定年退職を迎えても体はまだまだ元気。老後の生活を考えると少なくても65歳までは働きたい。できればそれ以上でも仕事を続けたい。と考える方は非常に多くいることでしょう。
実際、平成28年度厚生労働白書にて60歳以上の男女に「何歳ごろまで仕事をしたいか」という質問をしたところ「働けるうちはいつまでも(29.5%)」が最も多く「70歳ぐらいまで(23.6%)」 「65歳ぐらいまで(21.4%)」という結果になっています。

引用:平成28年度厚生労働白書
上記より、定年退職を迎え「同じ企業で再雇用される」か「心機一転、新しい職場で再就職する」かの二択になるでしょう。
そこで今回は、定年後に再雇用と再就職ではどちら方がメリットがあるのか?また、再就職する場合に老後に必要な年収に応じておすすめな求人と探し方をお伝えしたいと思います。
目次
定年後は再就職と再雇用どちらがおすすめか?
まず、定年後に「同じ企業で再雇用されるか?」「新しい職場で再就職するか?」の二択においては、年収面を考慮すると「再雇用された方が良い」という結論になります。
とは言え、再雇用の場合も子会社に出向となり定年前の年収から5割減となってしまう場合や平均でも6割〜7割程度の年収に減額されてしまうことが一般的です。加えて、業務内容も庶務系の仕事が中心となり現役時代とのギャップに苦労することでしょう。
ではなぜ?再就職よりも再雇用をおすすめするのか?という点では、やはり「60代の転職は厳しい」という実態があります。
「再雇用を断ったが再就職先が見つからず生活に困窮してしまう」というトラブルを防ぐ為にも65歳までは再雇用を選択した方が確実という訳です。
再雇用で年収が大きく減額された場合は高年齢雇用継続給付金を活用
再雇用を推奨する理由はもう1点あります。再雇用によって60歳以降の年収が大きく減額するような場合は、「高年齢雇用継続給付金」を活用することが可能です。
高年齢雇用継続給付金とは、60歳以降の賃金が61%以下まで減額された場合、65歳の誕生日まで月賃金の15%が支給されます。61%〜75%未満の場合も一定割合は給付金が支給されるのです。
非常にメリットのある給付金制度ですので再雇用で年収が大きく下がってしまう場合はぜひ活用しましょう。
定年後に再雇用ではなく再就職を選ぶ理由
一方で再雇用ではなく再就職を選択することもメリットはあります。
まず、再雇用の場合は「これまで部下だった者が自分の上司になる」ことや「庶務的な業務内容に自分のプライドが傷つく」など、実質的に同じ仕事を年収を下げて続けられる。という訳ではないことに戸惑うことでしょう。
それであれば、「嫌な仕事で生活を維持するよりも少し年収が下がっても自分の好きな仕事をしたい」と考える方も少なくないでしょう。
その際、朗報となるのが「高年齢再就職給付金」と呼ばれる制度で退職後に失業保険を受給した人が再就職した場合に、所定の条件を満たすことで2年の間、最大15%の給付金が支給されるのです。
上記の給付金制度を活用すれば多少の年収ダウンもカバーすることができると言えます。とは言え、どこまでの年収ダウンを許容するかは老後に必要な資金によって変わることから、これから詳しく解説を行いたいと思います。
定年後の再就職は老後に必要な年収から決めるべき
老後資金の必要額は夫婦が仮に90歳まで生きたと仮定すると、3000万円から5000万円程度は必要と考えるべきでしょう。
詳しいシミュレーションは「老後資金の必要額をシミュレーション|夫婦で5000万円?それとも3000万円?」にて解説を行なっておりますのでご参照頂ければと思いますが、重要なのは定年時にいくらの老後資金が不足しているかを算出することです。
日本人の健康寿命の平均は71歳と言われておりますので、仮に70歳まで仕事を続ける場合は60歳から70歳までの10年間で老後資金の不足金額を補う必要があります。
そのため、以下の老後資金の必要額に応じた年収表を目安にご自身が定年後にいくらの年収が必要なのか把握しておきましょう。
老後資金の不足額 | 必要な月収 | 必要な年収 |
10,000,000円 | 83,333円 | 1,000,000円 |
20,000,000円 | 166,667円 | 2,000,000円 |
30,000,000円 | 250,000円 | 3,000,000円 |
40,000,000円 | 333,333円 | 4,000,000円 |
50,000,000円 | 416,667円 | 5,000,000円 |
