退職金なし|老後資金を蓄えるために今から始めるべき5つのこと







一昔前は定年退職して退職金を受け取り、公的年金と合わせて老後資金を充足させることが一般的でした。ところが時代が変わり、退職金支給の規定がない企業も増えています。公的年金の支給にも不安が残る中、老後資金の確保は自分たちに任せられるようになりました。退職金のない会社の職員はどうやって老後資金を貯めるのか。今回は、老後資金を蓄えるために有効な5つの方法についてお伝えします。

老後資金を蓄える方法①:定期預金や普通預金

「もっとも効率の良い投資は自分に与えられた仕事で、汗を流して働くことだ」というのは稀代の著名投資家の言葉だったでしょうか。退職金制度が会社で準備されていない場合は、その代わりに定年退職の際にまとまったお金が入るように自分自身で「貯金」することが最良の方法です。

たとえば毎月3万円で夏冬のボーナス時にも5万円ずつ貯金したとしても年に46万円となり、30歳から60歳までの30年間継続して納めたとすると約1380万円。公的年金と合わせると老後生活において強い味方になります。

退職金を受け取ることと、自身で「貯める」ことの違い

退職金制度のある勤務先で長く勤める事と、自分自身で退職金相当額を貯めることにはどのような違いがあるのでしょうか。以前は郵貯の預金利息が5%以上といったような「預け入れる場所による利息の違い」がありました。

どこに預けるかによって3%や5%といった高金利の利息をつけることも出来たため、従業員にとってはもちろん、支給額を上げることができるため事業主にも喜ばれたものです。

ところが最近は史上類を見ない低金利。0.1%を切る普通預金、定期預金も増えています。これは率直に言って、どこに預け入れようとあまり差のない状況となっています。「しっかりと貯めることができれば」、自身で預金をしても大きな違いはないでしょう。

退職所得による違い

ひとつ大きな違いがあります。それは退職金を受け取るときの退職所得です。退職金は勤務先が準備したお金を一時金として受け取るため、退職所得という特別な計算方法で所得税額を計算します。

 退職所得の計算方法

収入金額(源泉徴収前の金額)ー退職所得控除額×1/2=退職所得の金額

勤続年数(=A)退職所得控除額
20年以下40万円×A(80万円に満たない場合は80万円)
20年超800万円+70万円×(A-20年)

この時に収入金額から退職所得の対象となる課税対象額にあたって控除されるものが「退職所得控除額」です。退職所得控除額は、その会社に勤めた年数が20年以下か、20年を超えているかによって所得控除の金額が変わります。

先ほどの毎月3万円貯金して老後に約1380万円受け取ったケースを退職金として勤務先から受け取ったと仮定して、支払う所得税の計算をしてみましょう。30歳から60歳の30年間会社に勤めたとします。

所得税控除額の計算例

1,380万円ー(800万円+70万円×10)×1/2=所得控除額630万円

老後資金を蓄える方法②:確定拠出年金(日本版401K)

自分自身で貯めた場合は1,380万円にまるまる所得税がかかることに対して、会社から退職金を受け取る際に所得控除の額が630万円となります。自身で貯金をする人はこの控除額がなく不公平感が残りますね。そこで、老後資金を準備できる方法としていま話題になっているものが「確定拠出年金」です。

確定拠出年金は、会社が拠出した年金保険料で投資先を決め、年金を確保する資産運用方法のこと。ただ会社が保険料を拠出するためには会社が「加入」している前提が必要で、これを企業型といいます。 企業型に加入していない場合は個人型として、個人が拠出金を出して加入することができます。拠出金は属性によって5通りに分かれています。

個人型確定拠出年金の拠出金上限額

属性掛金拠出限度額(月額)
第1号加入者(国民年金加入者)68,000円
第2号加入者(厚生年金加入者のうち企業年金に加入していない人)23,000円
(※①)企業型を除く企業年金に加入している人、公務員、私学共済加入者12,000円
企業型導入企業の従業員で※①に該当しない人20,000円
第3号被保険者23,000円

