国民年金基金とは?メリット・デメリット・破綻リスクについて解説







国民年金は自営業や農林水産業にお勤めの方が加入する公的年金の1階部分に属する年金制度ですが、厚生年金に比べると国民年金は支給額や保障内容が乏しい制度となっています。

そのため、国民年金(老齢基礎年金)だけで老後の生活を暮らして行こうと考えると現実的では無いと言えます。

その際、国民年金加入者の年金支給額を増加させるために「国民年金基金」という制度があるのですが、一体どのような制度なのかメリット・デメリット・破綻リスクについて解説を行いたいと思います。

国民年金基金とは

国民年金基金とは、国民年金加入者を対象に、会社員や公務員の方が加入する厚生年金との差分を埋めるための制度になり、平成3年4月に国会審議を経て制度化されたものです。

国民年金基金には「地域型」と「職能型」の2種類あり、都道府県ごとに1つずつ設置されている「地域型国民年金基金」と、25職種からなる「職能型国民年金基金」に分かれています。

基本的な仕組みは同じになりますが、「地域型」の場合は、引っ越しを行いその地域から離れるときは、それまで納めた掛金が国民年金基金連合会に移行され、支給も同様に国民年金基金連合会から行われます。

また、「職能型国民年金基金」の場合も、その仕事を辞めた場合や資格を喪失した場合に、これまでの掛金が国民年金基金連合会に移行され支給されることとなります。

上記の通り、基本的な仕組みは同じですので、引っ越しはしないが、仕事が変わる可能性が高い。という方は「地域型」が良いでしょうし、逆であれば「職能型」が良いと言えます。

注意点としては、国民年金基金の「地域型」と「職能型」はどちらか一方しか加入することができません

国民年金基金の加入条件と加入資格が無い方

国民年金基金は第1号被保険者である自営業の方とその家族に加え学生が対象となり、20歳から60歳までの方が加入することができます。60歳から65歳未満の場合も任意で加入することは可能です。

そのため、厚生年金に加入している方やその家族は対象外となります。厚生年金加入者には別途「厚生年金基金」という制度がありますので、詳しくは「厚生年金基金と厚生年金の違いとは?基金の解散で年金へ与える影響を解説」をご参照ください。

また、第1号被保険者でも以下の方は、国民年金基金に加入することが出来ませんので注意が必要です。

  • 国民年金保険料が免除されている方(一部免除や学生納付の特例及び納付猶予も含む)
  • 農業者年金の被保険者に該当する方

国民年金の掛金はいくら?

国民年金の掛金は「給付の型と口数を組み合わせて掛金を設定」することとなります。給付の型は、終身年金A型・B型、確定年金Ⅰ型・Ⅱ型・Ⅲ型・Ⅳ型・Ⅴ型の7種類から構成されており月の掛金上限は6万8000円となります。

1口あたりの掛金は「選択した給付の型」、「加入口数」、「加入時の年齢」、「性別」によって変わりますので、掛金を計算したい場合は、掛金月額表をご参照ください。

給付の型は7種類から構成されている

給付の方を組み合わせるにあたって、7種類がそれぞれどのような種類となっているのか確認を行いましょう。まずは1口目として終身年金A型またはB型から選択を行います。

A型とB型の大きな違いは被保険者が死亡したときに「遺族がお金をもらえるか」の違いとなります。

15年間保証というのは、必ず15年分の年金を受け取ることができ、被保険者が亡くなった場合も、A型の場合は遺族が死亡一時金を受け取れます。一方、B型は受け取ることができない分、掛金が安いというのが特徴です。家族がいる方の多くはA型を選択することが多いようです。

次に2口目ですが、先ほどのA型もしくはB型に加えて、確定年金のⅠ型・Ⅱ型・Ⅲ型・Ⅳ型・Ⅴ型から選択を行うこととなります。それぞれどのような仕組みなのかそれぞれの種類を大きく分けると以下のようになります。

種類Ⅰ型Ⅱ型Ⅲ型Ⅳ型Ⅴ型
60歳から支給開始
65歳から支給開始
15年間の保証
10年間の保証
5年間の保証

上記の通り、保証期間を優先しながらもなるべく早く年金を受給したいならば、Ⅲ型がよいので口数を多くするなど、柔軟に選べるようになっています。柔軟に選べるのは良いのですが、このように種類が増えてしまうと少々分かりづらいとも言えます。

