老後資金は独身世帯でいくら必要?収入と生活費からシミュレーション







老後資金は独身世帯でいくら必要なのか?このシミュレーションをするためには独身世帯の一般的な老後の収入と生活費を把握する必要があります。その上で希望する生活水準に合わせて老後資金の必要額をシミュレーションしたいと思います。独身世帯は、夫婦二人世帯に比べていくらの老後資金が必要になるのか早速確認をしてみましょう。

独身世帯の老後の年金収入

老後の主な収入源である年金はいくら受け取ることができるのでしょうか。会社員としてお勤めだった場合、年金の仕組みは三階建によって構成されます。まずはこの三階建のどの部分まで年金が支給されるのか把握しましょう。

年金の仕組みを理解する

年金には上記の図にあるように国民年金と厚生年金の二階建てに加え、三階の企業年金が加わります。それぞれどのような方が受け取ることができるのかご説明します。

年金の階段は誰が受け取ることができる?

年金の種類支給対象者
国民年金(老齢基礎年金)保険料納付期間が25年以上納めた方(平成29年8月1日からは、納付期間が10年以上)
厚生年金老齢基礎年金の受給資格を満たしており、被保険者期間が1ヶ月以上ある方
企業年金お勤めの企業が企業年金に加入している方

一般的には、国民年金は保険料を規定の期間納めていれば誰でも受給することが可能です。厚生年金は会社員の方に支給される年金制度ですが、支給額は納付期間や納付時の所得によって異なる仕組みになっています。また、企業年金については支給される企業と対象外の企業と分かれるかたちになっています。

厚生年金の受取金額の計算式

平均標準報酬月額×「7.125/1000~9.5/1000(生年月日に応じる)」×平成15年3月までの被保険者月数 + 平均標準報酬月額×「5.481/1000~7.308/1000(生年月日に応じる)」×平成15年4月以降の被保険者月数

参照:老後の貯蓄1000万円で生活する方法をシミュレーション

独身世帯の年金支給額の平均

それでは、独身世帯の方はいくらの年金が支給されるのでしょうか。納付期間や所得によって変動がありますのでここでは厚生労働省の厚生年金保険・国民年金事業の概況をもとに年金支給額の平均額をお伝えします。

独身世帯の平均年金支給額

年金の種類年金支給額
(1):独身世帯の国民年金平均支給額約54,000円
(2):独身世帯の厚生年金の平均支給額約148,000円

国民年金は全期間しっかりと納付すれば男女によって支給額が変わることはありませんが、厚生年金は所得によって変動がありますので、男女によっても年金支給額に差が出てきます。それでは平均支給額をお伝えします。

独身男性の平均年金支給額

独身男性の厚生年金平均支給額約126,000円

独身女性の平均年金支給額

独身女性の厚生年金平均支給額約54,000円

こちらの平均額に国民年金を足した金額が一般的な年金支給額になりますのでそれぞれ確認してみましょう。

男女それぞれの年金支給額の平均平均年金支給額
独身男性の平均年金支給額180,000円
独身女性の平均年金支給額108,000円 

独身世帯の老後の収入をシミュレーション

それでは独身世帯の老後の収入をシミュレーションしてみましょう。今回は65歳から90歳まで生きた場合の独身世帯の収入をシミュレーションしたいと思います。

独身世帯の収入をシミュレーション

男女別独身世帯の収入毎月の収入(年金)年金支給期間独身世帯の老後の収入額
独身男性の老後の収入180,000円300ヶ月(25年間)54,000,000円
独身女性の老後の収入108,000円300ヶ月(25年間)32,400,000円

独身世帯の老後の支出はいくらかかるのか

収入が分かりましたので次に老後の支出をシミューレションしてみましょう。独身世帯の老後の支出をシミューレションするには日々の生活費に加え、介護費用を盛り込む必要があります。夫婦二人暮し世帯では一方が介護が必要になったとしても在宅介護などを活用することができますが、独身世帯では世話をしてくれる人いない可能性がありますので介護費を老後の支出に盛り込むことを忘れないようにしましょう。

独身世帯の老後の生活費をシミューレション

それでは、独身世帯の老後の生活費は何にどのくらいの支出が発生しているのか各項目を老後の生活費を家計調査を参考に確認してみましょう。

独身世帯の老後の生活費

項目独身世帯の生活費(詳細)
食費35,500円
住居13,400円
高熱・水道12,500円
家具・家事用品5,500円
被服及び履物4,000円
保健医療7,500円
交通・通信12,800円
教養娯楽17,500円
その他の消費支出33,000円
非消費支出12,800円
支出合計154,500円

独身世帯の老後の生活費は毎月154,500円発生することが分かりました。上記の支出表を見ていただき老後の生活費を大きく上げる原因としては住居費用ではないでしょうか。住居費が13,400円と非常に格安ですが、賃貸住宅にお住いの方は13,000円で家賃が足りるというのは到底信じがたい金額です。実際には5万円程度の支出は発生するでしょうから老後の生活費は19万円から20万円程度は発生すると想定できます。もちろん、持ち家で住宅ローンを完済していれば上記金額も頷けます。

