年の差婚の老後リスクと対策|定年後の生活に備えるために必要なことを完全網羅







年の差婚とは10歳以上年齢が離れた夫婦のことを指しており、世帯主が配偶者よりも早く定年を迎え、早く亡くなる可能性が高いことから、老後のリスクが高いと言えます。歳の近い夫婦よりも配偶者が単独世帯として生きる期間が長くなるため、より多くの老後資金が必要になりますが、問題はそれだけではありません。今回は年の差婚の老後におけるリスクと対策をお伝えします。

年の差婚夫婦の特徴

まず、年の差婚の特徴ですが、世帯主(主人)が歳上ということもあり、比較的ゆとりある生活を送っていることが多いようです。主な特徴をまとめましたので確認してみましょう。

年の差婚夫婦の特徴

  • 所得が比較的高めであり、世帯主が現役時代の間はゆとりのある生活が送れる
  • 一方で、世帯主が定年する時も子供は成人しておらず教育資金が定年後も必要になる
  • 住宅ローンや介護費用などが将来発生するため、世帯主の定年が近づくほど支出が集中する

このように、世帯主が現役で働けるうちは、何も問題はないのですが、定年が近づくに連れて支出が増えることから、しっかりとリスクを理解し、早め早めに対策を講じる必要があります。それでは、年の差婚夫婦のリスクについて詳しく解説を行います。

年の差婚夫婦に訪れる老後のリスク

年の差婚夫婦が老後に直面するリスクは大きく4つあります。まずはこのリスクについて理解をしましょう。

年の差婚夫婦が老後に直面する4つのリスク

  1. 高齢者再雇用制度による世帯主の所得低下
  2. 子供の教育資金
  3. 親の介護問題
  4. 住宅ローンの残債

年の差婚夫婦の老後リスク①:世帯主の所得低下

世帯主の定年退職は、年金の支給年齢に合わせて65歳まで働くのが一般的となりました。一方で企業が定める定年退職は60歳が多く、その後の5年間は、高年齢者雇用安定法の「継続雇用制度」に基づき、60歳以降も働き続けることが多いようです。しかしながら、この制度を活用する多くの方が大幅に年収が下がる傾向にあります。これまで通り管理職として働けることは極めて稀であり一般社員として仕事に従事するため所得が下がるのです。(55歳から60歳の間に役職を降りる役職定年という制度もあります。)会社によっては賞与の支給なども無く、50%近く年収が下がる方もいるため準備が必要でしょう。

年の差婚夫婦の老後リスク②:子供の教育資金

年収が下がり生活を切り詰める必要が出てくる一方で、子供の大学進学により教育資金が増加するタイミングでもあります。一般的に四年制の私大に入学させると700万円から1000万円程度の支出が必要になります。現役時代にどのくらい貯蓄ができるのか非常に重要になりますが、奨学金の活用などは必ず準備するようにしましょう。

年の差婚夫婦の老後リスク③:親の介護

そのため、少しでも子供教育資金を貯めるために節約や奥さんが働こうとするタイミングで、親の介護問題が発生します。世帯主が50歳、配偶者が40歳、子供が15歳の家庭の場合、世帯主の両親は、70歳から80歳程度でしょう。介護が必要になるタイミングでもあり、お金を貯めるために配偶者が働きたいというタイミングで両親の介護で働けない。という状況が発生する可能性が十分ありえるでしょう。これにより、さらに定年後の生活が逼迫することが想定できます。

年の差婚夫婦の老後リスク④:住宅ローンの残債

加えて、住宅ローンの支払いが老後の家計をさらに圧迫させます。世帯主が40歳の時に結婚し、43歳で住宅ローンを25年の返済で契約した場合は、68歳での完済となりますので、子供がやっと大学を卒業した。という後も住宅ローンの支出が続くことは非常に重たいと言えるでしょう。

