傷病手当金は病気や怪我によって労務不能な状態であり、給与の支給が受けられない人に対して、健康保険から生活支援を目的に給付金が支給される制度になります。
さて、給付金と言えどもお金はお金です。気になるのは「税金」ではないでしょうか?また、確定申告は必要なのか?不要なのか?も気になります。
そこで今回は、傷病手当金と税金の関係について解説を行います。
傷病手当金とは?
傷病手当金とは、業務外の病気や怪我によって労務不能な状態になり、会社から給与の支給が受けられない人に対して健康保険から給付されるお金になります。
まずは、傷病手当金の受給条件、金額、給付期間について確認をしたいと思います。
傷病手当金の受給条件
傷病手当金の受給条件は以下の4点を満たしている必要があります。
- 業務外の病気や怪我である
- 労務不能な状態である
- 給与の支払いがない
- 傷病による休業が連続して3日以上ある
また、退職後に傷病手当金を受給することも可能になりますが、この場合は上記に加えて条件が加算されます。
- 健康保険の加入期間が退職日までに1年以上ある
- 退職日に傷病手当金を受給しているか受給できる状態である
傷病手当金の受給条件については「傷病手当金の受給条件とは?うつや妊婦でも対象になるのか解説」にて詳しく解説をしておりますのでご参照ください。
傷病手当金の受給金額
では、傷病手当金はいくら受給できるのか?受給金額についてお伝えしたいと思います。
- 傷病手当金支給前の過去12ヶ月分の標準報酬月額の平均額 ÷ 30日 × 2/3=支給日額
上記の通り、傷病手当金は標準報酬月額の2/3を受給することが可能になります。協会けんぽでは標準報酬月額に応じた傷病手当金の受給額早見表を公開していますのでそちらに当てはめると算出は簡単でしょう。

引用:協会けんぽ
標準報酬月額が分からない人や計算が面倒な人は「傷病手当金の計算は賞与も含める?手取りは?|エクセル計算シート付き」にてエクセルで簡易計算が可能になりますのでぜひご活用ください。
傷病手当金の給付対象期間
傷病手当金の支給対象期間は1年6ヶ月になります。1年6ヶ月とは、給付開始日からとなり途中で復職した場合も給付期間は継続します。

例えば、「3ヶ月間傷病手当金を受給し、その後3ヶ月復職し再度休業した場合、残支給日数は1年間」となります。詳しい解説は「傷病手当金とは?知らずに損をしないために知っておくべき知識を解説」をご参照ください。
傷病手当金は税金は免除されるのか?
傷病手当金について改めて制度内容を振り返りましたが、ここからは傷病手当金と税金の関係について解説を行いたいと思います。
まず、会社員の人が支払う主な税金と言えば「所得税」と「住民税」になりますが、傷病手当金は「非課税所得」になりますので課税対象になりませんので免除されているのと同じと言えます。
ただし、注意点として住民税は前年所得から徴収されますので、傷病手当金を受給しているときは前年度の所得に応じた住民税を支払っていると言えます。
傷病手当金の受給中は社会保険料の支払いは必要?
次に傷病手当金の受給中に社会保険料の支払いが必要なのか?について解説をしたいと思います。
社会保険料は傷病手当金の受給中であっても支払いの必要があります。従って、年金保険料や健康保険料は受給した傷病手当金から支払うようにしましょう。
住民税、年金保険料、健康保険料を傷病手当金から支払うことになりますので、実際の手取り額は減少してしまう。という点に注意が必要です。
傷病手当金は確定申告が必要なのか?
それでは、傷病手当金を受給した場合は確定申告が必要なのか?についてもお伝えしたいと思います。
先ほどお伝えしたように、傷病手当金は「非課税所得」になりますので確定申告の義務はありません。ただし、給与所得があった場合は所得税の還付対象になる可能性がありますので確定申告を行った方が良いでしょう。
では「在職中に傷病手当金を受給している場合」と「傷病手当金の受給中に退職した場合」について確定申告の有無について確認したいと思います。
在職中に傷病手当金を受給している場合
在職中に傷病手当金を受給している場合は、会社の方で年末調整を行ってくれます。そのため、1年間の所得を見込んで源泉徴収額を算出してくれますのでそもそも確定申告は不要と言えます。
傷病手当金の受給中に退職した場合
傷病手当金の受給中に退職した場合は、年度内に退職し再就職をしていれば転職先で年末調整を行ってくれますので確定申告は不要と言えます。
一方で、退職後も傷病手当金を受給している場合は税金の還付を受けられる可能性がありますので確定申告を行った方が良いでしょう。
まとめ
傷病手当金と税金の関係性について解説を行いました。
傷病手当金は「非課税所得」になりますので、所得税と住民税は免除になりますが、社会保険料については支払い義務が発生します。
確定申告は義務ではありませんが、税金の還付が受けられる場合もありますので手続きができる場合は申請を行った方が良いでしょう。