老後の生活費はいくらかかるのだろうと不安に感じる方も多いと思います。老後資金の計画を立てる上で欠かせない老後の生活費を知るために今回は、一人暮らし、夫婦別に平均的な老後の生活費を算出すると共に最低限度の生活費、ゆとりある生活費、住まいがマンションだった場合の生活と合計8つのパターンをご紹介したいと思います。
老後の生活費の前に平均余命を知る
平均余命とは特定の年齢からあと何年生きることができるのかを平均化したものです。厚生労働省の平均余命の一覧を確認すると以下のようになります。
性別 | 65歳時点での平均余命 | 寿命 | 老後期間 |
男性 | 19.29歳 | 84.29歳 | 約20年(240ヶ月) |
女性 | 24.18歳 | 89.18歳 | 約25年(300ヶ月) |
男性で20年、女性で25年程度は老後の期間があると想定するのが良いでしょう。今回は計算を簡略化させるために男女ともに老後の期間は25年として90歳を寿命としてシミュレーションをしたいと思います。
一人暮らし世帯の老後の生活費
それでは一人暮らしの老後の生活費をお伝えしたいと思います。「平均的な生活」、「最低限度の生活」、「ゆとりある生活」に加え「マンション住まいの生活費」の4パターンをお伝えします。
【パターン1】一人暮らし世帯の平均的な老後の生活費
一人暮らしの平均的な老後の生活費を家計調査から参照をすると毎月15.8万円程度発生していることが分かります。内訳を確認してみましょう。
項目 | 平均的な生活費 |
食料 | 40,050円 |
住居 | 20,148円 |
光熱・水道 | 11,088円 |
家具・家事用品 | 5,316円 |
被服及び履物 | 5,293円 |
保健医療 | 6,632円 |
交通・通信 | 18,712円 |
教育 | 10円 |
教養娯楽 | 19,395円 |
その他の消費支出 | 32,109円 |
老後の生活費合計 | 158,753円 |
毎月15.8万円の支出が平均的な老後の生活費とした場合に老後の期間で合計いくらの生活費が発生するのか計算をしたいと思います。
158,753円(毎月の生活費)×25年(老後の期間)=47,625,900円
【パターン2】一人暮らしの最低限度の老後の生活費
続いては、一人暮らしの最低限の老後の生活を送るための生活費ですが、明確な公共機関からのデータは発表されていません。そこで生命保険文化センターの「平成28年度生活保障に関する調査」をもとに夫婦二人暮らしの最低限度の生活費が22万円と発表がありましたのでこちらを半分した11万円として内訳を作成したいと思います。
項目 | 最低限度の生活費 |
食料 | 30,000円 |
住居 | 20,000円 |
光熱・水道 | 10,000円 |
家具・家事用品 | 5,000円 |
被服及び履物 | 5,000円 |
保健医療 | 5,000円 |
交通・通信 | 10,000円 |
教育 | 0円 |
教養娯楽 | 0円 |
その他の消費支出 | 25,000円 |
老後の生活費合計 | 110,000円 |
最低限度の生活を送るためには「教養娯楽費」をほぼ0円にする必要があるでしょう。加えて「その他の支出」に含まれる「理美容代」や「交際費」なども1万円ほど削減する必要があります。加えて食費も1万円程度削減する必要がありますので、ほぼ老後を楽しむための費用が無くなってしまう状況が想定されます。
110,000円(毎月の生活費)×25年(老後の期間)=33,000,000円
【パターン3】一人暮らしのゆとりある老後の生活費
次にゆとりある老後の生活を送るための生活費を算出したいと思いますが、こちらも一人暮らし世帯での公共機関からのデータが発表されておりませんので、同様に生命保険文化センターの「平成28年度生活保障に関する調査」の夫婦二人暮らしのゆとりある生活費を参照したいと思います。夫婦二人暮らしの場合は、ゆとりある生活費が35.4万円であることから一人暮らしの場合は、17.7万円の生活費が確保できると良いでしょう。それでは内訳を確認したいと思います。
