自己破産をすると給料や賞与も差し押さえされる?裁判所の判断を解説







自己破産をすると現金は99万円まで、預金口座は20万円までしか手元に残すことはできなくなります。そのため、多くの財産は没収されてしまう訳ですが、一方で最低限の生活を営むお金は手元に残せるという事実もあります。

では、日々の生活を支えている給料や賞与などは上記の金額を超えた場合に差し押さえされてしまうのか?また、未払い分の給料まで差し押さえ対象になるのか?など疑問が多いことだと思います。

そこで今回は、自己破産と給料の関係について解説を行いたいと思います。

自己破産と退職金の関係については「自己破産をすると退職金も没収?退職予定でなければ8分の1のみ評価」にて解説をしておりますのでご参照ください。

自己破産の手続き開始時点で支給済みの給料や賞与

まず、自己破産の手続きを開始した時点で、すでに給料や賞与として支給されている現金についての扱いは、冒頭でお伝えした通り、現金は99万円以下、口座預金は20万円までしか保有することはできません。

従って、手持ちの現金がまったくない状態で仮に100万円の賞与が支給され現金で保有する場合は、1万円は差し押さえの対象になると理解してください。

また、預金口座の場合は20万円以下しか預けることができませんので、100万円の賞与が支給されている場合は80万円は差し押さえの対象となります。

自己破産の手続き開始前に支給予定の給料や賞与

次に、自己破産の手続き開始時点で支給されることは確定しているが、実際には給料日前などで支給がされていない給料や賞与の扱いはどうなるのか?についても解説をしたいと思います。

理解を深めるために具体的な日付を用いて解説をしたいと思います。

自己破産手続きの開始が3月20日、給料支給日は3月25日に30万円が入金される予定とします。この場合は、自己破産手続きの開始前に給料として30万円の入金が確定している状態と言えます。

このような場合は、給料などの債権は4分の3以上を差し押さえてはならないと法律で定められていることから、残る4分の1についてのみ差し押さえされることになります。今回の場合では、30万円の4分の1になりますので、7.5万円が差し押さえの対象になります。

33万円以上の給料の場合の差し押さえ額の計算

33万円以上の給料が支給される場合は、「支給された給料から33万円を引いた金額」もしくは、「支給された給料の4分の1」どちらか大きい方が差し押さえされる金額になりますので注意してください。

自己破産の手続き開始中の未払い給料や賞与の取り扱い

上記の通り、未払い分の給料や賞与に関しては4分の1しか差し押さえされない。ということをご理解頂けたと思いますが、これは半永久的に差し押さえされ続けるのか?それとも一時的なものなのか?についても解説をしたいと思います。

給料や賞与の差し押さえ可能分である4分の1については、自己破産手続きの開始時のみとなりますので、自己破産の手続きが進行している途中に支給された給料や賞与は差し押さえすることができないのです。

従って、先ほどの事例で30万円の給料に対して、7.5万円が差し押さえされた以降については、30万円全額があなたに入金されることになります。

この背景には、法律で定められている。という事実もありますが、そもそも生活の糧となる給料を差し押さえしてしまうと誰も再建できなくなることから、しっかりと給料や賞与を守っている。と考えることができます。

自由財産の拡張によって差し押さえされないケースが多い

とは言え、給料の4分の1でも差し押さえされてしまうと当月の生活すら出来ない。という人が大半ではないでしょうか。実は、ここまでの解説はあくまで前提になり、実態は少々異なっています。

自己破産には、「自由財産の拡張」という制度があります。

自由財産の拡張とは、簡単にお伝えすると自己破産をしても差し押さえが出来ない財産を自由財産と呼び、その範囲を拡張する制度になります。

この自由財産と呼ばれるものは、生活必需品や差し押さえすると仕事に影響が出てしまうものなどを対象に裁判所が必要に応じて差し押さえをしない。という判断を下すことになります。

そして、破産者の給料や賞与の4分の1を差し押さえすると、日常生活を営むことすら出来なくなる。という背景から実態としては自由財産の拡張で差し押さえされないケースが多いのです。

まとめ

自己破産による給料や賞与の差し押さえは原則4分の1であると言えますが、実態は破産者の生活を維持するために自由財産の拡張として差し押さえされないケースが大半と言えます。

これは破産者にとってもメリットがある制度と言えるでしょう。

そのほか、自己破産には細かな決まりが定められており、風の噂によって誤った情報が蔓延している実態があります。正しい情報を調べる。ということが大切になりますが、一番の方法は実績の豊富な弁護士や司法書士に相談することになります。

自己破産は司法書士と弁護士にどちらに依頼すべき?業務の違いを解説」では自己破産の実績が豊富な弁護士や司法書士の費用を比較しておりますので、自分自身に合う専門家を見つけるようにしましょう。

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