老後の貯金はいくらあれば大丈夫?夫婦・独身別に必要額を解説







老後の貯金はいくらあれば大丈夫なのか?自分の今の貯金で足りるのか?と老後のお金に関する不安は消えないものです。貯金をいくら準備するかは、いくらの収入と支出が発生するのかをまずは理解することが重要です。今回は、老後の貯金必要額を解説すると共に貯金額別に老後の生活に気をつけたいポイントをお伝えしたいと思います。

老後の貯金の目的

老後の貯金の目的について内閣府の「高齢者の経済・生活環境に関する調査結果」を参照すると、一番多い理由に「万が一の生活に備えるために」という理由が47.5%と最も多く、次いで「普段の生活を維持するために」が17.8%という結果になっています。やはり、重たい病気や介護などに備えて貯金を少しでも残しておきたいと考えるのが自然のようです。そして、もう一つ注目すべきことは、貯金がない方が全体で22.7%もいるということです。約4人1人は貯金がない状態のため生活が非常に困窮していることが想定されます。詳細を確認してみましょう。

独身男性の37.5%・離別は47.4%の方が貯金なし

貯金がない方で高い割合を占めているのが独身男女になります。独身男性の貯金がない方は全体で37.5%にもなります。加えて詳細を確認すると最も貯金がないと回答をしたのは「離別」の方で47.4%になる結果でした。離別の場合は財産分与によってこれまで夫婦で築き上げた財産を半分にする必要がります。そのため、貯金を使い果たしてしまうことや場合によっては慰謝料などにより支出が増加することもあるかもしれません。結果として、約半数が貯金がないという状態となり、多くの方が老後破産をする可能性が高くなると言えるでしょう。

独身女性の30.6%・離別は32.2%の方が貯金がない

独身女性を見ると、独身男性よりは貯金がある方が多いようです。全体平均は30.6%、離別で32.2%という結果になっています。女性の場合も財産分与によって貯金額が半分になってしまうのですが、やはりこれまで家計を支えてきた方も多いのか男性よりは貯金がある方が多いようです。それでも、30%以上の方が貯金がないという状態のため非常に危険であることは変わらないと言えるでしょう。

老後に貯金がない場合の対策

老後に貯金がない世帯はどのように対策するべきなのか?諦めるのはまだ早いと言えます。老後の不安を解決|貯金0円でも老後の生活を生き抜く方法8選でもご紹介しておりますが、65歳以降も仕事を続けることや固定費の削減、保険や住宅ローンの見直しなどを行うことで出て行くお金を減らす努力を行いましょう。加えて、住宅をお持ちであればリバースモーゲージを活用することで老後資金の借り入れも可能です。

老後の貯金額の平均値と中央値

ここまで老後に貯金がない方の現状と対策をお伝えしましたが、貯金がある方はどの程度の貯金を有しているのか金融広報中央委員会の「知るぽると」が調査した平成28年の家計の金融行動に関する世論調査を参照してみましょう。こちらのデータは年齢別の貯蓄額が記載されております。その上で金融資産全体に対して、貯金が占める割合は夫婦世帯で55.3%、独身世帯で48.8%となっていますので貯蓄額に貯金割合を掛けて算出をしたいと思います。

60代の夫婦世帯は貯金平均値が2202万円と貯金中央値が1500万円

まずは60代の夫婦世帯の金融資産全体の貯蓄額は平均値で2202万円、中央値で1500万円という結果になります。金融資産全体ですので株や保険なども含まれますので現金化すれば貯金額が増えるでしょう。この内貯金が占める割合は55.3%になりますので貯金平均値は1217万円、貯金中央値は829万円になります。

項目平均値中央値
60代の貯蓄額2202万円1500万円
内貯金が占める割合55.3%55.3%
60代の貯金額1218万円830万円

60代の独身世帯は貯金平均値が2642万円と貯金中央値が1323万円

60代の独身世帯の金融資産全体の貯蓄額は平均値で2642万円、中央値で1323万円という結果になります。独身世帯は平均値を見ると夫婦世帯よりも貯蓄額が高い一方で中央値は夫婦世帯より低いことから独身貴族として資産を多く保有する方から貯蓄がほとんど作れていない方まで格差があると想定できます。この内、貯金が占める割合は48.8%になりますので貯金平均値は1289万円、貯金中央値は646万円になります。

項目平均値中央値
60代の貯蓄額2642万円1323万円
内貯金が占める割合48.8%48.8%
60代の貯金額1289万円646万円

老後の貯金はいくらあれば大丈夫?