項目 | ゆとりあるの生活費 |
食料 | 45,000円 |
住居 | 20,000円 |
光熱・水道 | 15,000円 |
家具・家事用品 | 5,000円 |
被服及び履物 | 5,000円 |
保健医療 | 5,000円 |
交通・通信 | 19,000円 |
教育 | 0円 |
教養娯楽 | 30,000円 |
その他の消費支出 | 33,000円 |
老後の生活費合計 | 177,000円 |
ゆとりある老後の生活として、何にお金を使いたいかというアンケート結果も記載がありましたが、旅行やレジャーが60.3%、趣味・教養50.1%とやはり老後の生活を充実させるためにお金を使いたいと回答する方が多かったようです。そこで、内訳も「教養娯楽」を増やすかたちとしております。
177,000円(毎月の生活費)×25年(老後の期間)=53,100,000円
【パターン4】一人暮らしでマンションに住む場合の老後の生活費
ここまで平均的な老後の生活費に加えて、最低限度の生活、ゆとりある生活と3パターンの生活費をご紹介しました。1点注目すべき点が住居費が総じて「2万」となっていることです。これは平均値から算出しておりますので持ち家で家賃が発生しない方からマンション住まいで家賃が発生する方まで平均している結果です。そのため、老後の住まいにマンションを選択する方はこれに家賃を加える必要があります。家賃は、全国賃貸管理ビジネス協会の平均より1部屋あたりの平均が5万円(現在の生活費毎月3万円を上乗せする)として再度シミュレーションをおこないたいと思います。
生活スタイル | マンションに住む場合の老後の生活費 | 老後の生活費 |
平均的な老後の生活費 | 188,000円 | 56,625,900円 |
最低限度な老後の生活費 | 140,000円 | 42,000,000円 |
ゆとりある老後の生活費 | 207,000円 | 62,100,000円 |
夫婦二人暮らしの老後の生活費
一人暮らしの老後の生活費をお伝えしましたので、次に夫婦二人暮らしの場合の「平均的な生活」、「最低限度の生活」、「ゆとりある生活」に加え「マンション住まいの生活費」の4パターンをお伝えします。
【パターン5】夫婦二人暮らし世帯の平均的な老後の生活費
夫婦二人暮らしの平均的な老後の生活費も家計調査にて平均額が記載されておりますのでこちらを参照すると毎月277,283円の生活費が発生していることが分かります。早速内訳を確認してみましょう。
項目 | 平均的な生活費 |
食料 | 75,244円 |
住居 | 16,330円 |
光熱・水道 | 21,901円 |
家具・家事用品 | 10,802円 |
被服及び履物 | 9,754円 |
保健医療 | 14,936円 |
交通・通信 | 36,399円 |
教育 | 1,469円 |
教養娯楽 | 27,508円 |
その他の消費支出 | 62,940円 |
老後の生活費合計 | 277,283円 |
住居費は一人暮らし世帯よりも持ち家比率が高いことから安くなっている傾向があります。「食費」や「その他の支出」はやはり2人分必要ですので一人暮らし世帯よりも2倍弱発生していることが分かります。
277,283円(毎月の生活費)×25年(老後の期間)=83,184,900円
【パターン6】夫婦二人暮らしの最低限度の老後の生活費
先ほど一人暮らしの方の最低限度の生活費を算出するために生命保険文化センターの「平成28年度生活保障に関する調査」を参照しましたがこちらの調査結果では夫婦二人の最低限度の老後の生活費は月22万円であると報告されていますので内訳を作成したいと思います。
項目 | 最低限度の生活費 |
食料 | 70,000円 |
住居 | 16,000円 |
光熱・水道 | 20,000円 |
家具・家事用品 | 10,000円 |
被服及び履物 | 9,000円 |
保健医療 | 15,000円 |
交通・通信 | 30,000円 |
教育 | 0円 |
教養娯楽 | 10,000円 |