独身世帯の老後の生活費を90歳までシミューレション

毎月の生活費から90歳までの老後の生活費をシミューレションしてみましょう。老後の生活を開始する年齢によって必要な老後の生活費が異なりますので今回は60歳、65歳、70歳でそれぞれシミューレションを行います。

独身世帯の老後の生活費を90歳までシミューレション(家計調査より)

老後の生活を始める年齢老後の生活期間毎月の生活費(家計調査)老後の生活費
60歳360ヶ月154,500円55,620,000
65歳300ヶ月154,500円46,350,000
70歳240ヶ月154,500円37,080,000

独身世帯の老後の生活費を90歳までシミューレション(賃貸住宅の場合)

老後の生活を始める年齢老後の生活期間毎月の生活費(賃貸住宅)老後の生活費
60歳360ヶ月190,000円68,400,000
65歳300ヶ月190,000円57,000,000
70歳240ヶ月190,000円45,600,000
  • 60歳から老後の生活を始めた場合の生活費:5560万円〜6840万円の生活費
  • 65歳から老後の生活を始めた場合の生活費:4630万円〜5700万円の生活費
  • 70歳から老後の生活を始めた場合の生活費:3700万円〜4560万円の生活費

独身世帯の介護費用はいくらかかる

続いて老後の大きな支出である介護費用です。介護が発生しないことがベストですが、万が一に備え介護費用をしっかりと用意しておくことが必要でしょう。老人ホームやサービス付き高齢者住宅において介護保険適用外になる入居金及び月額費を老後の介護費用として用意をします。この費用は施設によって大きく異なることから相場をお伝えします。

介護施設の入居金及び月額費の相場

介護施設の種類対象者入居金の目安月額費用の目安
介護付有料老人ホーム要介護認定者0円から1億円まで幅広い10万円から50万円程度
住宅型有料老人ホーム要介護認定なし・要支援者対象0円から1億円まで幅広い
健康型有料老人ホーム要介護認定なし・要支援者対象0円から数千万円

参照:介護費用の目安はいくら?介護施設と在宅介護の相場を比較

一般的な費用としては入居一時金は300万円、月額費用は35万円程度を介護費用の支出として想定をしておきましょう。また、施設への入居時期がいつになるか読めませんがおおよそ5年程度入居する前提で介護施設の支出を想定したいと思います。

介護施設に5年間入居した場合の費用

費用項目 費用数量介護施設入居費用
入居一時金3,000,000円1式3,000,000円
月額費用350,000円60ヶ月21,000,000円

独身世帯の介護に発生する費用は大筋2,400万円程度となります。先ほどの90歳で寿命を迎えると仮定すると85歳から介護施設へ入居することになりますので、5年分の老後の生活費は介護施設の35万円に吸収される形になります。

90歳を寿命に85歳から介護施設へ入居した場合の老後の支出

老後の生活費のまとめになりますが、日常生活の支出に介護支出を加えた形で改めて老後の生活費を算出したいと思います。こちらも60歳、65歳、70歳それぞれの年齢で老後の生活を始めた場合の生活費を算出したいと思います。

老後の支出まとめ

年齢老後の生活費(家計調査)+介護費用老後の生活費(賃貸住宅)+介護費用
6070,350,00081,000,000
6561,080,00069,600,000
7051,810,00058,200,000
  • 60歳から老後の生活を始めた場合の生活費(介護費込み):7000万円〜8100万円の生活費
  • 65歳から老後の生活を始めた場合の生活費(介護費込み):6100万円〜7000万円の生活費
  • 70歳から老後の生活を始めた場合の生活費(介護費込み):5200万円〜5800万円の生活費

独身世帯の老後資金の必要額をシミューレション

独身世帯の老後の収入と支出のシミュレーションを行いました。最後に、この支出から収入を引いた不足分が老後資金の必要額として貯蓄や資産運用もしくは少しでも長く働くことによって担保しなければいけない金額になります。早速、独身世帯の老後資金がいくら必要なのか年齢×男女別にシミューレションをしてみましょう。

※65歳以降も就労する場合の所得は毎月10万円の所得があると仮定します。

独身男性の老後資金の必要額をシミュレーション

独身男性の老後資金の必要額は、60歳で仕事を辞めた場合最大で2700万円程度の老後資金が必要になります。それでも65歳まで仕事をしたとしても708万円から1500万円程度の老後資金が必要になることから早い段階からの準備は必要といえます。70歳まで仕事を続けることでようやく老後資金はプラスに転じますが、90歳以上も長生きする可能性や年金支給額の削減など先が読めないリスクもありますので注意が必要です。

60歳まで仕事をした場合の独身男性の老後資金の必要額(老後の収入は5400万円)