国民年金基金の受給額

国民年金基金の掛金を解説しましたが、上記のようにどの種類の型を選択し、何口に設定するのかで受給できる金額が大きく異なってきます。

そのため、いくら受給できるかは加入者がどのようなプランを組み立てるかによって大きく異なることになりますので、国民年金基金の受給額を知るためには「年金額シミュレーション」を活用し、受給額の想定を算出するとよいでしょう。

国民年金基金のメリットは節税効果

国民年基金に加入する一番のメリットは、国民年基金の掛金が全額社会保険料控除となり節税効果が非常に高い点が挙げられます。

どの程度節税できるかは、「基金掛金月額◯◯円×12ヶ月×税率◯◯%=節税額」より算出が可能です。

年収400万円の方で毎月の掛金が5万円とした場合にて計算をしてみましょう。

基金掛金月額5万円×12ヶ月×税率30.42%=18万2,520円

年収400万円の方が毎月5万円の掛金を支払う場合は、18万の所得税及び住民税の軽減が受けられることとなります。とても節税効果が高いと言えるでしょう。

国民年金基金のデメリット

一方で国民年金基金には大きく3つのデメリットもありますので順に解説を行います。

国民年基金のデメリット1:途中解約(脱退)が基本的にできない

国民年基金は積立式で運用を行なっており、掛金として預けたお金は運用に回されます。従って、預入したお金は常に運用に回っていることになりますので途中解約(脱退)ができません。一方で2口目からは口数を減らすことは可能ですので、掛金を抑えたい場合は支払う掛金を調整すると良いでしょう。

途中解約(脱退)ができる場合

  • 60歳を迎えたとき
  • 60歳で加入した方が65歳を迎えたとき
  • 国民年金の任意加入でなくなったとき
  • 会社員になり第1号被保険者ではなくなったとき
  • 結婚し第2号被保険者の配偶者となったとき
  • 地域型に加入していた方が地域外に転居したとき
  • 職能型に加入していた方がその仕事を辞めたとき
  • 農業者年金に加入をしたとき
  • 国民年金保険料が免除扱いされたとき
  • 加入者が死亡したとき

また上記の理由で途中解約(脱退)した場合、掛金がすぐに返金される訳ではなく年金として国民年金連合会から支給されることになります。加えて、掛金の支払いが厳しく途中解約(脱退)を検討する方は口数の減少と支払いを最長2年まで停止させることが出来ますので上手く活用するようにしましょう。

国民年基金のデメリット2:物価スライドが適用されない

2つ目はメリットにもデメリットにもなる点ですが、物価スライドが適用されませんので、仮に物価が上昇した場合も年金支給額は変わりませんので実質的に損をすることとなります。一方で物価が下がっても年金支給額は一定であることから得をすることとなります。

この15年の物価指数はほぼ横ばいとなっていますが、投資と同じく、儲かる儲からないではなく先が読めないことがリスクですのでデメリットとしてご紹介をさせて頂きます。

国民年基金のデメリット3:国民年金基金の破綻リスク

厚生年金基金は運用の失敗によって多くの基金が破綻している状況です。そこで、国民年金基金は破綻するリスクがどの程度あるのか確認をしたいと思います。まずは、予定利率を確認すると平成3年では5.50%だったものが平成27年では1.50%まで下落している状況です。

それに伴い新規加入者も年々減少しており、平成3年には45万人が新規に加入していましたが、平成27年の新規加入者は2万人程度まで落ち込んでいる状況です。加入者が減少することは年金の財源となる掛金も減少してしまいますが、現在の国民年金基金の財政推移を確認してみましょう。

実質過不足がずっと赤字となっていますが、ここでポイントになるのは、「責任準備金」です。

責任準備金とは想定した予定利率で加入者に年金を支払った場合に本来必要となる金額のことを指しています

この責任準備金が純資産額を平成18年から上回っていることから赤字続きのと見えてしまうことから、国民年金基金も破綻のリスクが高いのではないか。と考えてしまいます。

ただ、あくまで責任準備金は予測となりますので、過不足が生じているからと言ってすぐに国民年金基金が破綻する訳ではありません。当然ながら、国民年基金も破綻しないように対策を講じることになるでしょう。