その他の消費支出 | 40,000円 |
老後の生活費合計 | 220,000円 |
一人暮らし同様に「教養娯楽費」と「その他の支出」は大幅に削減対象になるでしょう。ウォーキングなどお金のかからない趣味を持ちながら日々生活することはできると想定できますが、旅行などはなかなか行けないでしょう。加えて介護などの急な支出が発生すると老後破産の危険性が高まります。
220,000円(毎月の生活費)×25年(老後の期間)=66,000,000円
【パターン7】夫婦二人暮らしのゆとりある老後の生活費
ゆとりある生活を夫婦で送るにはいくらの生活費が発生するのかこちらも生命保険文化センターの「平成28年度生活保障に関する調査」を参照すると毎月35.4万円が平均であることが分かります。早速内訳を作成したいと思います。
項目 | ゆとりある生活費 |
食料 | 90,000円 |
住居 | 17,000円 |
光熱・水道 | 22,000円 |
家具・家事用品 | 10,000円 |
被服及び履物 | 20,000円 |
保健医療 | 15,000円 |
交通・通信 | 40,000円 |
教育 | 0円 |
教養娯楽 | 50,000円 |
その他の消費支出 | 90,000円 |
老後の生活費合計 | 354,000円 |
夫婦二人くらしなので「教養娯楽」や「その他の消費支出」を高めに上げています。「食料」の項目もちょっとした贅沢ができるように+1.5万程度で見積もりをしています。旅行などの支出は老後の楽しみ方|2ヶ月に1回旅行に行くためのお金のやりくり術を参照頂き賢く節約をしてみましょう。
354,000円(毎月の生活費)×25年(老後の期間)=106,200,000円
【パターン8】夫婦二人暮らしでマンションに住む場合の老後の生活費
持ち家比率が90%を超えるためあまり該当する方は少ないかもしれませんが、老後の住み替えにより賃貸マンションを契約する場合など家賃の支払いに注意をしましょう。家賃相場は先ほどの全国賃貸管理ビジネス協会を参照したいと思います。夫婦世帯なので2部屋分の契約するとして平均賃料は5.7万円となりますので、現在のシミュレーションした老後の生活費に4万円を上乗せしたいと思います。
生活スタイル | マンションに住む場合の老後の生活 | 老後の生活費 |
平均的な老後の生活費 | 317,000 | 95,100,000円 |
最低限度な老後の生活費 | 260,000 | 78,000,000円 |
ゆとりある老後の生活費 | 394,000 | 118,200,000円 |
一人暮らし・夫婦二人暮らしの老後の生活費まとめ
8つのパターンに応じて老後の生活費をシミュレーションしましたが、以下に改めて老後の生活費をまとめたいと思います。
- 一人暮らしの老後の生活費(持ち家):3,300万円〜5,310万円
- 一人暮らしの老後の生活費(マンション):4,200万円〜6120万円
- 夫婦二人暮らしの老後の生活費(持ち家):6,600万円〜10,620万円
- 夫婦二人暮らしの老後の生活費(マンション):7,800万円〜11,820万円
まとめ
老後の生活費を8つのパターンで紹介をしましたが、夫婦二人でゆとりある生活を送ろうと考えると1億円以上の老後の生活費は発生してしまいます。そのため、計画的に老後資金を貯蓄する必要がありますが、老後資金の全て|老後破産を回避するために身に付けたいお金の知識をご参照いただき自身に合った老後資金の計画を立てるようにしましょう。
老後資金が不足する場合はリバースモーゲージがおすすめ
多くの方は持ち家を保有していることから、住宅を担保に金融機関から老後資金を借り入れできるリバースモーゲージはどの生活スタイルでもおすすめと言えます。リバースモーゲージとは|1から理解し使いこなすための全知識にて詳細を説明していますが、借入金の返済が契約者が無くなった後になるため毎月の返済が不要です。従って毎月の支出を支出を増やすことなく老後資金をまとめて手に入れることができるため老後の生活費が用意できない世帯に注目が集まっています。