年金の加入期間が25年から10年に短縮されても喜べない2つのワケ







これまで、年金を受給するためには25年以上保険料を納付する必要がありました。しかしながら、2017年8月1日より年金加入期間が25年から10年に短縮されたのです。

これにより年金を受給できる人が増えたのは言うまでもありません。

1961年に日本の年金制度が誕生してから、今回の改正はまさに画期的であったと言えますが、実際に私たちの生活にどのような影響があるのか?知っておく必要があります。

実際、年金の加入期間が10年に短縮されたことは良いニュースではあるものの、手放しでは喜べない2つの理由も存在しておりますので詳しく解説を行いたいと思います。

年金受給に必要な加入期間が25年から10年に短縮

2017年7月31日までは、年金を受給するために保険料を納付しなければならない期間が25年と定められておりました。当然、25年に満たない場合は、老後を迎えても年金を受給することは出来ませんでした。

一部、厚生年金に関しては、生年月日に応じて期間短縮の特例や国民年金は免除制度があるなど救済措置もありましたが、それでも25年間も年金に加入するのは簡単なことではないとも言えます。

実際、諸外国と比較しても年金加入期間が25年。というのは非常に長く改正の必要性があったのです。ただし、すぐに改正出来なかった理由には「財源の確保」になります。

この解決策が消費税10%への引き上げになります。2012年8月に可決されましたが、その後、2度見送りになりましたので年金の期間短縮も合わせて見送りとなっていました。

今回、年金の期間短縮を踏み切ることが出来た理由は、2016年末に財源の目処がたったとして先行的に実施されたことが背景があります。

年金加入期間が10年に短縮されても喜べないワケ

年金の加入期間が10年に短縮されたことで「追加の条件などが加えられたのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、結論、追加条件などもなく、年金保険料を10年以上収めれば誰でも年金が受給できるようになりました。

従って、今までよりも多くの人が年金を受給出来るようになったので良いニュース。として捉えることができます。しかしながら、年金加入期間10年への短縮は手放しでは喜べない2つの理由が存在しています。

年金受給額が増額される訳ではない

今回改正された内容はあくまでも「年金が受給できるか否か」という点だけになります。そのため、25年以上年金に加入した人と10年しか年金に加入していない人では受給できる金額は大きく異なるのです。

以前、「国民年金の加入期間は10年でいくら受給できる?支給額を計算してみた」にて国民年金の受給額を加入期間別に計算を行いましたが、10年のみ加入している人が受け取れる国民年金は年間20万円程度になります。

国民年金の加入期間別受給額

  • 10年加入した場合:77万9300円×120ヵ月÷480ヵ月=19万4825円/年額
  • 20年加入した場合:77万9300円×240ヵ月÷480ヵ月=38万9650円/年額
  • 30年加入した場合:77万9300円×360ヵ月÷480ヵ月=58万4475円/年額

厚生年金は所得によって変動しますので一概に金額を算出することは難しいことから、ねんきん定期便に記載されている見込み受給額を確認するようにしましょう。詳しい見方は「年金定期便の見方を解説|いくらもえるか全てが分かる便利なはがき」を参照ください。

要は、年金に加入した期間が長い方が受給額が増加することは何も変わっていないため、10年間年金に加入すれば老後も安泰な生活が送れるとは考えない方が良いでしょう。

もし、60歳を迎えて、年金の加入期間が足りない場合や受給額を増やしたい場合は、年金の任意加入制度もありますので、詳しくは「国民年金の任意加入はいつから?手続き方法・加入条件・金額を解説」をご参照ください。

遺族年金の受給資格は25年から変わらない

年金被保険者(加入者)が亡くなった場合、残された家族に対して支給される年金が遺族年金になります。

遺族年金は遺族基礎年金と遺族厚生年金に分かれますが、受給条件を満たせば手厚い保障が受けられる点で非常にメリットがある制度です。しかしながら、受給資格を満たしていなければ当然ながら受給は出来ません。

そして、この受給資格の1つに「年金加入期間25年以上」と定められているのです。要は、年金保険料を10年納めることで受給資格を獲得出来たとしても遺族年金の受給資格は満たしていないのです。

残された家族のためにもやはり年金は継続的に加入するべきと言えるでしょう。ちなみに、国民年金の遺族保障である「寡婦年金」については10年で受給できることとなっております。

詳しくは以下の関連記事をご参照ください。

まとめ

年金の加入期間が25年から10年に短縮されても喜べない2つのワケを解説させていただきました。

今回ご紹介したように、年金の加入期間が10年に短縮されたことで年金を受給出来る人が増加しました。しかしながら、受給額が増額される訳ではありませんので年金だけで生活が出来るとは言えないでしょう。

加えて、遺族年金も受給資格を得られないことから、結論、継続的に年金を納め続けなければ本来の年金受給のメリットを享受することは出来ないと言えるのです。









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