Q5.いつからいつまでの期間婚姻費用を請求できる?

婚姻費用の請求ができる期間は「別居してから別居の解除まで」となります。別居の解除とは、離婚または再び同居することを指しております。

まとめ

婚姻費用の計算方法・相場・請求方法からよくある疑問までまとめて解説を行いました。

別居時の生活費を請求できることを知らない人」や「請求しても支払ってもらえずに泣き寝入りしている人」など本来の権利を行使できていないことが多々ありますが、難しい手続きもなく婚姻費用は請求することが可能になります。

そのため、経済面で無理に同居しているような場合は、婚姻費用を請求できることを前提に離婚や別居について検討を進めて頂ければと思います。









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