厚生年金保険料の仕組みとは?31等級別の保険料と計算式を解説







会社員や公務員の方が加入する厚生年金ですが、基本的には給与から厚生年金保険料を天引きされていますので、そこまで注視して年金保険料を確認していない方も多いかもしれません。

ただ、深くは意識していないものの天引きされる額を見て「高い…」と感じたことがある方も多いかもしれません。

厚生年金保険料は所得に連動して徴収される保険料が増額される仕組みになっており、その基準を決めるのが標準報酬月額となります。そこに厚生年金保険料率を掛けることで厚生年金保険料を求めることができます。

今回は、いくらの所得でどの程度の厚生年金保険料が徴収されるのか31等級別に解説を行います。

厚生年金保険料の計算式

厚生年金保険料の計算は毎月の給与と賞与に厚生年金保険料率を掛け合わせることで求めることが可能です。また、お勤めの企業と折半することとなりますので、実際の本人負担は半額となります。

保険料の種類保険料額の計算方法
毎月の保険料額標準報酬月額×厚生年金保険料率
賞与の保険料額標準賞与額×厚生年金保険料率

標準報酬月額とは?

標準報酬月額とは、厚生年金加入者(被保険者)の税引き前給与を4月から6月の間で平均した金額となります。この標準報酬月額は基本給だけでなく、残業手当、通勤手当、現物支給も含めて計算がされます。

この標準報酬月額は、1等級(8.8万円)から31等級(62万円)までに分かれており、この等級に厚生年金保険料を掛け合わせることとなります。

31等級が一番高い報酬設定となっており、月額給与は62万円となります。これ以上の収入がある方も62万円に対して厚生年金保険料率を掛けることとなります。

標準賞与額とは

標準賞与額とは、1,000円未満の端数を切り捨てした税引き前賞与のことで1度の支給上限額は150万円までとなります。実は、賞与には定義が決められており年に3回以下の支給となるものを指していることから会社によって給料や俸給などと呼ぶ場合でも賞与として扱われることとなります。また、現物支給も賞与として含まれます。

厚生年金保険料率は平成29年10月から18.3%に値上げ

厚生年金保険料率は平成29年10月より18.182%から18.3%に引き上げがなされました。そのため、平成29年10月以降に徴収される厚生年金保険料は18.3%を標準報酬月額に掛けた金額となります。

厚生年金の保険料が18.3%に引き上げ|どうなる未来の年金事情」でも解説をしておりますが、今回の引き上げで2004年から続く厚生年金保険料の引き上げが上限に達しました。

この年金保険料の引き上げは、2004年に小泉政権が掲げた方針で2017年まで年金保険料を値上げすることで、現役世代の所得と年金支給額の比率である所得代替率を「50%以上」は確保すると掲げていました。

しかしながら、厚生労働省が2014年に発表した「財政検証」によると所得代替率を50%以上確保するためには、厚生年金保険料を25.9%まで引き上げする必要があると記載されています。

引き上げ上限に達した厚生年金保険料率がこれからも値上がりするのかしないのか。これは今後の動向を注視していきたいと思います。

厚生年金保険料は標準報酬月額から31等級に分かれる

さて、標準報酬月額の仕組みを理解したところでいくらからいくらまでがどの等級に分類されるのかを確認して見ましょう。

等級標準報酬月額報酬月額の範囲厚生年金保険料自己負担額
1等級¥88,000 ¥93,000¥16,104¥8,052
2等級¥98,000¥93,000¥101,000¥17,934¥8,967
3等級¥104,000¥101,000¥107,000¥19,032¥9,516
4等級¥110,000¥107,000¥114,000¥20,130¥10,065
5等級¥118,000¥114,000¥122,000¥21,594¥10,797
6等級¥126,000¥122,000¥130,000¥23,058¥11,529
7等級¥134,000¥130,000¥138,000¥24,522¥12,261
8等級¥1,420,000¥138,000¥146,000¥259,860¥129,930
9等級¥150,000¥146,000¥155,000¥27,450¥13,725
10等級¥160,000¥155,000¥165,000¥29,280¥14,640
11等級¥170,000¥165,000¥175,000¥31,110¥15,555
12等級¥180,000¥175,000¥185,000¥32,940¥16,470
13等級¥190,000¥185,000¥195,000¥34,770¥17,385
14等級¥200,000¥195,000¥210,000¥36,600¥18,300
15等級¥220,000¥210,000¥230,000¥40,260¥20,130
16等級¥240,000¥230,000¥250,000¥43,920¥21,960
17等級¥260,000¥250,000¥270,000¥47,580¥23,790
18等級¥280,000¥270,000¥290,000¥51,240¥25,620
19等級¥300,000¥290,000¥310,000¥54,900¥27,450
20等級¥320,000¥310,000¥330,000¥58,560¥29,280
21等級¥340,000¥330,000¥350,000¥62,220¥31,110
22等級¥360,000¥350,000¥370,000¥65,880¥32,940
23等級¥380,000¥370,000¥395,000¥69,540¥34,770
24等級¥410,000¥395,000¥425,000¥75,030¥37,515
25等級¥440,000¥425,000¥455,000¥80,520¥40,260
26等級¥470,000¥455,000¥485,000¥86,010¥43,005
27等級¥500,000¥485,000¥515,000¥91,500¥45,750
28等級¥530,000¥515,000¥545,000¥96,990¥48,495
29等級¥560,000¥545,000¥575,000¥102,480¥51,240
30等級¥590,000¥575,000¥605,000¥107,970¥53,985
31等級¥620,000¥605,000 ¥113,460¥56,730

