借金を返す必要がない。と聞くとどのように感じますでしょうか?「そんな上手い話はあるのか?」「借りたお金を返さないなど考えられない」など基本的には返済しなければいけない。と考える方が多いことだと思います。
当然、借りたお金は返すべきであると言えますが、借金にも時効がありますので期限を迎えることで返済の必要は無くなるのです。これは借金が1万円でも100万円以上でも全て共通であり、借金は時効を迎えることで返済不要になります。
では、借金が時効になる条件にはどのようなものかがあるのか?起算日や時効が中断・延長される場合について解説をしたいと思います。
借金の時効起算日
借金の時効はいつからカウントされるのか起算日をお伝えしたいと思いますが、その際、「返済期日がある場合」と「返済期日がない」場合で起算日が異なります。
- 借金の返済期日がない場合:借入した翌日から起算する
- 借金の返済期日がある場合:返済期日の翌日から起算する
上記のように、借金の返済期日がない場合は、借入した翌日から起算になりますので、4月1日に借入した場合は4月2日より起算されることになります。
返済期日がある場合は、返済期日の翌日から起算となりますので、4月1日に借入し返済期日が5月1日だった場合は5月2日からが起算日となります。
借金の時効成立条件
それでは、実際に借金の時効を迎えるための条件をお伝えしたいと思います。ポイントは以下3点になります。
- 時効成立期間は5年〜10年必要である
- 借金を一度も返済していない
- 債権者に時効を証明する内容証明を送付する
それでは、上記3点について詳しく解説をしたいと思います。
借金の時効成立条件1.成立期間は5年〜10年間必要
時効の成立には一定の期間必要になりますが、個人からの借金か法人からの借金かによってその期間は異なります。
- 個人からの借入の場合:10年間
- 法人からの借入の場合:5年間
個人からの借入の場合は、時効が成立するまでに10年間の期間が必要になります。また、法人の場合は5年間の期間が必要になりますので、最低限その期間は借金は無くなることはありませんし、むしろ利息が加算され借金総額は膨大に増えていると考えておきましょう。
借金の時効成立条件2.一度も返済していない
2つ目の条件は、借金をしてから一度も返済していない。ということです。一度でも返済をすると「返済の意思がある」と見なされることから借金の時効は中断し成立しなくなります。
また、悪意があって返済を一度もしていないような場合は、物的な証拠を債権者から提示されると詐欺罪が成立し刑罰の対象になることから十分に注意してください。
もし、借金の返済が出来ず困っている場合は「借金が返せないとどうなる?完済するために知っておくべき対処法を解説」を参照いただき対応を検討頂ければと思います。
借金の時効成立条件3.債権者に時効成立の内容証明を送る
借金の時効①と②が成立したとしても、それだけでは時効は成立しません。
時効を成立させるためには、債務者から債権者に対して「時効が成立した旨を伝える」必要があります。これを「時効の援用」と呼びますが、どのように債権者に対して時効を証明するかと言えば、内容証明を送ることが一般的です。
もちろん、債権者に対して口頭で「時効の援用」を伝えることも可能ですが、郵送した日付や受け取りを証明できる内容証明の方が良いと言えるでしょう。
借金の時効で延長や中断が認められるケース
借金の時効①〜③が成立することで時効は認められる訳ですが、債権者も簡単には時効を認めてくれません。あの手この手で時効の延長や中断をすることになります。
ここでは、時効が延長や中断されるケースについてお伝えしたいと思います。
- 債権者が訴状の提出など請求行為を行なった場合
- 債務者が債務を承認した場合
- 裁判所より差し押さえの許可が出た場合
債権者が訴状の提出など請求行為を行なった場合
債権者は訴状の提出など借金の支払いを催促する請求を債務者や裁判所に提出することが可能になります。これによって、借金の時効が延長や中断されることから、その詳細についてお伝えしたいと思います。
- 訴状の提出:費用や時間が必要になるが訴訟を行う書類を提出すること
- 支払督促:契約書などの証拠を揃え簡易裁判所に申し立てを行うこと
- 調停申し立て:調停によって話し合いを設けること
- 即決和解の申し立て:訴状の提出前に和解すること
- 督促書類の提出:裁判前に債務者に対して返済を依頼すること(6ヶ月の時効延長が可能)
借金の金額にもよりますが、債権者も訴訟を起こすと費用も時間も発生してしまうことから督促や申し立てから徐々に時効を伸ばすようにしてくることでしょう。
債務者が債務を承認した場合
債務者が債務を承認した場合は、時効が中断されてしまいます。
この債務の承認とは、先ほどお伝えしたように1回でも返済した場合に適用されることになります。また、時効の期限である5年〜10年を過ぎた後でも債務を承認するとその時点で時効は中断されてしまいます。
その際、債務の承認は1円でも返済した場合に適用されるため、金額は関係ないと覚えておきましょう。
裁判所より差し押さえの許可が出た場合
裁判所が差し押さえの許可を出した場合は、財産が強制徴収されるだけでなく時効も中断することになります。
ただし、債務者の立場で考えると「これから大半の財産を差し押さえされてしまうが、借金の全額が返済できない」と分かれば「自己破産をして借金を帳消しにした方が良い。」と考える人が多いことでしょう。
実際、差し押さえの許可が出た後に自己破産をされてしまうと意味が無くなってしまうことから、債権者も費用や時間を捻出する分リスクがある選択と言えるでしょう。
借金の時効を迎えることは現実的ではない
借金の時効条件を全て満たすことで時効が成立する訳ですが、実際に時効を迎えることは現実的ではないと言えます。
まず、5年〜10年間も督促から逃げ続けるため精神的な負荷は計り知れないでしょう。加えて、引越しなどを行なっても住民票を移動させてしまうとすぐに債権者にバレてしまいます。
仮に住民票を移動しないまま引越しをすると、就労先の会社に住所を証明することも出来ませんし、日常生活においても免許の更新や本人確認で手間が発生することでしょう。当然、子供がいる場合は学校への影響も出てしまいます。
さらに、クレジットカードが使えないことやローンも組めない。債権者に見つかれば、またすぐに引越しをしないといけない。などデメリットが多く借金を踏み倒す理由がない。というのが実態と言えます。
借金の返済が難しい場合は債務整理を検討する
そのため、借金の返済が難しい場合は、逃げようとせずに債務整理を検討することがおすすめと言えます。債務整理には、借金を減額させる「任意整理」と「個人再生」、借金を免除(免責)する「自己破産」などの種類があります。
どの種類の債務整理を行うかは、借金の金額や収入などでも異なることから、まずは、いくらの借金を減額することができるのか以下の借金減額シミュレーターより計算をしても良いでしょう。
債務整理で借金がいくら減額されるのか気になる方は
「借金減額シミュレーター」でいくら借金が減額されのか計算可能です。
また、任意整理、個人再生、自己破産の詳しい解説は以下の関連記事をご参照ください。
まとめ
借金の時効条件や延長・中断されるケースについて解説を行いました。
確かに借金の時効を迎えることができれば、全ての借金を帳消しにすることは可能と言えますが、基本的には時効を迎えられる人はほぼいないと考えた方が良いでしょう。
そのため、返済が難しい場合は、債務整理を少しでも早く検討することをおすすめします。最後に、任意整理と個人再生の体験を以下よりご確認頂けますので、債務整理を検討したい方はご参照ください。
本記事は借金完済の一歩編集部様の協力を得て作成を行なっております。借金完済の一歩様の記事は以下よりご確認いただけます。