このなかで掛金額を5,000円以上、1,000円単位で任意に設定することができます。

確定拠出年金の非課税制度

毎月拠出する保険料は、小規模企業共済掛金控除という所得控除の対象となるため、課税されません。しっかり退職金を貯めたいが税金負担を減らしたい、という人は、ぜひ活用するようにしましょう。

iDeCoが注目される理由

確定拠出年金は今年からiDeCo(イデコ)という愛称がつき、これまで加入できなかった公務員や主婦(第3号被保険者)が対象となり、拡大基調の資産運用方法として注目されています。今後、公的年金の受取開始時期が現在の65歳から拡大するかもしれません。

その時に投資結果次第で年金額を増やすことができ、かつ保険料が非課税というメリットと合わせて注目されています。2017年5月、SBI証券や楽天証券は手数料無料を打ち出しており、今後は老後資金を準備する代表的な存在になっていく可能性も高いのではないでしょうか。

老後資金を蓄える方法③:積立NISA(2018年1月開始予定)

投資信託や株の配当は20%の税金がかかりますが、対象口座を新しく作るとこの税金が非課税になるのがNISAです。これまでは毎年120万円を上限に5年間継続できる制度のため、一時的な投資の拡大には効果がありましたが、長期的な老後資金の準備としては不相応な特徴がありました。

2018年、このNISAをもとに毎年40万円を上限に20年間継続できる「積立NISA」の開始が決まっています。上限を積み立てると40万円×20年で800万円となるため、老後資金の一端を担うことができます。この積立NISAは現行のNISAと併用ができないデメリットはあるものの、非課税メリットも活用しての老後資金の貯蓄にお勧めです。

老後資金を蓄える方法④:リバースモーゲージ

長く居住した自宅を担保に老後資金を借りるリバースモーゲージという方法もお勧めです。借入後すぐに返済は発生せず、亡くなった時点で住宅を引き渡すことで返済とします。 利用においては金融機関ごとに商品がありますので、住宅を所有している人は自宅でどれくらいの老後資金を確保することができるのか、一度見積もりを取得してみるようにしましょう。

リバースモーゲージとは?よく分かる15項目のQ&Aを解説

2017.06.04

老後資金を蓄える方法⑤:ハイリスクな資産運用

老後生活の開始までに時間がないときは、新興国投資やFXなどのハイリスクな資産運用も視野に入っていると思います。ただ、高いリターンの代わりに高いリスクも介在しているこの方法は、それまで準備した老後資金の原資を減らしてしまう可能性があります。

ハイリスクな方法に取り組む場合は、最悪の場合なくなっても「どうにかなる」部分を原資として投資に充てるようにしましょう。老後開始まで時間がないことは焦ってしまいますが、その部分は落ち着いて投資原資の部分がどこなのかを俯瞰することが大切です。最近はロボットアドバイザーというロボットが資産運用してくれる商品もありますので確認しても良いかもしれません。ウェルスナビというサービスが注目を集めています。

老後資金を貯めている時間がない!という方にオススメしたい6つの方法

2017.05.13

まとめ

退職金がないときに老後資金を備える5つの方法をお伝えしました。長い時間をかけて準備できる方法も、短期間でリスクを抱えて資金を準備できるものも、様々な方法があります。状況や時期を踏まえて判断していくことが大切ですね。









ABOUTこの記事をかいた人

工藤 崇

株式会社FP-MYS代表取締役社長兼CEO。ファイナンシャルプランニング(FP)を通じて、Fintech領域のリテラシーを上げたいとお考えの個人、 FP領域を活用して、Fintechビジネスを開始、発展させたいとする法人のアドバイザーやプロダクトの受注を請け負っている。Fintechベンチャー集積拠点Finolab(フィノラボ)入居企業。執筆実績多数。東京都千代田区大手町。