それでは老後の貯金はいくらあれば大丈夫なのか?老後資金の必要額を算出するには収入と支出を把握する必要がありますが、夫婦世帯と独身世帯によって異なりますので総務省の家計調査年報から老後の生活費と収入を算出したいと思います。加えて、介護費用は生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」を参照し1人あたりの介護費を466万円とします。葬式費は日本消費者協会の葬儀に関するアンケート結果から1人あたり196万円の支払いが発生するとします。

夫婦世帯の老後資金必要額は2944万円

家計調査年報を参照すると夫婦の毎月の収入は21.1万円が平均となっており支出は26.7万円となっております。従って、毎月5.4万円の赤字となっています。加えて介護費用と葬式費用を加算すると夫婦世帯の老後資金の必要額は2944万円必要であることが分かります。これは65歳から老後の生活を始めた場合になりますので60歳から老後の生活を始める場合は1600万円を加算しますので4500万円近い老後資金が必要となります。詳しくは、老後資金の必要額|夫婦二人で5000万円の貯蓄が必要な理由を参照ください。

夫婦世帯の老後資金必要額を算出

  • 5.4万円(毎月の赤字額)ー25年間(老後の生活期間)=1620万円
  • 466万円(介護費用)×2名=932万円
  • 196万円(葬式費用)×2名=392万円

1620万円+932万円+392万円=2944万円(老後資金の必要額)

独身世帯の老後資金必要額は1742万円

独身世帯の老後の収入は12万円、支出は15.6万円と毎月3.6万円の赤字となっています。老後の生活費のみで1080万円の赤字となっていますが、これに独身世帯でも介護費や葬式費を用意する必要がありますのでそちらも加算すると1742万円が老後資金の必要額になります。60歳で老後の生活を始める場合は930万円を加算しますので2680万円が老後資金の必要額になります。

独身世帯の老後資金必要額を算出

  • 3.6万円(毎月の赤字額)ー25年間(老後の生活期間)=1080万円
  • 466万円(介護費用)×1名=466万円
  • 196万円(葬式費用)×1名=196万円

1080万円+466万円+196万円=1742万円(老後資金の必要額)

老後資金は夫婦で1444万円、独身で419万円不足している

夫婦世帯で2944万円、独身世帯で1742万円の老後資金が必要であることが分かりました。それでは先ほどの貯蓄中央値から引くといくらの老後資金が不足するのか確認すると夫婦世帯で1444万円、独身世帯で419万円の老後資金が不足することが分かりました。

世帯構成老後資金の必要額老後の貯蓄不足額
夫婦世帯2944万円1500万円△1444万円
独身世帯1742万円1323万円△419万円

老後資金の貯め方

老後資金が一定額不足するのは分かりましたが、知りたいのはこの足りない老後資金をどのように貯めるのか?という貯め方の話です。最近は、iDeCoなど税制優遇付きの資産運用の制度が始まったことやロボアドバイザー呼ばれる運用ツールが開発されるなど老後に向けた貯金を貯める方法が発展しています。もちろん、固定費の削減として、生活費の削減や住宅ローン・保険の見直しも有効です。加えて住宅をお持ちであればリバースモーゲージの活用も視野に入れて良いと考えられます。詳しくは、老後の貯蓄はいくら必要?貯金額に応じた老後資金の貯め方を解説をご参照ください。

【貯金額別】老後の生活水準

ここまで貯金がいくらあれば大丈夫なのか?について解説を行いましたが、実際に貯金できる金額はまた別の話になるでしょう。そこで貯金額別にどのような老後の生活を送ることになるのか水準を確認してみましょう。

老後の貯金0円から500万円までの場合

老後の貯金がないもしくは500万円程度しか貯金が出来なかった。という方は、第一に生活費の削減が必須となるでしょう。まず毎月の終始で赤字を出すようであればそのまま老後破産となってしまいますので夫婦世帯は22万円以下、独身世帯は10万円以下での生活が必要になります。生命保険文化センターの「平成28年度生活保障に関する調査」による夫婦の最低限度の生活が22万円と報告があるように非常に切り詰めた生活が予想されます。

