うつ病になった時に傷病手当金を受給するメリット・デメリットを解説







うつ病になると仕事を行うことは困難と言えます。ただ、うつ病とは言え毎月の生活費をどのように確保するのかは非常に重要な問題になります。

その際、仕事ができず給料が支給されない人の生活を支えてくれるのが「傷病手当金」です。

傷病手当金は、給料(厳密には標準報酬月額)の2/3が最大で1年6ヶ月間支給される制度です。この制度を活用すればしばらくの間は生活費を担保することが可能です。

では、この傷病手当金を受給するメリットやデメリットはどのようなものがあるのか解説を行いたいと思います。

また、傷病手当金がどのような制度か知りたい方は「傷病手当金とは?知らずに損をしないために知っておくべき知識を解説」をご参照ください。

うつ病になった時に傷病手当金を受給するメリット

それでは早速、うつ病になった時に傷病手当金を受給するメリットからお伝えをしたいと思います。主なメリットは5点ありますので順に解説を行います。

傷病手当金を受給するメリット

  1. 申請から1ヶ月程度で支給が開始される
  2. 標準報酬月額の2/3の支給が受けられる
  3. 最大1年6ヶ月間の給付期間がある
  4. 2年間の時効以内であれば請求可能
  5. 出産手当金との併用も可能

メリット1.申請から1ヶ月程度で支給が開始される

うつ病で労務不能の状態になった場合、傷病手当金ではなく労災を受給することも可能です。しかしながら、労災の場合は認定され支給されるまで1年近くの日数が必要なのです。

1年の間も給料がなく生活できる余力があるならば労災を検討しても良い。と言えますが多くの人は難しいと言えるでしょう。

その点、傷病手当金の場合は申請から1ヶ月程度で支給が開始されますので直近の生活費を確保したい人にとっては非常にメリットがあると言えます。

メリット2.標準報酬月額の2/3の支給が受けられる

傷病手当金の給付額は標準報酬月額の2/3を受け取ることが可能です。簡単に受給額をお伝えすると標準報酬月額が30万円の人は日額6,667円、標準報酬月額が50万円の人は日額11,113円の受給ができます。

標準報酬月額を元に傷病手当金の受給額早見表が協会けんぽで掲載されておりますのでご紹介をさせていただきます。

傷病手当金の受給額早見表

引用:協会けんぽ

通常の給料よりは減額されてしまうことになりますが、それでも当面の生活費を補填する意味では非常に助けられる制度と言えるでしょう。

傷病手当金や標準報酬月額をどのように計算するかは「傷病手当金の計算は賞与も含める?手取りは?|エクセル計算シート付き」にて詳しく解説をしておりますのでご参照ください。

メリット3.最大1年6ヶ月間の給付期間がある

傷病手当金の受給対象期間は最大で1年6ヶ月となります。この1年6ヶ月は支給開始から支給停止までの期間となり、途中で復職し再度休業した場合でも期間が延長されるものではありません。

傷病手当金の給付期間

この1年6ヶ月が長いのか?短いのか?人それぞれと言えますが、うつ病の場合は数年から10年近く治療を行う必要があるため傷病手当金だけでは全てを賄うことが難しい人もいるかもしれません。

