役職定年の年齢は?年収はいくら下がる?制度を徹底解説







大企業などが中心に導入している「役職定年」。これは定年退職前に年収が大きく下がる可能性が高いことから50代を中心にしっかりと老後資金の計画に盛り込む必要があります。今回はこの「役職定年」について導入している企業の割合や対象になる年齢、年収の変化などの解説を行います。

役職定年制度とは

役職定年とは、55歳や60歳など一定の年齢に達した方を対象に役職者(部長や課長)から一般社員に役職が外される制度です。役職定年を導入する企業の背景には、組織の活性化や若返り化を促進させることで若手のモチベーションを上げることや高年収層の年収を引き下げることで人件費を圧縮することが目的になります。確かに企業にとってはメリットのある制度かもしれませんが、当事者からすると、これから老後資金を貯めなくてはいけない年齢でもあるので厳しい制度と言えるでしょう。

役職定年制度を導入する企業は23.8%から47.7%に増加

役職定年制度の導入している企業の割合は平成19年に人事院が「民間企業における役職定年制・役職任期制の実態」から導入率を23.8%と発表をしています。その2年後に厚生労働省の中央労働委員会が「平成21年賃金事情等総合調査」を参照すると役職定年の導入企業の割合は47.7%と増加していることが分かります。人事院の調査は従業員規模500人以上の企業を対象に調査し厚生労働省は従業員1000人以上であり資本金5億円以上としていることから単純な比較にはなりませんが、大企業ほど役職定年を導入している割合は高くなる傾向があるようです。今回はこの2つのデータを参照しながら数字を明示していきます。

役職定年の導入企業の8割は規定を明示している

役職定年は突然連絡が来る。という企業は比較的少ないようです。厚生労働省の中央労働委員会の「平成21年賃金事情等総合調査」を確認すると導入企業の78.8%が規定として定めているようです。そのため基本的には導入企業にお勤めの方は人事や就業規則を確認すると何歳で役職定年になるのか分かると思います。ただ、2割の企業は役職定年について規定がないことからいつ声が掛かるのか。と不安に感じる方も多いでしょう。そこで一般的に何歳くらいで役職定年に該当するのか平均年齢を確認してみましょう。

役職定年の平均年齢は55歳が最多

こちらは、中央労働委員会の「平成21年賃金事情等総合調査」を確認すると、55歳が最も多く、その後57歳と続いています。55歳で役職定年し年収が下がり、60歳で高齢者再雇用制度でさらに年収が下がるということが起きてしまうと老後資金がなかなか貯まりません。そこで高齢者雇用継続給付金を活用するなど下がった年収に対しては、給付金を活用することがおすすめです。詳しくは、高齢者給付金で必ず抑えたい3つの制度|消費税・雇用・年金問題の対策にを参照ください。

役職定年で82.5%の企業は年収が下がる

人事院の調査データを確認すると、やはり目的に人件費の圧縮が含まれるだけあり給与が維持される企業は8.8%しかありませんでした。そのため55歳から57歳をきっかけに役職がある方は年収が下がるということを念頭の置いてく必要があります。当事者からすると非常に辛い制度ですが、なぜ企業は役職定年制度を導入しているのか今一度確認してみましょう。

企業が役職定年を導入する背景

役職定年制度は、当事者からすると喜べない状況であります。それでも企業が役職定年制度を導入する背景には「組織の新陳代謝」、「人件費の圧縮」、「年功序列の修正」の3点があると言われていますので詳しく解説を行います。

組織の新陳代謝を行う必要性

役職定年を一定の年齢で一律実施する背景には、新たな管理職を登用し若手に管理職経験を積ませたいという思惑があります。やはりこれから定年に向かっていく層が管理職にいると若手が主要ポジションの経験を積むことができず組織全体の弱体化に繋がってしまうというリスクがあります。また、若手に出世の機会を提供することはモチベーションを向上させ、これまで以上に高いパフォーマンスを上げる可能性が期待できる企業側のメリットも存在します。

