離婚時に年金分割をするといくら受給できる?手続き方法や必要書類を解説







専業主婦(主夫)として会社員である世帯主を支えてきた配偶者は、第3号被保険者として国民年金を65歳になると受給することが可能になります。

20歳から60歳まで国民年金保険料をしっかりと納めた場合、満額である77万9300円、月額で6万4941円を受給することが可能になります。

これに厚生年金加入者である世帯主の年金が加わり老後の生活を営む訳ですが、離婚すると世帯主の年金が加わらないため生活が困窮してしまいます。

これを是正するために、世帯主の厚生年金部分を配偶者に分割する「年金分割」の制度が誕生した背景がありますが、そもそも、世帯主が仕事に打ち込める環境を用意しているのは配偶者の貢献があるからこそ。と言えますので、年金分割は当然の権利として認めらべきだと言えるでしょう。

では、実際に年金分割をするといくらの年金を受給できるのか?また、年金分割はどのような手続きを行うのか解説をしたいと思います。

年金分割の種類と分割割合

年金分割には、双方が協議し年金分割の比率を決める「合意分割制度」と2008年4月から協議の必要なく年金受給額(厚生年金や共済年金部分のみ)の1/2を分割できる「3号分割制度」の2つの種類があります。

対象期間財産分与の方法
合意分割制度夫婦間の協議により最大1/2を上限に夫婦間で年金の分配率を決定する。合意が得られない場合は調停となる
3号分割制度第3号者被保険者を対象に話し合いなく厚生年金または共済年金の1/2を取得できる

分割できるのは、厚生年金や共済年金部分のみになりますので、自営業などで国民年金にしか加入していない場合は、年金分割をすることはできません。

年金分割をした場合の年金受給額はいくら?

では、年金分割をした場合にいくら年金を受給することができるのか確認してみましょう。

2018年時点の平均年金支給額については「2018年最新|年金支給額の平均は国民年金5.5万円・厚生年金14.7万円」にて解説をしておりますが、国民年金は5.5万円、厚生年金14.7万円になります。

従って、夫婦それぞれの年金受給額はおおよそ以下の通りになります。

夫婦それぞれの年金受給額

  • 夫の国民年金:5.5万円
  • 夫の厚生年金:9.2万円
  • 妻の国民年金:5.5万円

上記より、厚生年金の9.2万円を1/2することになりますので、妻が受けとれる年金分割の金額は4.6万円になります。妻の国民年金と合算すると10.1万円になります。夫も同様に10.1万円の年金を受給することになります。

これは、年金分割の最大である1/2を妻が取得した場合になりますので、実際はもう少し減少する可能性もあるでしょう。

加えて、厚生年金は加入期間と所得によって受給できる金額が大きく変わりますので、所得が低い世帯主の場合は、受け取れる年金分割の金額も減少します。

「貰えないよりは貰ったほうがいい」というのは事実ですが、年金分割しても月の年金受給額は10万円程度になることから、慰謝料、財産分与などの請求もしっかりと行なった方が良いでしょう。

年金分割の手続きと必要書類

さて、年金分割はどのように手続きするのか?必要書類は何かをお伝えしたいと思います。

年金分割の手続きの流れ

  1. 年金情報通知書を年金事務所で取得する
  2. 年金分割の割合を決める
  3. 年金分割の按分が分かる書類を添付し標準報酬改定請求書を提出する

それぞれどのように手続きを行うのか解説を行います。

年金分割の手続き1.年金情報通知書を年金事務所で取得する

「年金情報通知書」を年金事務所に出向き取得するところから年金分割の手続きはスタートします。

この「年金情報通知書」は離婚前でも取得することが可能ですし、夫婦のどちらか一方だけでも取得ができます。それでは、「年金情報通知書」を入手するための必要書類をお伝えします。

年金情報通知書を取得するための必要書類

  • 請求者の年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 婚姻期間が分かる書類(戸籍謄本で問題なし)
  • 世帯全員の住民票(事実婚を証明する場合のみ必要)

年金分割の手続き2.年金分割の割合を決める

年金分割の割合は、先ほどお伝えしたように「合意分割制度」か「3号分割制度」のいずれかになりますが、まずは話し合いを行うようにしましょう。

請求側としては、なんとか1/2を受給したいと考えますが、婚姻期間が短い場合などは相手方も請求を拒否する場合があります。このように、双方の協議では解決しないと調停や審判によって年金分割の割合を決めることになります。

年金分割を調停や審判で決める場合の必要書類

  • 年金分割の割合を定める調停もしくは審判の申立書
  • 年金情報通知書
  • 夫婦の戸籍謄本

上記を揃え、居住地を管轄する裁判所に申し立てを行うことになります。

年金分割の手続き3.標準報酬改定請求書を提出する

年金分割の割合が決まった場合は、その按分比率が分かる書類と年金手帳を添付し「標準報酬改定請求書」と一緒に年金事務所に提出を行うことで年金分割の手続きは完了します。

その際、調停や審判によって年金分割の割合を決めた場合は、追加で「調停調書等の年金分割について決定された謄本」の書類も添付する必要があります。

年金分割の割合を決めた場合の必要書類

  • 双方の年金手帳
  • 年金分割の合意書
  • 双方の戸籍謄本
  • 調停調書等の年金分割について決定された謄本(調停や審判の場合)

年金分割の手続きは離婚から2年が時効

年金分割の手続きは離婚後でも請求することが可能になりますが、離婚した日から2年間が時効となります。そのため、2年を過ぎると年金分割の請求をすることが出来なくなりますので注意してください。

もし、相手方が年金分割を拒否し話が進展しないような場合は「離婚調停」にて年金分割をするように申し立てを行う必要があります。それでも、合意しない場合は離婚裁判(審判)によって支払いを命じることになります。

年金分割の疑問を1問1答で解説

ここでは、年金分割における疑問を1問1答で解説を行いたいと思います。

Q1.共働きの場合も年金分割は可能ですか?

夫婦共働きの場合の年金分割は、夫婦で合計した厚生年金受給額を足して2で割ることが一般的になります。これは、「3号分割制度」ではなく「合意分割制度」が適用されることになりますので夫婦での協議が必要になります。

Q2.年金分割も公正証書にするべきですか?

離婚時の条件をまとめた文書を「離婚協議書」と呼びますが、これに法的な拘束力を持たせることができる公正証書まで作成する必要はあるのか?という点ですが、基本的には作成した方が良いと言えます。

夫婦が揃って年金事務所に出向き私署証書(離婚協議書と同じようなもの)を作成する場合、突然、相手方が年金分割を拒否し受給ができなくなる。というリスクがあります。

そのため、協議事項は公正証書にして、請求者だけでも年金事務所に提出ができる状態にしておく方が良いでしょう。

Q3.年金分割後に再婚するとどうなりますか?

年金分割後に再婚すると「分割された側」からすると分割を取りやめたい。と考えることだと思います。しかしながら、一度年金分割をした場合は再婚しても取り消すことは出来ません。

これは、夫婦関係であった時に、相手方を支えた事実に対して年金分割が適用されていることから、仮に受給者が再婚しても年金分割は適用される。ということになります。

まとめ

離婚時の年金分割について解説を行いました。

年金分割の金額は高くても5万円程度になりますので、それだけでは老後の生活を生き抜くのは難しいと言えるでしょう。とは言え、少しでも老後資金が増やせるならばしっかりと手続きを行うべきと言えます。

また、長年一緒にいるほど慰謝料や財産分与など請求しづらい側面もあるかもしれませんが、自分自身にも生活がありますので妥協せずにしっかりと請求することをおすすめします。









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