加給年金と遺族年金を理解すべし

年の差婚の夫婦は非常に重たいリスクを抱えいますが、ここからは、リスク対策をご紹介していきたいと思います。まず、基礎知識として理解頂きたいのが、「加給年金」と「遺族年金」についてです。それぞれ解説を行います。

加給年金とは

加給年金とは老齢厚生年金の一定要件を満たすことで、年金に上乗せがされる制度ですが、この加給年金は年の差婚夫婦にとって非常に重要な制度になりますので要件と支給額を日本年金機構の情報から参照してみましょう。

加給年の対象者・加給額・年齢条件

対象者加給年金額年齢制限
配偶者224,300円※65歳未満であること(大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません)
1人目・2人目の子各224,300円18歳到達年度の末日までの間の子または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子
3人目以降の子各74,800円18歳到達年度の末日までの間の子または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子
※老齢厚生年金を受けている方の生年月日に応じて、配偶者の加給年金額に33,100円~165,500円が特別加算されます。

加給年金の支給対象要件に当てはまるのかを年の差夫婦は必ず確認を行うようしましょう。日本年金機構に問い合わせをするだけでも、疑問解消になりますのでオススメです。

遺族年金とは

次に遺族年金ですが、世帯主が亡くなった場合に支払いがされる年金制度になります。この遺族年金には大きく遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類がありますので、こちらも対象者と支給金額を確認してみましょう。

遺族基礎年金の支給要件と対象者

遺族基礎年金
支給要件被保険者または老齢基礎年金の資格期間を満たした者が死亡したとき。(ただし、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が加入期間の3分の2以上あること。)
※ただし平成38年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。
対象者

死亡した者によって生計を維持されていた、

  1. 子のある配偶者 

子とは次の者に限ります

  • 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
  • 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子

引用元:日本年金機構

遺族厚生年金の支給要件と対象者

遺族厚生年金
支給要件
  1. 被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき。(ただし、遺族基礎年金と同様、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が国民年金加入期間の3分の2以上あること。)※ただし平成38年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。
  2. 老齢厚生年金の資格期間を満たした者が死亡したとき。
  3. 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡したとき。
対象者

死亡した者によって生計を維持されていた、

  • 子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)
  • 55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できる。)
    ※30歳未満の子のない妻は、5年間の有期給付となります。
    ※子のある配偶者、子(子とは18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の障害者に限ります)は、遺族基礎年金も併せて受けられます。

遺族基礎年金と遺族厚生年金の支給額概算表:世帯主が自営業の場合

世帯主が自営業の方の場合は、遺族基礎年金のみの支給となりますので会社員や公務員の方と比べると遺族年金の支給額が少なくなります。

遺族基礎年金と遺族厚生年金の支給額概算表:世帯主が会社員の場合

世帯主が会社員の場合は、遺族基礎年金に加え、遺族厚生年金も支給対象となりますので自営業の方よりも支給金額が増えますが、一番下の子が18歳を越えると遺族基礎年金の受給資格が消滅する点に注意しましょう。

遺族基礎年金と遺族厚生年金の支給額概算表:世帯主が公務員の場合

世帯主が公務員だった方は、旧遺族共済年金に沿って遺族年金が支給されます。加えて支給額一番高いのが注目すべき点でしょう。

加給年金と遺族年金のポイント

実際にいくら支給されるかは日本年金機構などに相談することがオススメです。またこちらの「遺族年金の仕組み|受給金額はいつまでいくら貰えるのか?」でも遺族年金について解説をしておりますので、制度の存在と仕組みを理解し、世帯主にもしものことがあった時に配偶者が諸々の手続きを行えるようしましょう。