年収100万円〜200万円程度が必要な場合
それでは、老後に必要な年収に応じて定年後におすすめな求人と探し方をお伝えしたいと思いますが、まずは、年収100万円〜200万円程度が必要な場合をお伝えしたいと思います。
現役時代に平均的な所得を得ていた会社員の方であれば、この年収を得るだけでも老後資金の必要額を賄えてしまうケースが多々あります。
加えて、夫婦の場合は共働きをすることで上記の年収を半分にすることが可能です。
定年後の再就職におすすめな求人は清掃・警備・早朝勤務のアルバイト
年収100万円〜200万円であれば正社員だけでなくアルバイトも選択肢として広げることができるでしょう。
この場合、シニアを積極採用しており再就職のハードルも低い求人として「清掃・警備・早朝勤務のアルバイト」などがおすすめと言えます。
シニアになると朝型になる人も多いと思いますが、コンビニやパン屋の工場であれば朝の6時から仕事をすることができるので1日を有意義に過ごすことが可能と言えます。同様に清掃や警備も深夜から早朝勤務の求人も多いので魅力があると言えます。
定年後に求人を探す方法
定年後に年収100万円〜200万円を必要とする場合は、「シニア歓迎」の求人を探すことが最も早い方法と言えます。そのため、大手のアルバイト求人サイトを活用し仕事探しをすることをおすすめします。
特にシニアの求人が一定数確保できている以下の2つのサイトに登録をしてみましょう。
- 圧倒的な求人数を誇る「タウンワーク」:
https://townwork.net/
- 複数の求人情報をまとめて確認できる「アルバイトEX」:https://arubaito-ex.jp/
年収200万円〜500万円程度が必要な場合
年収200万円〜500万円程度必要な場合は、アルバイトではなく正社員の求人を見つけた方が良いでしょう。その際、再就職をするために再雇用を断るのではなく、再雇用で働きながら再就職先の面接を受けるようにしましょう。
定年後の再就職におすすめな求人はビル管理やマンション管理
さて、定年後に年収200万円〜500万円が必要な場合でおすすめな求人は「ビル管理」や「マンション管理」の求人になります。シニアの経験や人当たりの良さを高く評価してくれる企業が多くシニアでも再就職がしやすい一方で競争率は高いと言えます。
そのため、ビル管理であれば「ボイラー技士」や「消防設備士」、マンション管理であれば「建築物環境衛生管理技術者」や「マンション管理士」の資格を保有していると再就職に有利になると言えます。
また、現役時代に看護師であったなど資格を必要とする仕事の場合も再就職がしやすくなります。専門職への再就職を考えている場合は、その領域に特化した転職エージェントや求人サイトの方が自分に合った求人を紹介してくれる可能性が高まるでしょう。
定年後に求人を探す方法
定年後に年収200万円〜500万円を必要とする場合は、「総合系の転職サイト」と「専門特化型の転職エージェントや求人サイト」に相談することをおすすめします。
専門特化型の転職エージェントとは、「看護師、弁護士、税理士」など資格を必要とする仕事から「ITや財務」などの1つの領域に対して高い専門性を有している場合などに活用すると良い求人を紹介してもらえる可能性が高まります。
- 総合系転職サイト「リクネビNEXT」:
https://next.rikunabi.com/
- 総合系転職エージェント「リクルートエージェント」:https://www.r-agent.com/
- 看護師に特化した求人サイト「ジョブメドレー」:https://job-medley.com/
- 介護業界に特化した求人サイト「きらケア介護」:https://job.kiracare.jp/
- 管理・士業部門に特化した転職エージェント「MS-Japan」:https://www.jmsc.co.jp/
- IT業界に特化した転職エージェント「WORK PORT」:https://www.workport.co.jp/
まとめ
定年後の再就職先におすすめな求人とその求人を探す方法についてお伝えさせて頂きました。
老後資金の必要額に応じて、定年後にどれだけ働くのかが決まると言えます。とは言え、再就職だけでなく退職金を運用し老後の生活を安定させる方法もありますので合わせて検討してみましょう。
その際、「2018年最新|退職金の運用で失敗しないおすすめプラン6種を比較」にておすすめの投資商品も解説しておりますのでご参照頂ければと思います。