自己破産をすると退職金も没収されてしまうのか?と不安に感じる方も多いと思います。
また、退職金と言っても、「すでに退職し支給された方」、「これから退職し支給予定の方」、「退職予定は無く退職金が支給されるのはまだ先の方」まで人によって状況は大きく異なるでしょう。
そこで今回は、自己破産と退職金の関係について解説を行いたいと思います。
目次
退職予定でなければ退職金の8分の1のみ評価する
まず、退職する予定は当面ない方が自己破産する場合についてお伝えしたいと思います。この場合、現段階で支給予定の退職金の8分の1を財産として評価することになります。
なぜ8分の1なのかは、退職金を将来支給される見込みではある一方で、必ず支給されるものではないことから8分の1のみを財産として評価すれば良い。と定められているからです。
そのため、現段階での退職金支給予定額が160万円の場合は、8分の1になりますので、20万円のみを財産として評価すれば良い。ということになります。
自由財産の拡張範囲内であれば退職金は没収されない
破産法34条4項に記載されている「自由財産の拡張」は、車や退職金債権などは20万円以下であれば自由財産として財産に含める必要がないのです。
そのため、上記の例のように退職予定が無い方が現段階で160万円以内の退職金支給予定である場合は、自由財産の拡張範囲内になりますので、退職金が没収されない。という訳です。
退職金支給予定額が160万円を超える場合も、8分の1だけを評価すれば良いので、退職金の多くは守ることができると言えます。
自己破産でも退職金の4分の3は法律で守られている
そもそも退職金の4分の3は「民事執行法152条」にて差し押さえが禁止されているのです。そのため、自己破産をしても差し押さえができるのは4分の1のみとなります。
従って、これから退職予定で退職金の支給額が確定している人でも、自己破産によって差し押さえされるのは4分の1のみとなります。
例えば、退職金支給額が400万円の場合は、差し押さえの対象として4分の1の100万円が債権者への返済に充てられてしまいますが、300万円は守ることが可能になります。
退職金が支給された後に自己破産をする場合は99万円まで
一方で、すでに退職しており退職金が支給された方は状況が異なります。
一度支給された退職金は、それが貯金によって出来た資産なのか退職金の資産なのかなどの判断を行うことは無く、現金の場合は99万円まで、口座預金の場合は20万円までしか手元に残すことは出来ません。
そのため、退職金が1000万円支給され現金で保有していたとしても、901万円は借金の返済に充当されてしまいますので注意しましょう。
退職金の支給予定額は退職金見込額証明書の発行が必要
さて、自分自身がいくらの退職金が支給されるかご存知でしょうか?退職金の支給額は、会社によって算出方法が異なりますので、実態は総務や人事に確認し「退職金見込額証明書」を発行してもらう必要があります。
退職金見込額証明書は裁判所にも提出することになります。
ただ、退職金がいくらもえるか知りたい。と人事や総務に伝えれば「こいつは退職を考えている人だ」と勘ぐられてしまうことからなかなか言い出せないことでしょう。
その際は、以下のように話すとスムーズに発行をしてもらえます。
- 住宅ローンを組む際に提出を求められた
- 長期ローンを組む際に与信審査で提出が求められた
- 保証人になる際に銀行から提出を求められた
上記のように会社に伝えれば、何も疑われることなく「退職金見込額証明書」を発行してもらえることでしょう。
まとめ
自己破産と退職金の関係について解説を行いました。改めて退職金をどこまで評価するのか整理したいと思います。
状況 | 評価に加える金額 |
退職予定がない人 | 8分の1 |
退職予定の人 | 4分の1 |
退職済みの人 | 99万まで |
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