厚生年金保険にパートが加入する条件とは?メリット・デメリットを解説







パートタイマーとして仕事をする際に「扶養の範囲内で働かないと税金が取られて損をしてしまう」という話はよく聞く話ですし事実でもあります。

特に、2016年10月に社会保険の適用拡大によって「これまで社会保険に加入が出来なかった人も対象範囲の拡大によって該当する」場合があります。

では、パートとして働く人が社会保険に加入するとどのようなメリットやデメリットのがあるのか?加入条件と合わせてお伝えをしたいと思います。

速報|厚生年金の加入条件を見直しする計画あり

本記事で紹介している厚生年金の加入条件の1つに月収8.8万円以上とお伝えしておりますが、2018年8月26日に厚生労働省より6.8万円以上に引き下げを行い加入者を最大200万人増やす案が発表されました。

2018年9月以降に本格的に検討が始まりますが、厚生年金に加入することで老後に受け取れる年金額が増額できるメリットがある一方で年金保険料が増額されるデメリットもあります。

家庭環境により良し悪しが変わりますので今後の動向についても継続的に調査を進めたいと思います。

そもそも社会保険とは?

社会保険とはそもそもどのようなものなのか?知っているようで知らない人も多いことだと思います。

社会保険とは、「医療保険」「年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5つから成り立つ保険制度であり、「厚生年金」は社会保険の1つになります。

厚生年金においては保険料の納付が企業と従業員の折半となりますので、実際に給与から天引きされている「厚生年金保険料」は2倍の金額を納付していることになります。

さて、この社会保険料の1つである厚生年金保険に加入する条件やメリット・デメリットにはどのようなものがあるのか解説を行いたいと思います。

厚生年金保険にパートが加入する条件とは?

厚生年金保険にパートが加入する条件は、「社会保険完備」の会社で働いていることが前提条件にはなりますが、その上で以下の2つのどちらかの条件に該当している必要があります。

条件1.週の勤務時間が正社員の3/4以上または月の勤務日数が3/4以上

厚生年金保険にパートが加入する条件の1つ目は「週の勤務時間が正社員の3/4または月の勤務日数が3/4以上」に該当する場合になります。

会社によって勤務条件は異なりますが、仮に「月22日勤務/所定労働時間週40時間」である場合、「16日以上の勤務/週30時間以上の労働時間」に該当すると厚生年金保険への加入が必要になります。

まずは、ご自身がどの程度勤務しているのかを計算してみましょう。

条件2.短時間労働者の要件を満たしている

厚生年金保険にパートが加入する条件の2つ目は「短時間労働者の要件」に該当する場合になります。

2016年10月に社会保険の加入対象者の範囲が拡大していることから「短時間労働者の要件」に該当している人が増加している実態があります。

早速、短時間労働者の要件を確認してみましょう。

短時間労働者の要件

  1. 週の労働時間が20時間以上である場合
  2. 賃金月額が8.8万円以上(年間106万円以上)ある場合(*1)
  3. 1年以上の継続雇用が見込まれている場合
  4. 従業員数が501名以上(厚生年金の被保険者数)である場合(*2)
  5. 学生ではない場合

(*1)臨時に支払われる賃金(結婚手当や賞与など)、時間外労働、最低賃金法に算入しない賃金(通勤手当など)については1ヶ月の賃金から除外することが可能です。
(*2)2017年4月より厚生年金被保険者数が500人以下の場合でも従業員の1/2以上が社会保険への加入に合意している場合や地方公共団体に属する事業所の場合、500人以下でも要件を満たすことになります。

上記の「条件1」または「条件2」のどちらかに該当している場合は、厚生年金保険への加入が必要になります。

厚生年金保険にパートが加入するメリット

会社員や公務員世帯の扶養者は第3者被保険者に該当し国民年金保険料である月額16,340円が免除されています。免除のため受給条件を満たしていれば加入年数に応じて老齢基礎年金(国民年金)が受け取れます。

一方で、厚生年金保険料は所得に応じて31段階に分かれた保険料が徴収されることになります。所得が高いほど負担する保険料は増加しますが、どちらにせよ国民年金保険料よりも負担額は増加します。

パート勤務の人にとっては「厚生年金保険料を払うことは実質手取りが減少のにわざわざ加入する必要性があるのか?」という点が焦点になります。

この前提を踏まえた上で厚生年金保険料に加入するメリットをお伝えしたいと思います。

厚生年金保険にパートが加入するメリット

  • 厚生年金保険料の半分を会社が負担してくれる
  • 老後に受け取れる年金額が増加する
  • 万が一の時の保障制度が手厚い

メリット1.厚生年金保険料の半分を会社が負担してくれる

厚生年金保険料は現在18.3%も徴収されていますが、労使折半であることから被保険者は実質1/2の負担のみで済んでいます。

そのほかの社会保険である「医療保険」、「介護保険」、「雇用保険」、「労災保険」についても保険料の負担は、雇用主または両者での負担を前提にしています。

これが個人事業主の人である場合、厚生年金保険には加入できず、国民年金や国民健康保険を全額自己負担で加入することになりますので、保険料の一部を企業が負担してくれるのはメリットがあると言えます。

