退職金はいくら?計算方法とシミュレーションを勤続年数・退職理由から算出







退職金はいくらもらえるのか?

定年前の方であれば次の就職先が見つかるまでの生活費として非常に気になるでしょう。そして、定年退職の方であれば老後資金として重要な原資になりますので、いくらもらえるのかシミュレーションしておく必要があります。

そこで今回は、退職金の計算方法を勤続年数と退職理由からシミュレーションを行い、今後の生活にお役立て頂ければと思います。

退職金の種類

まずは、退職金1つとっても「退職一時金制度」と「退職年金制度」の大きく2つの種類あります。

退職金の種類制度内容
退職一時金制度退職時に退職金の全額を一括で支払う制度
退職年金制度年金形式で退職金を一生涯または一定期間支払う制度

この「退職一時金制度」と「退職年金制度」はどちらを採用している企業が多いのか、日本経済団体連合会が調査した「2016年9月度退職金・年金に関する実態調査結果」を参照すると以下のようになります。

調査データを参照すると「退職一時金制度」のみは13.4%、「退職年金制度」のみは11.7%、「退職一時金制度と退職年金制度の併用」は71.7%と併用する企業が多いようです、

ご自身がお勤めの企業がどの制度を採用しているかは就業規則をご確認頂ければチェックが可能です。もし、分からなければ人事や総務に確認することで教えてくれるでしょう。

退職金は4社に1社は支給されないので注意

退職すれば退職金が支給されるというのは今や過去の話となりつつあります。

退職金の相場や税金の支払額はいくら?退職前に知っておくべき全知識」にて厚生労働省の「平成25年就労条件総合調査結果の概況」を確認した際、実に4社に1社は退職金が支給されないという状況のようです。

また、退職金制度がある企業でも支給条件があり、東京都産業労働局の調査を参照すると50%以上の企業が勤続3年以上を支給条件に設定しているようです。そのため、3年以下で会社を辞めてしまっては退職金は支給されないケースが大半となりますので注意しましょう。

退職金の計算方法|一般会社員の場合

それでは、退職金はどのような計算方法によって算出されているのか?

まずは一般会社員の退職金の計算方法を確認してみましょう。ただし、退職金の計算方法はお勤めの企業によって異なりますのでここでは代表的な算出方法をお伝えします。

会社員の退職金計算方法

1ヶ月分の基本給×勤続年数×給付率=退職金

この他にも以下のようにして退職金を計算する企業があります。

  • 給与と勤続年数から計算する
  • 勤続年数から所定の金額を支給する
  • 両者の組み合わせ

上記のような計算式では、「資格・職務要素」などが加味されないので、貢献度に応じた退職金の支給とはならないと言えるでしょう。そのため、多くの企業が1ヶ月分の基本給×勤続年数×給付率=退職金に計算を行っております。

給付率とは

さて、自分自身で退職金を計算しようと思った時に「給付率」は何%なのか?と思うことでしょう。この給付率は企業によって異なりますので一概にお伝えすることは難しい状況です。

とは言え、目安としては退職理由が大きな割合を占めることになりますので退職理由別の給付率を確認してみましょう。

自己都合での退職は給付率60%

まず、自己都合での退職の場合は給付率が60%程度となります。

自己都合と呼ばれるのは、「転職、出産、病気や怪我」など自分都合による退職理由のことを指しております。また、不正などを行い懲戒解雇などの罰則を受けた方も自己都合による退職となります。

会社都合での退職は給付率70%

会社都合での退職の場合は給付率が70%程度となります。

会社都合と呼ばれるのは「リストラ、倒産」など会社の都合による退職理由になりますので、当該本人にとっても意図せぬ退職となるでしょう。

また、定年退職の場合は、自己都合でも会社都合でもない。自然退職と呼ぶのが正しいかと思いますが、どちらに分類されるかは企業によって異なります。多くの企業は、会社都合として処理をしてくれるようなので人事などに確認するようにしましょう。

一般会社員の退職金をシミュレーション

では、実際いくらの退職金が支給されるのか一般会社員の場合でシミュレーションをしてみましょう。ここでは、勤続年数35年、給与40万円で自己都合と会社都合でシミュレーションを行います。