とは言え、休息期間をしっかりと確保し1日でも早い完治を目指しましょう。

メリット4.2年間の時効以内であれば請求可能

傷病手当金の時効は2年になります。従って、退職した後でも2年を経過していなければ傷病手当金の申請を行うことが可能になります。

ただし、期間が空き過ぎると医師が労務不能を証明する書類を作成してくれない場合もありますので出来るだけ早く申請をすることをおすすめします。

退職後に傷病手当金を申請する方法については「傷病手当金は退職後でも支給される?初回申請と継続申請について解説」にて解説をしておりますのでご参照ください。

メリット5.出産手当金との併用も可能

出産のために会社を休む場合は、出産前の42日と出産後の翌日から56日まで健康保険から「出産手当金」が給付されます。

この出産手当金は平成28年3月までは傷病手当金との併給は出来なかったのですが、平成28年4月より改正によって現在は併給が可能となっております。

ただし、傷病手当金の金額が出産手当金の額よりも高い場合はその差額が支給されることになります。

うつ病になった時に傷病手当金を受給するデメリット

次に、うつ病になった時に傷病手当金を受給するデメリットをお伝えをしたいと思います。主なデメリットは4点ありますので順に解説を行います。

傷病手当金を受給するメリット

  1. 受給期間を過ぎると支給停止
  2. 会社とのやりとりが発生する
  3. 傷病手当金と失業保険は併給できない
  4. 生命保険の審査が通りづらい

デメリット1.受給期間を過ぎると支給停止

傷病手当金の受給対象期間は1年6ヶ月とお伝えしましたが、1年6ヶ月を過ぎた場合は支給が停止されてしまいます。そのため、その後の生活については何かしらの方法でお金を用意しておく必要があります。

デメリット2.会社とのやりとりが発生する

傷病手当金は会社に申請書を記入してもらう必要があるためやりとりが発生してしまいます。「つ病の原因が会社なのにやりとりしたくない」と思う人も多い事でしょう。

とは言え、簡単に終わるて手続きになりますので割り切って依頼するようにしましょう。

デメリット3.傷病手当金と失業保険は併給できない

傷病手当金は「労務不能な人の生活を支えるため」にあり、失業保険は「これから再就職しようとする人の一時的な生活支援」を目的にしています。

要は、この2つの制度は性質が真逆のものと言えますので、傷病手当金か失業保険どちらかしか受給することは出来ません。

デメリット4.生命保険の審査が通りづらい

生命保険の加入審査は過去の病歴や給付金を受給したか否かなどを調べることになります。そのため、傷病手当金を受給していると審査が通りづらくなる可能性があります。

ただし、保険商品や会社によって審査基準は異なりますので全てに該当する訳ではないでしょう。

とは言え、生命保険に加入を検討しているならば審査が厳しくなることを想定して傷病手当金受給前に加入しておいた方が良いと言えます。

うつ病である時に傷病手当金申請書の書き方

うつ病で傷病手当金を申請する場合も基本的に申請書の書き方は変わりません。まず、申請書は4枚構成になっております。

傷病手当金申請書の構成

引用:協会けんぽ

この内、1枚目と2枚目は本人が記入し3枚目は会社、4枚目は医師が記入することになります。そのため、1枚目と2枚目の書き方についてお伝えします。

傷病手当金の書き方や記入例

  1. 記号と番号は保険証に記載されておりますので書き写す
  2. 被保険者が亡くなり相続人が申請される場合は申請者の情報を記載する
  3. ゆうちょ銀行の場合は専用の振込用紙に記入を行う
  4. マイナンバーは被保険者証の記号番号を記入した場合は不要*
  5. 申請期間は事業主や医師の意見の元記載する
  6. 仕事は事務員など抽象的な記入ではなく具体的に記載する

引用:協会けんぽ

こちらの見本は協会けんぽからダウンロードが可能ですが、うつ病の場合は「傷病名にうつ病(医師の証明書と同じ内容を記載する)」と記載し「発症時の状態は”不安障害”、”睡眠障害”、メンタル面である場合は”不明”と記載」することになります。

傷病手当金申請の記入方法については「傷病手当金申請書の記入例や書き方から申請手順について解説」にて詳しく解説をしておりますのでご参照ください。

まとめ

うつ病になった時に傷病手当金を受給するメリットとデメリットについて解説を行いました。

傷病手当金はうつ病などで労務不能な状態である人の生活を支えることになりますので、うつ病になり当面の生活費を担保したい場合は申請して損はないでしょう。

安定した生活を確保し1日でも早い回復をお祈りいたします。









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