老後資金は運用する時代|50代で投資を始める場合の落とし穴とは?







ここ数年、老後資金を自分で運用するという流れがより明確になってきました。30代40代世代ならば時間があるのでゆっくり経験を積むこともできるでしょうが、50代の場合、残された時間はそう多くありません。そのうえ、これまでは運用にあまり縁のなかった人が時世の流れによって運用を始める、ということも多いです。50代の運用初心者の落とし穴とは?また、どのような点に注意するといいのでしょうか。

老後資金の運用方法が古風?

株式や投資信託といった運用を始める前に、証券会社に口座を開設します。証券会社には主にネット上で取引が完結するネット証券と対面取引も可能な総合証券があります。近年、個人で資産運用を行う場合の主流はネット証券によるインターネット取引ですが、必ずしもネット証券がいいというわけではありません。特徴をとらえて自身にあった証券会社を選ぶことが大切です。

  • ネット証券
    原則として店舗はなく取引手数料が安い。情報面で対面でのサポートはないがインターネットでの取引は原則としていつでもどこでも、かつスピード感をもって行える。
  • 総合証券
    手数料は高めだが、店舗があり個別のサポートが受けられる。情報量そのものはネット証券でも遜色がないが、対面(電話)相談を行うことで効率よく情報提供を受けられることも。

総合証券で運用する際の注意点

50代運用初心者は営業担当者の付く証券会社を選択することが多いかもしれません。窓口や営業担当が悪いわけではありませんが、商品を提案された場合はきちんと精査しましょう。人柄を信用して銘柄選択をしてしまってはいけません。

なぜなら、その商品が良いものだとしても、「自分にとっていいもの」ではないかもしれないからです。すすめられた商品や情報を見極める力が必要ですね。また、手数料が高い分、それ以上の運用成果を上げることを意識する必要があります。

一方、ネット証券では、適切に運用を行うために各種のツールを必要とします。PCやスマートフォンに不慣れであれば、総合証券を利用するほうが良いかもしれません。大事なことは、メリットデメリットを知り、自分の適性にあった会社を選ぶという点です。少なくとも「総合証券だから安心」「ネット銀行は危ない」といった昔の価値観に捕らわれて選ぶのはやめておきましょう。

ロボットが資産運用を行う時代

最近はロボアドバイザーと呼ばれるロボットが資産運用を行うケースも増えて来ています。人間よりも膨大な量のデータを分析し運用を行うことができますので初心者や忙しい方はロボアドバイザーに任せてしまうこともおすすめです。

老後資金の運用が不安ならロボアドバイザーに任せる方が良い理由

2017.06.14

50代の運用初心者はビジネス経験があだになる

50代ともなれば、社会人として長く勤めてきたキャリアがあり、経済のこともある程度分かっている……という人が多いでしょう。だからこそ、あえて経済のことを勉強しない人も多いです。経済も生き物ですので常識が変わることもありますし、実は勘違いや、思い違いということもあります。

知ってるようで知らない運用用語

恐らく金融商品の「リスク」というと、多くの人が「価格が下がること」だと考えているのではないでしょうか。しかし資産運用におけるリスクとは、将来の収益の振れ幅のことを指します。マイナスだけでなくプラスの方向も含んだ将来における不確実性が大きいこと自体がリスクなのです。

他にも、国債が安全と言われる理由もご存知でしょうか?何となく「国が保証しているから」と捉えている人が多いのですが、これにもれっきとした理由があります。保有時において、国債には最低金利が設定されています。そのため、最低金利以下になることはないという安心があるのです。

また中途換金の場合も、手数料が直近2回分(1年分)の利子相当額と定められているため、1年以上保有していれば手数料による損は発生しません。知っていることと理解していることは別です。人生経験を積んでいる50代だからこそ、分かったつもりには注意したいです。

無理な運用目標を立ててしまう

定年までの期間が短いので、無理な目標をたて、それを達成するために高リスク商品に手を出してしまうこともあるでしょう。目標を立てることは有益ですが、初心者の方は数年の運用益を1~3%程度に抑えておきたいです。運用に慣れて来たら運用益を高めに設定してもいいでしょうが、慣れないうちは無理な目標が悪になることもあります。