仕事を継続することが最も重要

ただ、それだけでは介護費用や葬式費用を用意することが出来ないので、65歳から70歳程度まで毎月8万円程度の収入を得るように仕事を続けることが必要になるでしょう。毎月8万円の収入でも5年間で480万円の貯蓄を作ることができます。加えて上記の生活水準に落とすことで毎月1万円程度貯金ができるので、加えて60万円の貯金が用意できます。結論、540万円が貯金の貯金を作ることができます。貯金500万円ある方であればそれだけで1000万円の貯金を作ることができますので老後の不安も多少は解消するのではないでしょうか。

老後の貯金1000万円から2000万円までの場合

老後の貯金を1000万円から2000万円まで貯金が出来た方は、素晴らしいとも言えますが、ここで油断することなく貯金0円の方と同様に生活費を多少なりとも削減すると良いでしょう。ただ、食費などを削減するのではなく見直すのは日々の無駄使いです。例えば、新聞購読など最近はネットで情報収集ができますので解約するだけで3千円から4千円程度の見直しができることや携帯料金も格安携帯に変えるだけで大幅に通信料を削減できます。車を軽自動車に変えるだけでも毎月の支出は1万円程度削減することが可能です。食費など老後の生活に大きな影響を与える箇所ではない支出にメスを入れることで老後を乗り切る可能性が高まるでしょう。具体例としてこちらの老後の貯蓄1000万円で生活する方法をシミュレーションを参照ください。

老後の貯金3000万円から4000万円までの場合

ここまで貯金が出来た方は、65歳まで仕事を続けさせすれば十分に老後の生活を営むことが可能でしょう。とは言え、毎月の生活自体は赤字ではありますので徐々に老後資金が減っていきます。実は、貯金が目減りしていくことに恐怖を感じる方は非常に多いのです。この時に注意して欲しいことは無理な資産運用に手を付けないということです。よく、老後資金を増やすためには資産運用が必要とあります。これは、間違いではないのですが、しっかりと知識を付けた上で分散投資を行うなどのリスクヘッジが必要です。支出のコントロールを行うことで老後資金の減りを抑えることもできますので資産運用に着手するのはよく検討した方が良いでしょう。間違っても老後の資産運用に失敗。退職金3000万円を5年で使い切った飲料関連企業部長の後悔とならないように注意しましょう。

老後の貯金5000万円から1億円の場合

5000万円から1億円は大きな開きがありますが、この貯金額に達している方は基本的には老後の生活は何も不安なく暮らしていけることができるでしょう。ここまで貯金ができる方なので無理な資産運用に着手することもなく堅実に運用できる方法を知っているなど何かしらお金を貯める方法を知っている方だと想定できます。注意点は想定外な出来事によって老後資金が枯渇してしまうことには注意が必要です。例えば、「子供がうつ病で実家に戻り、夫婦に加え子供の生活費を負担する必要が出た。」というケースなどは良い例ですが、これを想定できる人はいないでしょう。実は、この想定外など出来事によって老後破産をしてしまう方も多いため【老後破産】に陥らないために原因と対策を理解するを参照頂きながら原因と対策を理解しましょう。

老後の貯金が枯渇した時の対策

最後に色々準備は進めたが、不測の事態によって老後の貯金がなくなってしまうと予測できた時に、対策としてリバースモーゲージの活用を検討してもよいでしょう。住宅を担保に銀行から借り入れを行いますので借金と感じる方もいると思いますが、元金の返済が契約者死亡後に担保の住宅を売却し一括返済できるのは貯金が尽きた高齢者には非常にメリットと言えるでしょう。ただリバースモーゲージはリスクもありますのでリバースモーゲージとは|1から理解し使いこなすための全知識を参照頂き検討を進めて頂ければと思います。またその際は、しっかりと老後資金の計画を立てておくことが必要ですので老後資金の全て|老後破産を回避するために身に付けたいお金の知識からご自身が後いくらの貯金が必要なのか算出しておくことをおすすめします。

まとめ

老後の貯金がいくらあれば大丈夫なのか夫婦、独身別に解説を行いました。必要な貯金額に手が届きそうな方から遠い方まで様々だとは思いますが、まずは、自分の老後の生活にどれだけの貯金が必要になるのか算出するところから始めましょう。その上でどのように貯金を貯めるのか複数の方法から選択し、しっかりと対策することで十分に不安を解消することができますのでコツコツと準備を始めるようにしましょう。









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老後資金の教科書

老後資金の教科書は老後の生活をより豊かにするために、金融や老後に関する法改正などを中心に解説記事を掲載しています。 リバースモーゲージ、介護保険問題、年金カット法案、高額医療費の自己負担の増加など難しい制度を分かりやすくご紹介します。