退職理由給与勤続年数給付率退職金支給額
自己都合40万円35年60%840万円
会社都合40万円35年70%980万円

毎月の給与が40万円、勤続35年の方であれば、自己都合による退職で840万円、会社都合による退職で980万円程度の退職金が支給されることになります。

その他のシミュレーションについは以下に早見表形式でまとめてありますのでご参照ください。

自己都合による退職の場合の退職金シミュレーション

会社都合による退職の場合の退職金シミュレーション

退職金の計算方法|公務員の場合

次に公務員の方の退職金を確認してみましょう。公務員の場合は、退職金規定がしっかりと定められておりますので以下が計算式になります。

公務員の退職金計算方法

退職日の俸給月額×退職理由別・勤続年数別支給率+調整額=退職金

公務員の方の退職金も一般会社員と同様に月の給与(俸給)に退職理由と勤続年数を掛け合わせて算出しますが、そこに調整額が加わります。それぞれのどのような意味なのか「退職理由別・勤続年数別支給率」と「調整額」については以下をご参照ください。

退職理由別・勤続年数別支給率の基準

公務員も退職理由と勤続年数によって支給率が決められております。「国家公務員退職手当支給率早見表」をベースにしながら支給率の簡易表を作成しましたのでご参照ください。

国家公務員の退職理由別・勤続年数別支給率

地方公務員の退職理由別・勤続年数別支給率

調整額とは?

調整額とは、「在職期間中の貢献度に応じて退職金に加算される職責ポイント」となりますので、民間企業同様に貢献した分だけ退職金の支給額が上乗せされる仕組みとなります。この調整額は平成18年4月より新たに導入がされております。

実際に支給される調整額は基礎在職期間の初月から退職する月までの間に退職者が属していた区分に応じて定める額のうち、その額が多いものから60ヶ月分を合計した金額が支給されます。

調整額の基準は「人事院勧告に基づく給与法改正による退職手当の経過措置について」を参照すると以下のようになります。

公務員の退職金をシミュレーション

では、公務員の方がいくらの退職金を受け取ることができるのかシミュレーションを行いたいと思います。一般会社員同様に勤続年数35年、給与40万円とし、調整額は、7級24月、6級36月としてシミュレーションを行います。

退職理由給与(俸給)勤続年数給付率支給額
自己都合40万円35年41.325%578万5500円

578万円5500円に調整額を加算することになります。

調整額の計算調整月額期間調整額
7級4.17万円24月100万800円
6級3.335万円36月120万600円
調整額合計220万1400円
支給額+調整額798万円6900円

少々ややこしい計算式にはなりますが、公務員の退職金は調整額によって大きく変動があると言えるでしょう。

退職金の計算方法|会社役員の場合

最後に会社役員の場合は退職金の計算方法を確認したいと思いますが、会社役員の場合は明確な退職金の計算方法が存在しておりません。

とはいえ、非常に高額な退職金を役員に支給した場合は、損金計上が出来ないなどデメリットがありますので、妥当な金額で退職金を支給する必要があります。

損金算入が出来ないとどうなる?

退職金の支給額が不相当だと判断された場合は、損金不算入扱いとなり、経費として扱うことが出来なくなります。従って、役員の退職金には法人税が課せられてしまいます。さらに、受け取った役員には退職所得に対して所得税が徴収されることから、法人税と所得税が二重で課税されてしまいます。

では、この相当な金額とはどのように決めるのが良いのか一般的には以下のような計算式を用いて算出を行います。

公務員の退職金計算方法

最終役員報酬月額×役員在任期間×功績倍率=退職金

一般的には役員報酬と役員であった期間に功績倍率を掛けて算出を行います。

功績倍率は任期中の貢献度に応じて一定の基準を定める方法になります。任期中に平取締役から常務や専務など職位が上がった場合は、各職位での功績倍率の平均を基準にする場合もあります。

役員の退職金をシミュレーション

役員の退職金をシミュレーションしてみましょう。シミュレーションの条件は以下の通りです。

  • 職位:代表取締役社長
  • 最終役員報酬月額:100万円
  • 在任期間:30年
  • 功績倍率:社長3倍、専務2.5倍、常務2倍、平取締役1.5倍
職位最終役員報酬月額在任期間功績倍率退職金支給額
代表取締役100万円30年3倍9,000万円

想定としては実質創業者の退職金のシミュレーションになりますが、毎月100万円程度の収入を得ている経営者であれば9000万円程度が妥当かもしれません。一般会社員に比べれば夢のある退職金と言えるでしょう。

まとめ

退職金の計算方法を一般会社員、公務員、役員別で勤続年数・退職理由から解説を行いました。

今回のシミュレーションはあくまで目安となりますので、実態についてはお勤めの企業の就業規則を確認の上、自分自身でシミュレーションを行うようにしましょう。

想定したよりも退職金が支給されず退職後の生活が苦しい。という事態を避けるためにもしっかりとしたシミュレーションを行うことは非常に重要であることから密な計画を練ることをおすすめします。









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