分散投資をしないと大変なことに

長い期間かけて貯めた貯蓄を「コレ」と決めた一つの銘柄につぎ込んでしまうのは非常に危険です。資産運用は分散投資が大前提であることをお忘れなく。

老後の資産運用に失敗。退職金3000万円を5年で使い切った飲料関連企業部長の後悔

2017.04.02

50代の特徴は、定年までの期間が短く、かつ給与所得があるという点です。給与所得があると、多少の損も痛手にならないかもしれません。安心して大雑把な運用をしてしまったり、高リスクの商品に手を出してしまったりしないように気を付けましょう。

老後資金の「ゆとり運用」を行ってしまう

前の章とは別に、ゆとり運用に走ってしまう人も多いです。50代は40代以下の世代と違い、年金がある程度約束されているため、「増やす」意思が薄いのかもしれません。このケースに多いのが分配金を目的に投資信託を購入するケースです。この場合、多くの人が投資信託の分配金を「おこづかい(副収入)」とし、元本には手を付けません。一見問題はないようですが、実は配当金そのものが元本を削って配分されていることがあります。そのため、分配金目当ての運用はお勧めできません。

配当金はおこづかい?

株式の配当金をおこづかいと捉える人も多いです。株式の配当は、元本を削っているわけではないでしょう。しかし、老後資金を準備するのが目的であれば、分配・配当も含めて複利運用するのが理想です。老後資金として取り崩しの時期に入ったら分配・配当をうまく使っていくのも有効ですが、運用段階ではできるだけ手を付けないようにしたいです。

分配金をおこづかいと考えるのは、運用成果を判断するという面からも不適切です。本来の資産運用は複利で「売却益(損)」「税金」「配当・分配」を総合して判断するものです。老後資金のゴールは、60歳~70歳程度の方が多いでしょう。そこまでは手を付けないことを前提に資産運用していきましょう。

資産運用とライフプランとの調整ができていない

50代というと、子育てがひと段落した人もいれば、これから教育費のピークが残っている、という人もいます。また、住宅ローンが無事に終わりそうな世帯、逆に退職金での一括返済が残っている……など様々な世帯が入り乱れます。今後支出すべき教育費や住宅ローン資金など、必要な支出分を運用に回してしまうことのないよう注意したいです。

仮に、一定の資金があり支出候補が「住宅ローンの繰り上げ返済」と「老後資金の運用」どちらかであれば、どちらを選択すべきなのでしょうか。理論上は、住宅ローンの利息以上の収益を上げられるのならば運用してもいい、ということになります。しかし住宅ローンの残高や返済の負担感などを総合的に判断して決定する必要があります。借入れ(住宅ローン)や運用に関する考え方によっても結論は異なるでしょう。

資産運用のゴールを設定しよう

基本的なことですが、退職後にどのような暮らしをしたいのかイメージがないのに運用のポートフォリオは描けません。「とりあえず運用を始めよう」という考え方の人も多いです。まだ若ければ、それでもいいでしょうが、50代であれば、目標を決めておきたいです。

例えば、自宅保有にこだわる場合、リフォーム費用や住宅維持費が不可欠になります。逆に、老人ホームへの入居を希望するならば、入居一時金と居住費が相当額かかります。

また、自宅の保有にこだわらないのであれば、自宅を売却したり、リバースモーゲージを活用したりして資金を得ることも考えられます。どういう老後生活を望み、いくら用意しなければならないのか。資産運用の要を早い段階で明確にしておきたいです。

50代の資産運用はどうすべき?

落とし穴をいくつかご紹介しましたが、50代で投資を始めるからといって、手法や投資方法が特別になる、ということはありません。初心を忘れず、やるべきことをやるだけです。ただ、老後資金を貯める時間が少ないことを忘れてはいけません。より具体的な老後を意識しシビアに運用していきましょう。









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ABOUTこの記事をかいた人

横山 晴美

AFP/住宅ローンアドバイザー。 企業に属さない独立FP。2013年ライフプラン応援事務所を立ち上げて以降、住宅相談を専門に扱う。マイホームの購入相談では保険見直し、教育費、退職後プランなど総合的な視点で資金計画、および返済計画を考案する。安心して住宅を購入できるだけでなく、家計の課題も解決できるとの声を頂いている。相談業務のほか、セミナー講師、執筆業など情報発信、啓蒙活動にも力を入れている。