1円の差で等級が変わる

上記のように標準報酬月額を基準した等級は報酬月額から決まりますが、等級が上がるほど厚生年金保険料の納付額も増加します。従って等級の変わりによっては給与の増額以上に厚生年金保険料の支払いが増えてしまうという場合もあります。

ケーススタディ:19等級と20等級を比較

  • 31万円の場合は20等級:32万円に対して厚生年金保険料率を掛け合わせる
  • 30万9,999円の場合の場合は19等級:30万円に対して厚生年金保険料率を掛け合わせる

従って、31万の20等級の場合は厚生年金保険料が5万8,560円に対して、30万9,999円の19等級の場合は厚生年金保険料が5万4900円となりますので3,660円もの差が生まれることとなります。

本人負担は上記の金額の50%となりますので、1,830円の差が生まれることとなります。年間にすると2.2万円もの差が生まれることから等級の分かれ目は重要な基準と言えるでしょう。

厚生年金保険料はなぜここまで高いのか?

国民年金保険料は平成29年度は1万6490円の定額となっています。

これに対して厚生年金保険料は納付する保険料が非常に高いと言えます。それでは、なぜ厚生年金保険料は国民年金保険料と比較すると高いのか解説を行います。

国民年金と比較すると支給額が多い

国民年金は20歳から60歳まで滞納なく納付した場合に受け取れる満額支給額が平成29年度で6万4,941円となり平均支給額は5万5,244円となっています。

これに対して、厚生年金は満額という考えはありませんが、平均支給額が平成29年度で14万7,872円と3倍程度の支給額なされております。もちろん納めている保険料が高いのでその分多く支給されている訳ですが、年金は終身で受け取りができますので厚生年金の方が魅力が高いと言えます。

充実した保障制度(遺族年金、障害年金)

この他にも遺族年金や障害年金でも受給できる金額や対象が厚生年金加入者の方が有利となっています。

障害基礎年金(国民年金加入者)と障害厚生年金(厚生年金加入者)の制度を比較

障害等級障害基礎年金障害厚生年金
障害等級1級【1級】 974,125円+子の加算報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額(224,300円)
障害等級2級【2級】 779,300円+子の加算報酬比例の年金額+ 配偶者の加給年金額(224,300円)
障害等級3級報酬比例の年金額 ※最低保障額:584,500円

遺族基礎年金(国民年金加入者)と遺族厚生年金(厚生年金加入者)の制度を比較

世帯構成遺族基礎年金の支給額遺族厚生年金の支給額
妻のみ¥0本来受け取れる厚生年金の3/4程度
妻+子1人¥1,003,600
妻+子2人¥1,227,900
妻+子3人¥1,302,700

厚生年金保険料のまとめ

厚生年金保険料の仕組みについて解説を行いました。計算式は、標準報酬月額から分類される31の等級に厚生年金保険料率を掛け合わせることで算出が可能です。

平成29年10月に保険料率が18.3%に引き上げされ保険料の高さが気になりますが、受給額の高さや遺族年金、障害年金などの保障も充実している厚生年金制度を維持するために必要な料率である考えるべきでしょう。

また、政府が密かに検討を進めている可能性がある厚生年金保険料の引き上げは今後の政治動向の1つとしてしっかりと注視するようにしましょう。









全国320の法律事務所を徹底比較

ABOUTこの記事をかいた人

老後資金の教科書

老後資金の教科書は老後の生活をより豊かにするために、金融や老後に関する法改正などを中心に解説記事を掲載しています。 リバースモーゲージ、介護保険問題、年金カット法案、高額医療費の自己負担の増加など難しい制度を分かりやすくご紹介します。