年の差婚夫婦の老後対策

加給年金と遺族年金の制度を説明しましたが、まだまだ年の差婚のリスク対策としては不十分です。そこで、年の差婚夫婦がリスク対策として取り組むべき方法をご紹介します。

年の差婚夫婦の老後対策①:収入が安定していても配偶者は働くべき

まず、配偶者の方は現在の生活がいかに安定していたとしても、働くことが非常に重要です。長い人生ですのでこれから何が起きるのか想定ができませんし、先ほど紹介した世帯主の親の介護で働けなくなる可能性や、親の介護が落ち着いたと思うと、世帯主の介護が始まる。という可能性もあります。そのため働きたくても働けない状況になることも考えると働ける時に働き貯蓄を増やす努力が必要でしょう。

年の差婚夫婦の老後対策②:住宅ローンの見直し

支出の一番大きい割合を占める住宅ローンは見直しを行いましょう。特に固定金利の方は、金利変動に左右されない反面、変動金利よりも高い金利設定がされているのが一般的です。現在、固定金利も変動金利もこれまでにない低金利で推移しているため、過去、高い金利設定で住宅ローンを組まれた方も借り換えを行うだけで毎月の支出を削減することが可能です。これを1社づつ確認するのは非常に手間になりますので、住宅ローン一括審査申込などを活用すると便利でしょう。

年の差婚夫婦の老後対策③:保険の見直し

次に、保険の支払い金額の見直しを行いましょう。まず、現在の保険プランにより見直しの内容は異なりますが、年の差婚夫婦の保険で重要なポイントをお伝えします。

年の差婚夫婦の保険への考え方

  • 世帯主が先に無くなることを想定し、保証が一生涯続く終身タイプを選択する
  • 生命保険+医療保険など保障内容が重複していないか等見直しを行い月々の支払いを減額する
 

他にも収入保障保険への加入などの選択肢もありますし、貯蓄性の優れた保険を活用する選択もあります。保険は素人だとなかなか判断が効かない部分も多いためここは保険のプロに見直しの相談をするなどがおすすめの選択でしょう。

年の差婚夫婦の老後対策④:生活費の見直し

住宅ローン、保険の見直しを行うと、残す削減ポイントは生活費です。ただ、生活費の削減は闇雲に節約するのではなく、残りいくら削減する必要があるのか?というシミュレーションをまずは作成するようにしましょう。シミュレーションのポイントは収入と支出から年間に「使用できる金額を決める」ことが重要です。加えて4つの段階に分けて老後のシミュレーションを組むことが重要です。

年の差婚夫婦が老後に向けたシミュレーションで必要な4段階

  • 1段階目:現在から60歳までのシミュレーション
  • 2段階目:60歳から65歳までの所得低下を想定したシミュレーション
  • 3段階目:65歳以降の年金生活でのシミュレーション
  • 4段階目:世帯主死亡後の配偶者のみの生活シミュレーション

まだ老後資金が不足する場合の対策

ここまでさまざな方法で年の差婚夫婦の老後リスクと対策を紹介しましたが、それでも老後資金が不足する可能性もあるでしょう。その場合の対策は、リバースモーゲージがオススメです。リバースモーゲージは現在お住いの住宅を担保に金融機関から借り入れを行いますが、債務者が生きている間は、金利の支払いのみで元本は債務者死亡後に住宅を売却し返済をする制度です。年の差婚の場合は、世帯主が死亡後に活用することがオススメです。

年の差婚夫婦のリバースモーゲージの活用法

世帯主が死亡した場合、配偶者が住宅を相続するでしょう。この場合に生活資金が遺族年金等では不足する場合、この住宅を担保にリバースモーゲージを活用します。年の差婚の場合は、世帯主が死亡しても配偶者が、その後20年近く長生きする可能性がありますので、このタイミングで相続した住宅を担保にリバースモーゲージを活用するという方法です。これによって残された配偶者も安定した老後の生活を送ることができるでしょう。

まとめ

年の差婚には様々な老後のリスクが伴います。当事者の方もそのリスクを心配している方が大半でしょうから、正しくリスクを把握し老後に向けた準備を行うようしましょう。









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