相続税の税務調査の対象者・割合・時期・質問例・時効を徹底解説







突然、税務署から電話があった。

相続税の件で相続人全員と税理士先生とお話をしたいのですが、ご予定いかがでしょう?」という具合に突然の連絡に戸惑い焦った方も多いかもしれません。

これは、多くの場合が「税務調査」の連絡になります。ただ、この電話だけでは相続税の申告漏れが確定した訳ではありません。あくまでお話を聞かせてください。という内容です。

ただし、税務調査の対応を誤ってしまうと追徴課税が課せられる可能性が高まりますので、今回は相続税の税務調査における対象者・割合・時期・質問例・時効について解説をしたいと思います。

相続税の税務調査の対象者

相続税の税務調査の対象に選ばれる方は、公平性を担保するためにKSKシステム(国税総合管理システム)から対象者が選定されるとしております。

もちろん、申告漏れが疑われる人であればシステム外で税務調査が発生する可能性もあるでしょうが、基本的にはシステムを活用し調査対象者を選抜していると言えます。

ちなみに、税務署は個人の財産を把握しておりますので無申告者などは一発で税務調査の対象されてしまうでしょう。

相続税の納付から逃れらるかもしれない。と甘い考えは捨てしっかりと申告を行なった方が良いと言えます。現在はマイナンバーもありますので簡単に特定されるでしょう。

相続税の税務調査は4人1人の割合でやってくる

税務調査の対象に選ばれる割合はおおよそ4人1人なので確率としては25%程度になるでしょう。そして、この税務調査後に追徴課税に合う確率は81.8%と決して他人事ではないと言えます

そして、追徴課税に合った場合に納める相続税の平均は489万円にもなるのです。なんとも恐ろしい調査と言えます。

よく、遺産額少ないから私には税務調査は来ないだろう。と考える方が多いと聞きますが、先ほどもお伝えしたようにシステムで税務調査の対象者を選定しておりますので、遺産額が少ない場合でも税務調査の対象になると考えるべきでしょう。

相続税の税務調査時期は2年後の5月〜11月が多い

税務調査自体は年中行なっておりますが、傾向としては申告後から2年経過した年の5月から11月の間に実施されることが多いようです。5月〜6月は比較的遺産総額の少ないケースの税務調査を行い、7月〜11月は遺産総額が大きいケースの税務調査を行うと言われています。

これは、税務署の1年の動きに影響をしており、1月〜3月は確定申告の時期で税務調査をしている余裕がなく、税務署の年度末が6月末であることから5月と6月は少しでもポイントを稼ぐために少額遺産の案件を手早く追徴課税したいと考えるようです。

そして、7月には人事異動があり、それが落ち着く8月から確定申告前の準備が始める11月くらいまでに遺産総額の大きい税務調査を実施するようです。

相続税の税務調査でよくある質問例

税務調査は2人組みで朝の10時くらいから16時程度まで拘束され様々な質問を聞かれることになります。場所は、被相続人の自宅が基本となり、すでに売却済みなどで自宅を所有していない場合は遺産相続額が最も多い相続人の自宅で行われます。

その際、数多の質問がされる訳ですが、この受け答え次第で追徴課税の金額が大きく変わりますので、よくある質問例を確認してみましょう。

質問1.亡くなった方はどのような趣味をお持ちでしたか?

1つ目のよくある質問は趣味や好きだったこと。よく行く場所はどこか?など被相続人が生前にどのようなことに楽しみを感じていたのか?という質問です。一見、関係ない質問に思えますが、税務署は関係ない質問など一切しません。

これは、趣味を通じて、追徴課税のターゲットを探っています。例えば、ゴルフが趣味だと答えた場合は「ゴルフ会員権」は遺産の1つにカウントされます。

さらには、海外旅行が趣味だと言えば、外国に口座を持っているのでは?などを想定し質問を掘り下げてくるでしょう。

質問2.亡くなった方の直前の状況を詳しく教えて頂けますか?

