老後資金の必要額|会社員・持ち家世帯は1,500万円で生活可能?

老後資金の必要額は、家計によって大きく異なることから一概に正確な金額を断定することは非常に難しいと言えます。自営業で国民年金にしか加入していない方もいれば、会社員で厚生年金に加入している方もおります。

これによって、受給できる年金額に大きな差が生まれますし、住まいも「持ち家」か「賃貸住宅」かでも毎月の支出は大きく変わります。

今回は、22歳から65歳まで会社員として勤め、持ち家であった場合の老後資金の必要額について解説を行います。

モデルケース

  • 夫:現在65歳で22歳から65歳まで会社員として勤め40年間厚生年金に加入
  • 妻:現在65歳で20歳から60歳まで第3号被保険者として国民年金に加入
  • 子:すでに独立し離れて暮らしている
  • 住宅:持ち家で65歳時点ですでに住宅ローンを完済している(固定資産税は毎年20万円)

夫が会社員の場合は夫婦の年金受給額が21.2万円は確保できる

会社員の方は現役時代に厚生年金に加入をしているため、65歳以降は老齢厚生年金を受給することが可能になります。老齢厚生年金の平均受給額は「2017年最新|年金支給額の平均は国民年金5.5万円・厚生年金14.7万円」を参照すると毎月14.7万円の収入が確保可能です。

加えて、妻は20歳から60歳まで第3号被保険者として国民年金に40年間加入したこととなりますので老齢基礎年金を満額受給することが可能です。老齢基礎年金の満額受給額は「平成29年度|国民年金(老齢基礎年金)の満額支給は年額77万9300円」より毎月6.5万円受給することが可能になります。

夫婦の年金収入を合計すると21.2万円となりますが、日本の平均寿命を見ると男性80.98歳・女性87.14歳と女性の方が6年程度長生きをすることが分かります。

そのため、夫が亡くなった後の妻の年金収入についても確認をしてみましょう。

夫が死亡した場合は妻が遺族厚生年金を受給できる

夫が死亡した場合に今回のモデルケースである妻が「遺族厚生年金」をいくら受給できるのか算出したいと思います。「妻の年金はいくら下がる?夫の死後に受け取れる遺族年金の受給額」にて解説をしておりますが、遺族厚生年金は老齢厚生年金の3/4程度が支給額の目安となります。

今回のモデルケースの場合は、老齢厚生年金が14.7万円(内、老齢基礎年金が5.5万円)として遺族年金の受給額を計算してみましょう。

遺族厚生年金の受給額

(14.7万円-5.5万円)×0.75=6.9万円(遺族年金受給額)

6.9万円の遺族年金に妻の老齢基礎年金である6.5万円も加えますので、夫の死後に受給できる妻の年金額は13.4万円となります。

老後の生活費は夫婦で27.7万円・独身で15.8万円必要(持ち家)

老後の収入が分かりましたので、次に老後の生活費を確認してみましょう。「老後の生活費は平均いくら?一人暮らし・夫婦別に8パターンを解説」を参照すると、1ヶ月の夫婦の平均支出額は27.7万円となっております。また、夫が死亡した後の妻1人の生活費は15.8万円となります。

これは、持ち家の場合の支出となりますので、賃貸住宅の場合は上記の金額に+5万円程度は上乗せが必要になりますので老後資金の必要額は大きく変わることとなります。

さて、収入と支出が明らかになりましたが、どの程度老後資金が不足するのか確認をしてみましょう。

世帯 収入 支出 不足額
夫・妻 21.2万円 27.7万円 △6.5万円
妻のみ 13.4万円 15.8万円 △2.4万円

夫と妻で暮らしている時は毎月6.5万円の赤字となり、夫が死亡した後は毎月2.4万年の赤字になることが分かりました。これを平均寿命に合わせて老後資金の必要額を算出してみましょう。

老後資金の必要額は1500万円で十分

平均寿命より、夫婦で老後の生活を過ごせる期間は65歳から81歳までとし、その後、妻だけで生活する期間を82歳から87歳として老後資金の必要額を計算してみます。

世帯 毎月の赤字額 老後の期間 老後資金の必要額
夫・妻 △6.5万円 192ヶ月 △1,248万円
妻のみ △2.4万円 60ヶ月 △144万円
合計 △1,392万円

平均寿命まで生きた場合として計算をすると老後資金の必要額は1,392万円が必要であることが分かりました。従って1,500万円もあれば十分老後資金は足りることが分かります。

それでも、夫婦二人世帯の場合、老後資金が3,000万円や5,000万円必要であるとよく言われます。

本メディアでも「老後資金の必要額|夫婦二人で5000万円の貯蓄が必要な理由」にて夫婦二人世帯の老後資金は5000万円必要であることを伝えましたが、どのような理由なのか確認をしてみましょう。

老後資金の必要額が3000万円や5000万円必要と言われる理由

さて、老後資金が1,500万円でも十分足りるとお伝えしましたが、その2倍以上の金額が老後資金として必要だと言われる理由について解説を行います。

介護費用と期間の見積もり方

老後資金の必要額が大きく変わる1つとして介護費用があります。特に介護施設への入居は入居一時金と入居費用が施設によって大きく異なることから見積もりが難しい部分でもあります。

生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」を参照すると介護の平均期間は4年11ヶ月、毎月の費用は7.9万円と報告がされておりますので1人あたり466万円の介護費用が必要であると見積もることができます。