想定される対策としては、やはり支給額を減らし掛金の金額を引き上げることが想定できます。収入を増やし支出を減らすということですが、加入者にとってはデメリットしかない対策となることは目に見えています。

また、万が一国民年金基金が破綻した場合は、これまで支払ってきた掛金を国民年金基金連合会へ移管し分配を行うこととなりますが、支払った掛金を下回るリスクがある点に注意が必要です。

それでも、投資商品の1つとして節税に期待しながら加入するのか。別の資産運用商品を購入するのか検討が必要なポイント言えますが、朗報としては直近の運用実績は好調であることが挙げられます。

直近の運用実績は好調

  • 平成23年度:+2.57%
  • 平成24年度:+18.27%
  • 平成25年度:+16.34%
  • 平成26年度:+16.52%

国民年金基金・確定拠出年金・小規模企業共済・付加年金の違い

さて、国民年金基金以外に年金型の商品を検討しようと考えた時に「確定拠出年金(iDeCo)」と「付加年金」に加え、個人事業主の退職金制度でもある「小規模企業共済」が想定されます。それぞれどのような違いがあるのか比較をしたいと思います。

 項目国民年金基金確定拠出年金付加年金小規模企業共済
月額掛金6万8,000円が上限5000円から6万8,000円400円1,000円から7万円
併用の場合は合算の上限が68,000円(国民年金基金と付加年金の併用は不可) 
控除社会保険料控除小規模企業共済等掛金控除社会保険料控除小規模企業共済等掛金控除
掛金の途中変更1口目は不可、2口目は増減可1000円単位で可能不可500円単位で変更可能
任意解約不可不可可能可能
受給開始年齢60歳または65歳60歳から70歳65歳任意
受給額型と口数次第運用益次第200円×納付月数掛金の80%から120%
受給方法終身年金・確定年金一括、終身年金、併用終身年金一括、分割、併用

確定拠出年金(iDeCo)とは

確定拠出年金(iDeCo)とは、加入者が自分自身で掛金を拠出し運用を行い、60歳以降に年金として受け取れる制度です。

最大のポイントは積立金が全額所得控除になる点に加え、運用益も非課税になる点です。今、もっとも加入すべき資産運用商品とも言えるでしょう。受け取り時は「退職所得控除」や「公的年金等控除」が適用されることになります。

付加年金とは

付加年金とは、日本年金機構が運営する制度で、掛金は一律400円で受け取りは「200円×加入月数の金額」となります。

仮に20歳から60歳までの40年間加入した場合は、200円×480ヶ月=9.6万円/年額の受け取りが可能になります。たったの2年で元が取れてしまうことから始めやすいと言えるでしょう。問題は、国民年金基金と併用ができないのでどちらを選ぶのか検討が必要になることです。

小規模企業共済とは

小規模企業共済とは、自営業の方でも退職金を受け取れるようにするための制度です。

掛金を毎月積立ることで、解約時に80%から120%で受け取ることが可能になります。積立金は「小規模企業共済等掛金控除」によって控除されるのも魅力と言えるでしょう。積立期間によって解約時の受け取り利率が変わりますので、100%を超えるタイミングで解約を行うようにしましょう。(保険の解約返戻金と似た仕組みと言えます。)

分散して活用するのがおすすめ

国民年金基金・確定拠出年金・小規模企業共済・付加年金については、どれか1つだけ加入するというよりは、分散して加入することがおすすめと言えるでしょう。国民年金基金と付加年金は併用ができないのが難点ですが、資産のポートフォリオを組みながらバランスの良い資産配分を行えると良いでしょう。

国民年金基金のまとめ

国民年金基金のメリット・デメリット・破綻リスクについて解説を行いました。すぐに破綻する制度ではないでしょうから加入自体は問題はないと言えます。

ただ、資産のバランスが重要になりますので、例えば、「付加年金」と「確定拠出年金」に加入し、確実に年金額を増額させる方法と運用次第で年金額が増加する方法を組み合わせるなど、国民年金基金以外でも年金支給額を増やす方法がありますのでよく比較検討することをおすすめします。









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