2つ目の質問は亡くなった直前の状況を質問されます。なんとも最低な質問にも聞こえますが、実際にどのように亡くなったかなど税務署は興味がありません。知りたいことはたった1つで預金通帳を誰が管理していたか。です。

どういう意味かと言えば、寝たきりで自分の意思でお金が使えない場合に、死の直前に数百万円単位の引き出しがあるケースが多く税務署はその点を疑っています。

その数百万円の引き出しの用途は「葬式代」です。

被相続人が亡くなると銀行口座は凍結されお金の引き出しが出来なくなるので、亡くなる前に合わてて葬式代を引き出す方が多いのですが、この時はまだ「被相続人は生きています」ので、手元現金として申告が必要になります。

これが漏れていた場合は、追徴課税されますので十分に注意しましょう。

質問3.毎年110万円ずつ振込されてますがお金の存在を知ったのはいつ?

被相続人がお孫さんなどに贈与税の掛からない110万円を限度に毎年振込をしている。というケースも多いでしょう。実はこれも税務調査における狙いの1つです。それは、この口座の存在を受取人が知っていたかどうか?ということです。

仮に子どもやお孫さん名義の口座に振込をしていたとしても口座の存在を知らない場合は、生前贈与の扱いにはならず被相続人の遺産として換算されてしまいますので注意が必要です。

質問4.そのキャッシュカードや通帳はどこに保管してありましたか?

さらに、口座の存在を知っていたとしても、受取人がいつでも使える状態でなければ、こちらも生前贈与として成立がしません。そのため、キャッシュカードや通帳の保管場所を聞かれることになります。

例えば、口座の存在を知っていたとしてもキャッシュカードや通帳の保管場所が被相続人の金庫の中で自由に使えなかった場合、これも生前贈与としてカウントされないことから追徴課税の対象になってしまいます。

質問5.なぜこの口座は入金しかないのですか?

さらに、ひっかけの質問もあります。子どもやお孫さん名義の口座で被相続人が生前贈与として毎年振込をしていたとして、口座の存在や引き出しの自由を確かめるために「入金しかない理由はなぜですか?」と聞いてきます。

この時に、将来のために貯金している。と答えれば問題ありませんが、「あ、その口座はおじいちゃんが勝手に振込してて亡くなってからその存在を知ったんだ。」と答えてしまうと一発で追徴課税となります。

生前贈与は贈与契約書を作成するべき

上記のように、「生前贈与の存在を知らない」、「贈与したお金が自由に使えない」ということを公的に対策するには、「贈与契約書」を締結する必要があります。

その際、贈与する都度作成する必要があり、1年の贈与税の非課税枠である110万円を10年間続ければ10枚の契約書が必要となります。

少々面倒ですが必ず作成するようにしましょう。

悪意のない無申告者は5年が時効

相続税の申告における時効は納税義務の発生から5年間になります。これは相続人が納税の必要性を知らずに申告を怠ってしまった場合に限り、少しでも相続税の申告が必要だと認識していた場合には、時効が7年に延長されます。

とは言え、時効前に税務署から指摘された場合は延滞税が発生し多くの相続税を支払うことになりますので、相続税の支払いが必要なのかは事前に確認すべきでしょう。

相続税の計算方法は「相続税の計算方法|財産評価・控除の種類を分かりやすく解説」にて詳しく解説をしておりますので、対象になるか簡単にでも計算しておくことをおすすめします。

まとめ

相続税の税務調査において対象者・割合・時期・質問例・時効について解説を行いました。

税務調査は4人1人の割合で実施されますので、決して他人事ではなく、追徴課税される可能性も高いと言えます。とは言え、相続税の申告は専門の税理士に依頼することで、仮に税務調査となった場合でも追徴課税0円にすることも可能になります。

それができる税理士は相続を専門としている税理士になりますので、誰でも良い訳ではありません。相続に強い税理士を見極める方法は「相続税の相談や申告に強い税理士の選び方と目安費用を解説」にて解説をしておりますのでご参照ください。

加えて、実際に税理士を探す場合は「税理士ドットコム」を活用し一括問い合わせを行うと非常に便利と言えるでしょう。









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