日本の公的年金制度を分かりやすく簡単に解説|Q&A付き







日本の公的年金制度は非常に複雑怪奇で分かりにくいと言えます。正直な話、自らが主体的に年金制度について調べない限り知らない情報がたくさんあっても不思議ではありません。

さらに言えば、公的年金制度について勉強しようにも何からどのように学べば良いのか?全く分からないと言えます。

そこで今回は、日本の公的年金制度を分かりやすく、出来る限り簡単に解説を行いたいと思います。また、よくある疑問をQ&Aにてまとめてありますので合わせてご参照頂ければと思います。

年金制度は3階建てだが公的年金は2階まで

年金制度は2階建や3階建という表現を用いられることが多々ありますが、まずは、年金制度の全体像を理解するために図解をさせて頂きました。

年金制度の全体像

上記の図解でも分かるように、1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金、3階部分が私的年金となっています。公的年金と呼ばれる、強制加入の年金制度は2階部分までになりますので「国民年金」と「厚生年金」が該当します。

よく、お勤めの会社で「企業年金や確定拠出年金に加入しますか?」という案内を見たことがある人もいるかと思いますが、これは私的年金になりますので、加入するか否かは個人や企業の判断に委ねられています。

一方、公的年金である「国民年金」と「厚生年金」は、20歳以上60歳未満の人は、どちらかに必ず加入する必要があるのです。

では、自分自身が「国民年金」と「厚生年金」のどちらに加入しているのか確認方法をお伝えしたいと思います。

学生や自営業者の人は国民年金に加入している

国民年金に加入する人は、学生、無職、自営業者などの人が該当します。端的に言えば、厚生年金に加入していない20歳以上60歳未満の人、全員が必ず加入していると言えます。

厚生年金は給与から年金保険料が天引きされるのに対して、国民年金は自分で年金保険料を納付する必要があるのですが、必要性を感じられずに滞納している人が3割もいるのが実態です。

しかしながら、年金保険料を滞納すると、将来年金が受給できないだけでなく、財産の差し押さえなど強制執行される可能性もありますので滞納しないように注意したいところです。

実際、国民年金保険料を滞納した場合の罰則について「2018年最新情報|年金(国民年金)未納は危険|延滞金・強制徴収などデメリットを解説」にてまとめてありますのでご参照ください。

会社員や公務員の人は厚生年金に加入している

会社員や公務員の人は厚生年金に加入しています。以前は、公務員の年金制度として共済年金がありましたが、平成27年10月1日に「被用者年金一元化法」が施行され厚生年金に一元化されました。

この理由には、年金制度が3種類あると管理が煩雑化し支給漏れ等のトラブルが頻発したことが挙げられます。従って、現在は公務員の人も共済年金ではなく厚生年金に加入していると覚えておきましょう。

加入している年金は3つの分類で管理されている

さて、ご自身が「国民年金」または「厚生年金」のどちらに加入しているか?把握が出来たと思いますが、ここでは、年金の管理方法についてお伝えしたいと思います。

年金は3つの分類で管理されている

名称加入する年金対象の方
第1号被保険者国民年金日本に住む20歳〜60歳未満の内、自営業、農業、漁業、学生、無職に該当する人が国民年金に加入した場合、第1号被保険者となる
第2号被保険者厚生年金会社員や公務員など厚生年金に加入している場合、第2号被保険者となる
第3号被保険者国民年金第2号被保険者に扶養される20歳〜60歳未満の人で年収が130万円未満の場合、第3号被保険者となる(*)

(*)第3号被保険者の加入条件においては例外もありますので詳しくは「厚生年金保険にパートが加入する条件とは?メリット・デメリットを解説」をご参照ください。

上記の通り、学生や自営業の人などは「第1号被保険者」として国民年金に加入し、会社員や公務員の人は「第2号被保険者」として厚生年金に加入しています。

また、「第2号被保険者」に扶養される人は、「第3号被保険者」として、国民年金に加入していますが年金保険料の納付は免除となる特典があります。

第3号被保険者が国民年金保険料の納付が免除になる理由は「第3号被保険者とは?条件・年金受給額・手続き・資格喪失など疑問を解説」をご参照ください。

年金が受給できるのは老後だけではない

年金は老後に受け取れるお金」という印象が強いと思いますが、現役世代でも受給できる年金が「障害年金」と「遺族年金」になります。

それぞれどのような年金制度なのか確認してみましょう。

障害年金とは?

障害年金とは、一定水準の障害認定を受けた方の生活を支える公的年金の1つです。

障害年金の種類は、国民年金加入者が受け取れる「障害基礎年金」と厚生年金加入者が受け取れる「障害厚生年金」の2つの種類があります。

障害年金を受給できる障害等級

  • 障害基礎年金:障害等級1級、2級に該当する人
  • 障害厚生年金:障害等級1級、2級、3級に該当する人

障害等級によって受給できる金額が異なりますので、詳しくは「障害年金とは?受給資格・受給金額・申請方法・更新手続きを徹底解説」をご参照ください。

遺族年金とは?