老後の支出
(家計調査)
老後の支出
(賃貸住宅)
老後資金の必要額
(家計調査)
老後資金の必要額
(賃貸住宅)
70,350,00081,000,000-16,350,000-27,000,000

65歳まで仕事をした場合の独身男性の老後資金の必要額(老後の収入は5400万円)

老後の支出
(家計調査)
老後の支出
(賃貸住宅)
老後資金の必要額
(家計調査)
老後資金の必要額
(賃貸住宅)
61,080,00069,600,000-7,080,000-15,600,000

70歳まで仕事をした場合の独身男性の老後資金の必要額(老後の収入は6000万円)

老後の支出
(家計調査)
老後の支出
(賃貸住宅)
老後資金の必要額
(家計調査)
老後資金の必要額
(賃貸住宅)
51,810,00058,200,0008,190,0001,800,000

独身女性の老後資金の必要額をシミュレーション

独身女性の老後資金の必要額は、60歳で仕事を辞めてしまうと最大で4860万円程度の老後資金が必要になります。これを担保するのは非常に難しいことからできる限り長く働くことは必須でしょう。持ち家で70歳まで働き続けたとしても1300万円程度の老後資金が必要になりますので早めの準備が必要と言えるでしょう。

60歳まで仕事をした場合の独身女性の老後資金の必要額(老後の収入は3240万円)

老後の支出
(家計調査)
老後の支出
(賃貸住宅)
老後資金の必要額
(家計調査)
老後資金の必要額
(賃貸住宅)
70,350,00081,000,000-37,950,000-48,600,000

65歳まで仕事をした場合の独身女性の老後資金の必要額(老後の収入は3240万円)

老後の支出
(家計調査)
老後の支出
(賃貸住宅)
老後資金の必要額
(家計調査)
老後資金の必要額
(賃貸住宅)
61,080,00069,600,000-28,680,000-37,200,000

70歳まで仕事をした場合の独身女性の老後資金の必要額(老後の収入は3840万円)

老後の支出
(家計調査)
老後の支出
(賃貸住宅)
老後資金の必要額
(家計調査)
老後資金の必要額
(賃貸住宅)
51,810,00058,200,000-13,410,000-19,800,000

老後資金の必要額はプラス900万円が理想

ここまで独身男女の老後資金の必要額をお伝えしましたが、あくまで「現在」における想定の必要額であることに留意いただければと思います。なぜ「現在」という言葉を使うのか。という意味では今後、消費税の増税、年金支給額の削減、年金支給年齢の引き上げなどが発生する可能性があるということです。そこで上記の老後資金の必要額に毎月の支出15万円×5年分の900万円程度の余裕があることが理想です。

独身世帯も住宅は購入した方が良い

独身世帯の老後資金の必要額を準備するためには家計調査のように住居費を削減することは非常に重要と言えるでしょう。加えて900万円程度の余剰資金を用意するとなると貯金だけでは不足が生じるかもしれません。もちろん資産運用なども方法がありますが住宅購入もその鍵を握ると言えます。

住宅があればリバースモーゲージも活用可能

住宅は日々の生活費を削減するだけでなく、想定外に支出で老後資金が枯渇する場合などにリバースモーゲージを活用することができます。リバースモーゲージは住宅を担保に金融機関から借り入れを行いますが、元金の返済方法が契約者の死亡後に担保にした住宅を売却し返済完了とする制度です。そのため、相続などが必要ない独身世帯にとっては有益な制度でしょう。

リバースモーゲージのQ&A

リバースモーゲージは金融機関によって提供している商品内容が大きく異なりますのでまずは、基礎知識を身につけてから各金融機関の商品詳細を確認することをおすすめします。

リバースモーゲージとは?よく分かる15項目のQ&Aを解説

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使い切りの住宅をリバースモーゲージで購入する

また、現在の住まいだけでなく、これから購入をする住宅を担保に設定できるリバースモーゲージもあります。現在の住宅が老朽化しリバースモーゲージの担保対象にならない場合などは使い切りの住宅として新築物件をリバースモーゲージの担保に設定しても良いでしょう。

使い切りの住宅をリバースモーゲージで手に入れる

こちらの記事に使い切りの住宅をリバースモーゲージで手に入れる方法を記載してありますので、使い切りの住宅を検討される方は参照してください。

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独身世帯の老後資金の必要額まとめ

独身世帯の老後資金の必要額をシミュレーションしました。男性と女性で年金支給額が異なる(納付額による)ことから金額が変わっていますが、女性の社会進出が進み所得格差も埋まると想定されますのでここの差は縮まってくるでしょう。一方で年金をしっかりと納めていない方は、上記のシミュレーションから収入が大幅に減ることが想定されますので注意が必要です。









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老後資金の教科書

老後資金の教科書は老後の生活をより豊かにするために、金融や老後に関する法改正などを中心に解説記事を掲載しています。 リバースモーゲージ、介護保険問題、年金カット法案、高額医療費の自己負担の増加など難しい制度を分かりやすくご紹介します。