メリット2.老後に受け取れる年金額が増加する

ただ、企業が保険料を負担してくれたとしても自分自身にお金が入らなければあまりメリットを感じないかもしれません。

確かに、年金保険料はすぐに金銭が受け取れる訳ではありませんが、厚生年金保険に加入していると老後に受け取れる年金額が増加します。

2018年最新|年金支給額の平均は国民年金5.5万円・厚生年金14.7万円」でもお伝えしたように、国民年金の平均支給額が5.5万円なのに対して厚生年金の平均受給額は14.7万円になります。

もちろん、厚生年金は所得によって受給できる金額が変わります。

自分自身がいくらの厚生年金を受給できるのか「【給与金額別】厚生年金受給額の計算方法と早見表で支給額をチェック」を参照し計算をして頂ければと思いますが、国民年金を受給するよりも老後の収入は増えるでしょう。

メリット3.万が一の時の保障制度が手厚い

老後に老齢厚生年金を受給するためには10年以上も厚生年金保険に加入している必要があります。子供の教育費が必要な時期だけパートしたいと考えている人にとっては10年という期間が非常に長く感じるかもしれません。

それであれば「今の手取りを増やす」という考えもできると思います。

ただし、厚生年金には「障害厚生年金」と「遺族厚生年金」があり、被保険者に万が一の事が合った場合に年金支給年齢以前でも上記の年金を受給することが出来るのです。

詳しい受給条件については以下の関連記事をご参照頂ければと思いますが、厚生年金に加入しているだけで手厚い保証が受けられるのもメリットと言えるでしょう。

厚生年金保険にパートが加入するデメリットは手取りの減少

やはり、厚生年金保険にパートの人が加入するデメリットは「手取り額の減少」に尽きるでしょう。メリットでお伝えした老齢厚生年金の受給額増加や障害年金や遺族年季の受給も「今すぐ手に入るお金」ではありません。

そのため、今すぐに少しでも手取り額を増やしたいという人にとっては厚生年金保険に加入するギリギリのラインで収入を得ることが最善である。と考えることもできます。

さて、ここで問題になるのが106万円と130万円の壁です。

年収106万円の壁に対する対策

年収106万円の壁とは、先ほどお伝えしたように社会保険の適用範囲の拡大によって「月収8万8千円以上である場合」に社会保険の適用範囲に該当してしまうという点です。

ただし、この106万円の壁については「勤め先が501人以上の従業員数がいる場合」「所定労働時間が20時間以上である場合」「雇用期間が1年以上見込まれる場合」の何れか1つでも条件を満たさなければ適用はされません。

そのため、106万円の壁を気にしたくないのであれば従業員数500人以下の会社であれば問題ないと言えます。

年収130万円の壁に対する対策

年収130万円の壁は社会保険の加入が義務付けされる基準になります。従って徴収される金額が増加しますので手取り額は減少します。

東京都在住の人で年収129万円までのパートの人であれば、支払うべき税金は所得税と住民税のみになりますので、おおよそ5万円程度が徴収されることになります。一方で、年収130万円になると、社会保険料も負担することになりますので、20万円程度の徴収が発生します。

結果として、年収129万円の人であれば124万円の手取りであるの対して、年収130万円の人は手取り110万円になってしまうという訳です。

この場合の対策としては、「年収を150万円以上まで上げるか」「年収を130万円以下にするか」のどちらかになります。年収150万円以上になると社会保険料を支払ってもプラスになりますので手取り額は増加します。

どちらが良いのかは家庭の事情にもよりますが、社会保険に加入していれば、厚生年金だけでなく、失業保険、傷病手当金、出産手当金など様々の保障があります。

従って、働けるならば少しでも多く働いた方が良い。という側面もあるでしょう。

まとめ

パートの人が厚生年金に加入する条件とメリット・デメリットについて解説を行いました。

短時間労働者の要件に該当しない場合は、年収130万円以下であれば手取り額が減少することがありません。一方で、年収が130万円以上になる場合で手取り額を減少させたくない人は年収150万円程度まで上げるようにしましょう。

非常に難しい判断にはなりますが、少しでも収入を増加させることで老後の生活も安定しますので、「今」と「未来」両方の視点で考えると良いでしょう。









ABOUTこの記事をかいた人

老後資金の教科書

老後資金の教科書は老後の生活をより豊かにするために、金融や老後に関する法改正などを中心に解説記事を掲載しています。 リバースモーゲージ、介護保険問題、年金カット法案、高額医療費の自己負担の増加など難しい制度を分かりやすくご紹介します。