しかしながら、実際に介護施設の入居費用を確認すると入居一時金で300万円、月額の入居費で30万円などもよく見受けられるのです。また、入居期間も施設に入居してから1年から2年で亡くなる場合もあれば10年近くも施設に入居する場合もあるなど様々です。

従って、介護費用は最低でも466万円×2人なので932万円を用意すると考えると、それだけで3000万円の老後資金が必要と言われることが理解できると思います。

老後の生活を何歳から始めるか

また、仕事を定年退職しいつから老後の生活を始めるのかでも、老後資金の必要額に大きな差が生まれます。

60歳から老後の生活を始めた場合は5年間は年金を受給することができないので、27.7万円×60ヶ月である1,662万円が追加で必要になります。

先程の介護費用を含めた3,000万円に1,662万円を加えると老後資金の必要額は4,500万円程度まで膨れ上がることが分かります。

将来の法改正リスクに対しての考え方

さらに、現在は消費税増税、高額医療費の自己負担額増加、年金カット法案など老後の生活を苦しめる法改正が続いています。これによって毎月の支出が増加することから現在の老後資金の必要額に一定の金額を加算した方が良いと言えるでしょう。

仮に500万円程度を法改正の備えとして用意するとそれだけで5,000万円の老後資金が必要になります。

亡くなるまで健康で大きな法改正がなければ1,500万円で老後資金は足ります。あとは、不安を解消するためにいくらお金を用意するかで老後資金の必要額が変わることになります。

老後資金の不安を解消させるためのおすすめ資産運用

とは言え、簡単に3,000万円も5,000万円も老後資金を用意することは難しいでしょう。そこで、老後資金を貯めるためにおすすめの資産運用についてご紹介をしたいと思います。お金に働いてもらうことで、老後の不安を少しでも解消するようにしましょう。

終身保険は低リスクで資産を増やす最も人気の高い金融商品

終身保険に加入するメリットは、一定期間加入することでほぼ確実に「保険返戻金」を多く受け取れる点です。

保険会社の倒産リスクや10年以上は保険料を支払い続けないと「保険返戻金」が多く受け取れないなどデメリットもありますが、それでも確実に資産を増やせる。という点で非常に人気の商品となっております。

終身保険の詳しい解説は「老後の保険|60歳からでも老後資金が確保できるおすすめの方法」をご参照ください。

ヘッジファンドまたは投資信託でプロに資産を増やしてもらう

資産運用をプロに任せる方法として「ヘッジファンド」と「投資信託」があります。

ヘッジファンドに運用を任せる場合は、金額の単位が1,000万円以上と非常に高額となります。その分、「絶対収益」を運用方針として相場が上がった場合も下がった場合も常に収益を上げる運用を行なってくれます。

一方で、「投資信託」の場合は「ヘッジファンド」よりも少額から運用を任せることが出来ますので老後資金や退職金の一部を活用するなど分散投資がしやすいというメリットがあります。

「投資信託」の運用方針は「ベンチマークを上回る」ことを目的としています。ベンチマークとはTOPIXや日経平均株価などの基準となる指数を超えるように運用を行なうことを目的としています。

ヘッジファンド、投資信託の詳しい解説は「退職金の運用で失敗しないおすすめプラン5種を徹底比較」をご参照ください。

持ち家だからできるリバースモーゲージで銀行借り入れ

高齢者は生活資金が不足したからと言って簡単には銀行もお金を貸してくれません。さらにカードローンも65歳までしか借り入れできないなど様々な制約があります。

このような時におすすめしたいのが、リバースモーゲージです。

持ち家を担保に金融機関から老後資金を借り入れすることができ、サービス付き高齢者住宅の入居一時金や生活費に借りたお金を活用することが可能です。

リバースモーゲージの最大の特徴は、毎月の返済が金利だけとなり元金は契約者が亡くなった時に担保住宅を売却することで返済を完了させることが可能になります。

そのため、借り入れした金額の多くは生活資金として活用出来るのポイントになります。

ただし、審査基準が厳しいことやリスクもありますので、詳しくは「リバースモーゲージとは|1から理解し使いこなすための全知識」をご参照ください。

まとめ

老後資金の必要額は会社員の持ち家世帯であれば1,500万円で足りるとも言えますが、それには65歳まで仕事を続け健康で生涯を終える必要があるとも言えます。

そのため、1500万円は老後資金の必要額として必ず必要であり、それ以上の金額については資産運用をベースに貯められる金額をシミュレーションし、毎月の支出をコントロールすることが最善と言えるでしょう。

50代から学ぶ「定年後設計スクール」



定年後はお金・生活・住まい・年金・医療費・相続・介護・補助金など知らないと”損”ばかりしてしまうことがたくさんあります。

そんな時におすすめしたいのが、50代から学ぶ「定年後設計スクール体験学習会」です。

3ヶ月で学べるプランで構成されており、受講することで老後の不安を大きく解消することができるでしょう。

特に以下のような方にはおすすめです。

  • 定年後もなんとかなると思いつつも不安がある人
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まずは、無料の体験学習会でご自身にとって有益な学びがあるのか判断するだけでも問題ないでしょう。

一人で不安を抱えている前に、まずは行動をすることで1つでも不安を解消するきっかけになります。

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老後資金の教科書

老後資金の教科書は老後の生活をより豊かにするために、金融や老後に関する法改正などを中心に解説記事を掲載しています。 リバースモーゲージ、介護保険問題、年金カット法案、高額医療費の自己負担の増加など難しい制度を分かりやすくご紹介します。