老後資金の必要額は、何歳で定年退職するかで大きく異なります。ひと昔前は60歳で定年をしていましたが、年金支給年齢が65歳に引き上げられたことや高齢者雇用安定法の改正によって65歳での定年退職が一般的となってきました。ただ、人生100年と言われる現在においてそれ以上も仕事を続ける高齢者が増えていますので、今回は、定年退職する年齢別に老後資金の必要額をシミュレーションしたいと思います。
- 65歳以降の収入:手取り月収20万円+年金22万円(年金支給の所得制限が適用されない設定)
- 65歳以降の支出:30万円(老後の生活資金)
- 住宅ローン:完済済み
- 子供:すでに独立しそれぞれの生活を営む
- 自宅:持ち家(売却時の資産価値は500万円)
- 家族:世帯主と妻
- 余命:90歳まで生きると過程
- 介護:85歳で老人ホームへ入居(入居金300万円・月額費用40万円)
※仕事が続けられる期間は75歳までと仮定
目次
60歳で仕事を辞めた場合の老後資金の必要額
昔は当たり前でしたが、現在では少し早い60歳で仕事を辞めた場合の老後資金の必要額をシミュレーションしてみましょう。収入は給与所得も年金も支給されないことから老後資金の必要額も増加すると予想されます。
- 収入(60歳から90歳まで):22万円(年金)×300ヶ月=6,600万円
- 住宅売却益:500万円
- 収入合計:7,100万円
60歳で仕事を辞めた場合の90歳までの支出
- 年金支出(60歳から85歳まで):30万円(生活費)×300ヶ月=9,000万円
- 支出(86歳から90歳まで):40万円(生活費)×60ヶ月=2,400万円
- 老人ホーム入居一時金:300万円
- 支出合計:11,700万円
65歳で仕事を辞めた場合の老後資金の必要額
11,700万円(支出)-7100万円(収入)=4,600万円が老後資金の必要額
60歳で仕事を辞めた場合の老後資金の必要額は4,600万円
60歳で仕事を辞めてしまうと老後資金の必要額は4,600万円となります。非常に高額であり、4,600万円もの老後資金を用意できる人はなかなかいないでしょう。それでも大手大企業の方であれば貯金+退職金で老後資金を用意できる方もいますので、60歳時点で5000万円程度の老後資金を用意できるなら早期のリタイアも良き選択と言えます。
65歳で仕事を辞めた場合の老後資金の必要額
65歳で定年退職を迎えそのまま仕事を辞める方は非常に多いでしょう。この場合、老後資金の必要額はどのくらいになるのかシミュレーションを行いたいと思います。
- 収入(65歳から90歳まで):22万円(年金)×300ヶ月=6,600万円
- 住宅売却益:500万円
- 収入合計:7,100万円
65歳で仕事を辞めた場合の90歳までの支出
- 年金支出(65歳から85歳まで):30万円(生活費)×240ヶ月=7,200万円
- 支出(86歳から90歳まで):40万円(生活費)×60ヶ月=2,400万円
- 老人ホーム入居一時金:300万円
- 支出合計:9,900万円
65歳で仕事を辞めた場合の老後資金の必要額
9900万円(支出)-7100万円(収入)=2,800万円が老後資金の必要額
65歳で仕事を辞めた場合の老後資金の必要額は2,800万円
上記のシミュレーションでは、65歳から90歳までの老後の生活費は9,900万円であり、収入を差し引くと2,800万円の老後資金が必要になることが分かります。この2,800万円を貯金で用意するのか、資産運用で増やすのか、リバースモーゲージを行うのか複数の選択はありますが、用意できなければ老後破産の危険性が出てくるでしょう。
68歳で仕事を辞めた場合の老後資金の必要額
