某飲料関連企業に50歳でヘッドハンティングされ中途入社した中村智。62歳まで部長職として活躍した。彼が手にした退職金は3000万円。老後資金は貯蓄と退職金を合わせて5500万円。十分な老後資金を手にした中村が5年間で3000万円の退職金を溶かした原因は「資産運用の失敗」だ。
今回は、中村がなぜ資産運用に失敗したのかについて紹介しよう。
目次
大手飲料関連企業の部長
名前:中村智
年齢:70歳(現在)
年収:1200万円(現役時代)
貯金:2500万円(62歳時点※退職金を含まず)
職業:大手飲料関連企業のマーケティング部長
住まい:埼玉県浦和市(戸建)
家族構成:妻:65歳、長男:35歳、次男:33歳
順調だったサラリーマン時代
中村は慶應義塾大学をストレートで入学し卒業した。卒業後は、非上場ながら売上高1兆円を超える大手企業の飲料メーカーに入社した。新卒時代は営業畑で活躍し35歳の時に課長に昇進した。その後、40歳の時に「マーケティング部マーケティング課」の課長職として異動する。
実際、中村は競合他社よりも優先的な広告枠を獲得し、自社製品は飛ぶように売れた。
しかし、44歳の時、バブルは崩壊し景気は低迷。予算も削減されるが、「水や酒」などを提供している会社だからこそ、厳しいながらも会社は存続していた。
50歳の時に部長職でヘッドハンティング
バブル崩壊後も課長として第一線で活躍していた中村だが、そろそろ「部長」になりたい。という気持ちが芽生えていた。一部早い人間だと部長昇格のニュースが流れるような環境だった。
「ヘッドハンティング会社」からの連絡
その時は突然きた。49歳の時だった。新作発表のレセプションパーティーを大々的に開いており、そこに出席した帰りヘッドハンティング会社から声を掛けられた。
年収1000万円・部長待遇として迎えたい
当時中村の年収は750万円。実に250万円のアップ。加えて、念願の部長だ。これが事実なら断る理由はなかった。条件面に非常に惹かれた中村はその後、何度かハンターと接触し50歳の時競合へと移籍した。
新天地でも順調だった15年間
新天地では部長として、年収は1000万円。約束通りの条件で雇用された。ただ持ち前の企画力と実行力で60歳の時には、1200万円まで年収を上げていた。
定年退職、退職金は3000万円
中村は62歳の時、定年の65歳よりも3年早く退職した。退職金は3000万円だ。中途入社で12年しか務めていない会社で3000万円はかなり高い金額であろう。
一方で、素直に喜べないニュースも入る。
惨めを脱却したくて始めた資産運用
中村は、この惨めな気持ちを払拭したく「資産運用」を行うことにした。もちろん、資産運用の経験はなく、多少の知見がある「株式投資」の勉強を始めた。
ビギナーズラック
早速、複数の銘柄を購入した。まずは、200万円を株式投投資資金に当ててスタートをした。
退職金3000万円を全額投資に入れる
中村は自分の投資テクニックを過信していた。貯金は資産運用とは別に2500万円あったことから、退職金の3000万円を全額「株式投資」に投下することを決める。
一瞬で3000万円が吹き飛んだ株式投資の失敗
東日本大震災。震災直後はそこまで大きな株価への影響は無かったものの市場の低迷で数週間のうちに大きく株価は下落した。
資産運用は分散型投資を行い、リスクを分散させることが鉄板だが、株式投資のビギナーズラックの影響と別の資産運用方法を勉強する手間を惜しんだ結果、株式投資で大きな損害を出してしまった。
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これからの老後生活をどう暮らしていくか
絶望の果てにいる中村。残りの資産は2500万円の貯金だけだ。幸いあと2年で年金が支給されるのですぐに老後破産になる。などの問題はない。ただ、5500万円の預貯金が2500万円まで減ったショックは大きかった。
親友がリバースモーゲージを契約
65歳を迎えたある日。投資の傷も少しずつ癒え古い親友と飲みに行く機会があった。親友は銀行マンとして定年まで働いてきたが、同じように株で大損したようだ。
資産運用の失敗を乗り越えられたリバースモーゲージ
中村は現在、70歳だ。年金収入もあり、生活自体が困窮しているわけではない。貯金もまだ1200万円ある。
老後資金の計画を立てたが84歳で老後破産の危機が。老後破産の対策にリバースモーゲージを選択した背景は続編をご覧ください。