50代の人件費を圧縮したい企業側の意図

50代は企業の中でも年収が高い人が集中しています。これは役職者が多い。という背景もありますが、そもそも長年勤めたことで基本給自体が高い方も多いでしょう。一方で生産ラインは日々現場で動いている若手が中心で50代が組織的に増加すると売上に対しての人件費率が相対的に高まってしまうという問題があります。そのため、役職定年制度によって一律50代の年収をコストカットし組織をスリム化することは企業運営では合理的な判断。という側面があります。

年功序列の修正によるメリット

終身雇用制度が崩壊し人材が流動的になっていることは周知の通りだと思います。事業を成長させる人材を外部から雇用したり、主要ポジションに登用することが一般的になった現在、年功序列により組織が硬直化している企業は大胆な採用や登用に踏み切ることができません。そこで、役職定年制度を設けることで外部からの人材を積極的に雇用する余力を作るという企業の戦略があります。

50代はお払い箱?

もはや50代は企業にとっては邪魔な存在なのか。お払い箱か?と思ってしまうような導入理由ですが、実際、役職定年後は、どのような処遇になるのか確認をしてみます。

役職定年後の処遇

役職定年後、同じ企業で定年退職まで勤務する方針をとっているのが91.8%と大半ですが、在籍出向14.4%、関連企業への移籍出向15.4%と職場自体が変わるケースもあるようです。合計が100%を超えているのは複数の選択肢から選ぶことができるためでしょう。どちらが良いのかはその時の条件次第ではありますが、50歳を超えて環境が変わるというのも不安要素のひとつになりそうです。

役職定年後の仕事内容

役職定年後に現在の企業に残ったとして、どのような仕事を行うのか?これは同格の専門職として働ける割合が57.9%と最も高いのですが、次いで格下の専門職が29.3%、格下のライン職が8.2%という結果になっています。多くの方は役職だけ外れそのまま勤務することが出来るようですし、これまでの専門性を活かして仕事ができればランクが下がっても妥協できる範囲もあると思います。基本的には、同程度の仕事を役職定年後も続けてもらうという前提がありますが、実際、組織的に機能しているとは言えない側面もあります。

役職定年後の事例

役職定年後、実際にどのような仕事を行うことが多いのかをNTTデータ経営研究所がレポートをまとめていますが、総じて役職定年後の人材活用で成功している事例は、「長年培った専門性を業務遂行において直接的に価値を発揮できるポジション」に登用させることが成功の要因であります。

要は、管理職として現場を離れてはいたが、その領域においては現場でも価値を発揮できる人材であれば成功している。ということになります。これは組織的に成功している事例を作れている訳ではなく、個人の能力や働く意欲によって左右されているようです。

会社側の取り組みとしては、外部の求人を集め、その求人で必要なスキルや給与を提示し役職定年後に能力開発を行ってもらうという事例もあるようです。

50代は自身の働く意欲や専門性よって処遇が変わる

結果論、役職定年をした者を組織的に活躍させる仕組みが出来ていない以上、組織人として定年まで勤め上げるには、企業に貢献できる専門性を身につけ、定年まで現場で努力できる人材でいる必要があります。そのため、管理職になり現場を把握できていないと苦労することにことから継続的な能力開発が必要になるでしょう。

役職定年に向けて能力開発を行うべき

事例でもご紹介したように「専門性」と「現場力」があれば役職定年後でも十分に活躍することは可能です。そのために役職定年前から自身の能力開発を行うことが重要でしょう。具体的には資格の取得なども有益ですが、現場業務になったときのためにも部下と一緒に現場業務を率先して行うなどの準備を進める方が有益とも言えます。

また、専門性の高い職種の方はこれをきっかけに自身が突き詰めたい事業に精を出しても良いと言えます。50代から定年までどのようなゴールを描くのか個人によって分かれますが、厳しい事業環境の中で活躍できる人材でい続けるためにも今から能力開発を行うようにしましょう。









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老後資金の教科書

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