65歳では老後資金が2,800万円も用意する必要があるためまだまだ厳しいという方も多いでしょう。そのため、もう3年長く働くことを考え68歳まで仕事を続けた場合の老後資金の必要額をシミュレーションしてみましょう。65歳以降の収入は年金も含めると42万円あります。老後の生活費が30万円なので12万円の貯蓄が可能になります。また、支出は同額になりますので以降計算式は割愛します。
- 年金収入(65歳から90歳まで):22万円(年金)×300ヶ月=6,600万円
- 給与収入(65歳から68歳まで):20万円(仕事)×36ヶ月=720万円
- 住宅売却益:500万円
- 収入合計:7,820万円
70歳で仕事を辞めた場合の老後資金の必要額
9900万円(支出)-7,820万円(収入)=2,080万円が老後資金の必要額
68歳で仕事を辞めた場合の老後資金の必要額は2,080万円
68歳まで仕事を続けることで老後資金の必要額は2,080万円まで減らすことが可能です。65歳で仕事を辞めた時に比べると、720万円も老後資金の必要額を少なくすることができるので非常にメリットがある選択と言えるでしょう。ただ、それでも2,000万円以上の老後資金を貯めるとなるとハードルは高いでしょう。もう少し働くとどのように老後資金の必要額が変わるのか確認して見ましょう。
70歳で仕事を辞めた場合の老後資金の必要額
68歳で仕事が辞めることが難しい場合、もう2年長く働くとどのようにシミュレーションが変わるのか計算をしてみましょう。70歳であればまだまだ元気な方も多い時代になりましたので十分に働けるはずでしょう。
- 年金収入(65歳から90歳まで):22万円(年金)×300ヶ月=6,600万円
- 給与収入(65歳から70歳まで):20万円(仕事)×60ヶ月=1,200万円
- 住宅売却益:500万円
- 収入合計:8,300万円
70歳で仕事を辞めた場合の老後資金の必要額
9900万円(支出)-8300万円(収入)=1,600万円が老後資金の必要額
70歳で仕事を辞めた場合の老後資金の必要額は1,600万円
70歳まで仕事を続けることで老後資金の必要額は1,600万円まで圧縮することができそうです。65歳の定年退職を迎えた時に大企業であれば退職金で老後資金をまとめて担保できそうな金額です。また、現役時代からもコツコツ貯金を行えれば老後資金が枯渇する心配も薄れる金額ではないでしょう。50歳から70歳まで老後資金を貯めた場合、毎月6.6万円の貯金で1600万円は用意可能です。子供の手が離れた場合は十分に準備ができる金額でしょう。
75歳で仕事を辞めた場合の老後資金の必要額
75歳でも現在の高齢者を見てみるとまだまだ元気という方も多いでしょう。無理のない範囲で仕事をすることは認知症の予防や生活にメリハリをもたらすことができるので非常におすすめです。それでは75歳まで仕事をした場合に老後資金の必要額がいくらになるのかシミュレーションをしてみます。
- 年金収入(65歳から90歳まで):22万円(年金)×300ヶ月=6,600万円
- 給与収入(65歳から75歳まで):20万円(仕事)×120ヶ月=2,400万円
- 住宅売却益:500万円
- 収入合計:9,500万円
70歳で仕事を辞めた場合の老後資金の必要額
9900万円(支出)-9500万円(収入)=400万円が老後資金の必要額
75歳で仕事を辞めた場合の老後資金の必要額は400万円
75歳まで仕事を続けた場合、老後資金の必要額は400万円になります。この老後資金であれば多くの方が十分に準備可能ではないでしょうか。50歳から75歳までの間に400万円を貯めようとした場合、毎月2.2万円の貯金で老後資金を確保することが可能です。
まとめ
老後資金の必要額を仕事を辞める年齢から算出しました。やはり少しでも長く働くことで老後の生活が安定することから、老後の必要資金から逆算し不足する金額を明確にすることがおすすめです。目標が決まればそこまで頑張って仕事をするモチベーションになりますので計画的に老後資金を準備しましょう。