会社員や公務員の方は誰もが厚生年金に加入することになりますが、会社を退職した場合は厚生年金から国民年金への切り替え手続きが必要になります。
ただ、どこでどのように手続きすれば良いのかご存じない方も多いでしょう。さらに「いつ退職しいつ入社するか」によって国民年金保険料の発生有無が異なります。
そこで、会社を退職する前に知っておきたい国民年金への切り替え方法と手続き期限について解説を行いたいと思います。
目次
厚生年金から国民年金への切り替え手続きと期限
まずは、会社を退職し厚生年金から国民年金に切り替えを行う一般的な手続き方法と期限についてまとめましたのでご確認ください。
項目 | 詳細 |
申請場所 | お住まいの市区町村役場・国民年金窓口 |
申請期限 | 退職した日から14日以内 |
必要書類 |
|
基本的には退職した日から14日以内に必要書類を揃え、お住いの市区町村役場で厚生年金から国民年金への切り替え手続きを行う事になります。
ただし、退職する日から次の会社に入社するまでの期間によって国民年金保険料の発生有無が異なりますのでケーススタディ別に解説を行います。
月末退職翌月末日以降も厚生年金に加入しない場合
1つ目は、月末に会社を退職し翌月末日を超えても国民年金に加入している場合です。分かりやすくするために具体的な日付を決めたいと思います。
会社退職日 | 国民年金資格取得日 |
〜3月31日 | 4月1日〜 |
3月31日に会社を退職した場合、4月1日に厚生年金の資格喪失手続きと国民年金の資格取得手続きを行うことになります。そして、国民年金保険料は4月分から発生することになります。
ただし、4月末日まで国民年金に加入している前提となります。
月中退職当月末以降も厚生年金に加入しない場合
2つ目の事例は月の中盤に会社を退職し、その月内に国民年金の資格を取得し月末以降も厚生年金に加入しない場合です。こちらも日付を決めて解説します。
会社退職日 | 国民年金資格取得日 |
〜4月15日 | 4月16日〜 |
4月15日に会社を退職した場合は、4月16日に厚生年金の資格喪失手続きと国民年金の資格取得手続きを行うことになります。そして月の中盤で国民年金の資格を取得した場合も、4月末以降も国民年金に加入する場合は、保険料の納付が必要になります。
月末退職翌月中に厚生年金に加入する場合
次に月末に退職し翌月の中盤に再就職するのですが、それまでの間、国民年金に加入する場合です。日付を入れると以下のようになります。
会社退職日 | 国民年金資格取得日 | 厚生年金資格取得日 |
〜3月31日 | 4月1日〜4月15日 | 4月16日〜 |
3月31日で会社を退職し4月1日に国民年金の資格を取得。その後、4月16日に再就職し厚生年金の資格を取得した場合は、4月16日に国民年金の資格喪失と厚生年金への資格取得手続きを会社が行ってくれます。そして、4月分の国民年金保険料の納付は必要が無くなります。
月末退職翌月中に厚生年金に加入したがすぐに退職した場合
最後の事例としては、月末に会社を退職し翌月中盤に再就職をしたが数日で会社を辞めてしまった場合です。少々複雑ですが日付にすると以下のようになります。
会社退職日 | 国民年金資格取得日 | 厚生年金資格取得〜退職日 | 国民年金資格取得日 |
〜3月31日 | 4月1日〜 | 4月16日〜20日 | 4月21日〜 |
3月31日で会社を退職し4月1日から国民年金の資格を取得。4月16日に再就職はしたものの4月20日には再度退職してしまい4月21日より再度国民年金の資格を取得する場合です。
この場合は、4月1日に国民年金の資格取得、4月16日に資格喪失。4月16日に厚生年金の資格取得、21日に資格喪失。4月21日に国民年金の資格取得となりますので、4月分の国民年金保険料の支払いが必要になります。
逆に厚生年金保険料の支払いが不要になると覚えておきましょう。再就職先から受け取る給与明細で厚生年金保険料の徴収がされていないかの確認を行うべきでしょう。
配偶者も第3号被保険者から第1号被保険者への切り替えが必要
会社員としてお勤めの第2号被保険者が会社を退職し第1号被保険者になった場合は、その扶養家族である配偶者も第3号被保険者から第1号被保険者への切り替えが必要になります。
「国民年金第3号被保険者とは?申請が漏れると受給額減少の危険性大」にて解説を行いましたが、配偶者の切り替え手続きを忘れてしまい、結果として配偶者の方の年金が未納状態になっているケースがあります。
第3号被保険者は第2号被保険者の配偶者のみが対象になりますので第1号被保険者の扶養家族は第3号被保険者に該当しないと覚えておきましょう。
年金の仕組みについては「国民年金と厚生年金ってどんな制度?仕組みを分かりやすく簡単に解説」をご参照ください。
国民年金への切り替え手続きをしなかった場合
もし、会社を退職し厚生年金の資格喪失手続き及び国民年金の資格取得手続きを行わなかった場合どうなるのでしょう。
結論を言えば強制的に国民年金への切り替えが行われます。
日本に在住する20歳から60歳までの方は必ず年金への加入が義務付けされておりますので手続きをしなくても切り替えがされるのです。では、なぜ、会社を退職したら国民年金の切り替え手続きが必要になるのでしょう。
これは、厚生年金から国民年金の切り替え手続きを行わないと強制的に切り替えされるまでの間、本来納付が必要な保険料を納めていない期間が発生してしまいます。
結果として、「数万円から数十万近くの保険料をまとめて支払ってくれ」と通知が来てしまい驚くことになるでしょう。このようなことを防ぐためにも手続きはしっかりと行うことをおすすめします。
会社を退職したら国民年金への切り替えを忘れないように
会社を退職した際に厚生年金から国民年金への切り替えを行う方法と期限について解説を行いました。
手続きは会社を退職してから厚生年金に”いつ”加入するかによって保険料の納付有無が変わりますのでご自身がどのケースに該当するのか確認を行いましょう。
また、切り替え手続きを忘れてしまうとまとめて保険料の納付通知が届くリスクがありますので注意しましょう。
万が一手続きを忘れてしまい高額な保険料を納付する必要が出てしまったが、経済的に支払いが厳しい場合は「国民年金保険料の免除と猶予|基準・申請方法・必要書類・追納を解説」をご参照の上、猶予や免除ができるか確認をしてください。