「おひとりさま」という言葉は独身の男女に使われますが、すっかりと定着したと言えるでしょう。おひとりさまは毎月どの程度の収入と支出が発生するのかシミューレションをしたいと思います。特に収入のメインである年金は男女によって平均支給額が異なりますので要注意です。
おひとりさまは毎年増加傾向

厚生労働省の生涯未婚率を確認すると綺麗な右肩上がりであることが分かります。2035年には男性の30%、女性の20%が未婚になることから結婚をしない人生というのも一般的になってくるでしょう。2017年現在でも4人1人は未婚のまま生涯を終えることからおひとりさまもしっかりと老後資金を準備するようにしましょう。
おひとりさまの平均貯蓄額と中央値
それではおひとりさまはどの程度の貯蓄を保有しているのか金融広報中央委員会の知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査」を参考にすると以下のような貯蓄状況になっています。
おひとりさまの60歳以上の貯蓄額は平均値で1755万円ありますが、中央値では600万円となります。金融資産の中で貯金が占める割合が48.8%のため、現金で保有している金額は平均値が856万円、中央値(0円世帯含める)で292万円と想定ができます。また、0円世帯を含めない中央値の場合は1323万円であり、貯金額は645万円と想定できます。
年齢 | 平均値 | 中央値(0円世帯含める) | 中央値(0円世帯含めない) |
60歳代 | 1,755万円 | 600万円 | 1323万円 |
おひとりさまの平均年金支給額
次におひとりさまの年金収入を確認してみましょう。年金は男女によって現役時代の所得が異なることから支給される平均額も男女によって差があります。それぞれ年金の支給額を厚生労働省の厚生年金保険・国民年金事業の概況より平均額をお伝えしたいと思います。
国民年金は定められた期間保険料を納めていれば支給される保険で会社員も自営業の方も対象になります。一方で厚生年金は会社員の方が中心になっており、所得や納付期間によって支給される金額が異なります。男性が18万円、女性が10.8万円が平均となっています。
男性 | 女性 | |
国民年金 | 54,000円 | |
厚生年金(国民年金込) | 180,000円 | 108,000円 |
おひとりさまの平均生活費額
おひとりさまの老後の生活費はいくらかかるのでしょうか。こちらは家計調査を参考に毎月の支出額を確認してみると毎月の支出は154,500円であることが分かります。
住居費が1.3万円と家計調査の平均では算出されていますが、これは持ち家でなければなかなか実現できない家賃でしょう。賃貸住宅にお住いの場合は、地方部では5万から6万円、首都圏は8万円程度の家賃を想定した方が良いかもしれません。そのため、賃貸にお住いのおひとりさまは老後の生活費を20万円程度として見積もりをしておきましょう。
項目 独身世帯の生活費(詳細) 食費 35,500円 住居 13,400円 高熱・水道 12,500円 家具・家事用品 5,500円 被服及び履物 4,000円 保健医療 7,500円 交通・通信 12,800円 教養娯楽 17,500円 その他の消費支出 33,000円 非消費支出 12,800円 支出合計 154,500円
おひとりさまの老後資金必要額をシミューレション
おひとりさまの貯蓄、収入、支出が分かったところでおひとりさまの老後資金の必要額をシミューレションしたいと思います。65歳から90歳までの25年間を老後と仮定して計算を行いたいと思います。
まずは、これまで計算を行いましたおひとりさまの貯蓄、収入、支出を一覧にまとめてみましょう。その上で組み合わせから老後資金の必要額を算出したいと思います。
項目 | 条件 | 男性 | 女性 |
貯蓄 | ①:中央値より算出(貯蓄0円世帯含む) | 6,000,000 | 6,000,000 |
②:中央値より算出(貯蓄0円世帯含む) | 13,230,000 | 13,230,000 | |
収入 | ③:国民年金のみ | 16,200,000 | 16,200,000 |
④:国民年金+厚生年金 | 54,000,000 | 32,400,000 | |
支出 | ⑤:持ち家の場合 | 46,350,000 | 46,350,000 |
⑥:賃貸住宅の場合 | 60,000,000 | 60,000,000 |
男性の老後資金の必要額が最大になるケース(①+③-⑥)
600万+1620万ー6000万円=3780万円の老後資金が不足している
男性の老後資金の必要額が最小になるケース(②+④-⑤)
1323万+5400万ー4635万円=2000万円のゆとり資金が確保できる
女性の老後資金の必要額が最大になるケース(①+③-⑥)
600万+1620万ー6000万円=3780万円の老後資金が不足している(男性と同じ)
女性の老後資金の必要額が最小になるケース(②+④-⑤)
1323万+3240万ー4635万円=72万円の老後資金が不足している
女性のおひとりさまは注意が必要
老後資金の必要額の最大値は男女ともに3780万円程度必要になることがシミューレション結果から分かりましたが、もう一点着目すべき箇所は、老後資金の必要額を最小金額で済む組み合わせの場合、男性が2000万円のゆとりが生まれるのに対して女性は72万円追加で貯蓄する必要がある点です。これは厚生年金の支給額が大幅に低いことが原因になりますが、おひとりさまの女性は計画的に貯金をしなければ老後破産の可能性があるため注意が必要です。
今回のシミュレーションは調査機関のデータを参考に算出をしていますが、実際に老後資金の必要額をシミューレションするには、ご自身に照らし合わせた計画が必要と言えます。そこで下記の記事におひとりさまが老後資金の計画を立てるために必要な情報をまとめましたので確認をしてください。
まとめ
おひとりさまの貯蓄、収入、支出の調査データから老後資金の必要額をシミューレションしました。実際の家計簿は人それぞれ異なりますので自分に合った老後資金の計画を立てるようにしましょう。おひとりさまは悠々自適な生活を送れる一方で介護などひとりだからこその不安も付きまといますので事前の準備をしっかりと行い充実した老後の生活を送りましょう。