遺族年金とは、一家の大黒柱である被保険者が死亡した場合に、残された遺族の生活が困窮しないように支給される公的年金の1つです。

遺族年金の種類は、国民年金加入者が受け取れる「遺族基礎年金」と厚生年金加入者が受け取れる「遺族厚生年金」の2つの種類があります。また、厚生年金加入者は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の両方を併給することが可能になります。

ただし、障害基礎年金は18歳未満の子供がいない場合は受給することが出来ないのです。そのため、国民年金加入者の遺族で子供がいない場合は遺族年金が受給出来ない。ということになります。

とは言え、これでは年金保険料を納めるメリットが薄れてしまいますので、遺族基礎年金も遺族厚生年金も受給資格を有していない遺族に対し「寡婦年金」または「死亡一時金」のどちらかが給付されることになっています。

遺族年金や給付制度の詳しい解説は「遺族年金の仕組み|受給金額はいくら?いつまでもらえるの?」をご参照ください。

年金制度の気になる疑問を解説

日本の年金制度について解説を行なってきましたが、ここからは、年金制度の気になる疑問についてQ&A方式で回答を行いたいと思います。

Q.年金は何歳から受給できますか?

年金は、数年前まで60歳から受給することが可能でしたが、現在は原則65歳からになります。

ただし、受給年齢の引き上げ時に、60歳から65歳への移行を一斉に行なった訳ではなく、段階的に切り替えをしているのです。

現在も受給年齢を65歳に引き上げる移行期間中であることから、65歳未満で年金を受給できる人が存在しております。

この段階的な切り替え制度を「特別支給の老齢厚生年金」と呼びます。

特別支給の老齢厚生年金に該当する条件については「特別支給の老齢厚生年金とは|制度を理解し上手に活用するための知識」にて解説しておりますのでご参照ください。

Q.厚生年金に加入していますが国民年金には加入出来ていますか?

厚生年金に加入している人は毎月の給与から「厚生年金保険料」という名目で天引きされていることだと思います。その際、気になるのが「国民年金保険料は納めなくて良いの?」という点です。

結論、厚生年金加入者は同時に国民年金にも加入している扱いになりますので、給与天引きされている保険料には、国民年金保険料も含まれていることになります。

従って、追加で保険料を支払う必要はありません。

Q.年金はいくら受給できますか?

平成30年時点の国民年金の平均受給額は5.4万円、厚生年金の平均受給額は14.7万円になります。国民年金は、加入期間により受給額が変動し、厚生年金は現役時代の所得によって受給額が変動します。

そのため、ご自身が現在いくらの年金を受給できるか確認したい場合は、誕生日月に送付される「ねんきん定期便」を見れば受給額を確認することが可能になります。

ねんきん定期便の見方は「年金定期便の見方を解説|いくらもえるか全てが分かる便利なはがき」にて解説をしておりますのでご参照ください。

Q.年金を受給できる条件はありますか?

国民年金も厚生年金も年金保険料を10年以上納めることで受給資格を得ることが可能になります。以前は、25年以上年金保険料を納付しなければ受給ができませんでしたが、現在は10年に短縮されています。

年金受給に関しては「年金受給の全て|何歳から受給できいくら貰えるのか?資格と金額を解説」にてまとめてありますのでご参照ください。

Q.退職したら年金の扱いはどうなりますか?

厚生年金に加入している人が、退職し再就職するまでに空白期間できる場合や再就職しない場合は、国民年金への切り替え手続きが必要になります。

切り替え手続きを忘れていると、しばらくしてから、国民年金保険料をまとめて支払うように案内が届いてしまいますので注意が必要です。

厚生年金から国民年金への切り替え手続きについては「国民年金と厚生年金の切り替えは忘れてはいけない!就職や退職時に注意」をご参照ください。

まとめ

日本の年金制度について分かりやすく簡単に解説を行いましたが、本記事は日本の年金制度で最低限理解しておくべき知識を中心にご紹介をしております。

しかしながら、年金制度はさらに細かく複雑である実態もあります。もし、今回お伝えした情報で満足な情報が得られない場合は、日本年金機構に電話で相談することが最も得策と言えます。

強制加入の年金制度だからこそ、しっかりと理解し損をしないようにしましょう。









全国320の法律事務所を徹底比較

ABOUTこの記事をかいた人

老後資金の教科書

老後資金の教科書は老後の生活をより豊かにするために、金融や老後に関する法改正などを中心に解説記事を掲載しています。 リバースモーゲージ、介護保険問題、年金カット法案、高額医療費の自己負担の増加など難しい制度を分かりやすくご紹介します。