独身の老後資金はいくら?40歳男性の計画を一変させる介護費用







生涯独身も珍しくない時代になりました。2015年の国勢調査では、男性の未婚率は23.37%、女性は14.06%という結果になり、男性はおよそ4人1人、女性は6人1人程度が未婚であることがわかります。独身であれば夫婦世帯よりも教育費などの支出が少なくて済みますが、身寄りがいない分、不安もあると思います。

今回は40歳の独身男性が老後資金としてコツコツ貯蓄をしている、実際にいくらの老後資金が必要になるのか介護費用を含めて解説したいと思います。

90歳まで生きた場合の老後資金の必要額

毎月5万円ずつコツコツと貯金をする独身のAさんはいくらの老後資金を用意するべきか90歳を寿命にシミューレションしたいと思います。

Aさんの状況
年齢:40歳
収入:400万円(手取り年収/33.3万が手取り月収)
貯蓄:600万円(30歳から毎月5万円を貯蓄)
退職金:65歳まで勤めた場合に想定500万円程度
支出:33.3万円(貯蓄5万円を含む)
家賃:10万円

現在の貯蓄ペースで老後資金はいくら作れるのか

現在、毎月5万円づつ貯蓄をしているAさんですが、年収が変わらず65歳まで働いたと仮定した場合、年間で60万円×25年間=1500万円の貯蓄が作れることになります。現在、600万円の貯蓄がありますので合わせて2100万円の貯蓄が作れそうです。

加えて退職金は500万円入る予定ですので2600万円の老後資金を確保できる計算です。一般的に老後資金は夫婦二人世帯で3000万から5000万円必要と言われる時代ですので、独身のAさんであれば2600万円の貯蓄で十分に生活ができるようにみえます。

老後の支出をシミュレーション

それでは、老後資金2600万円で老後の生活を安定して送ることができるのか計算してみましょう。まず、65歳以上の生活費ですが家計調査を参考にすると毎月15.5万円の支出が発生しています。ただ、この家計調査は住宅費が毎月1.3万円程度しか発生しておらず家賃10万円のAさんは、24.2万円/月が老後の支出として必要になります。そのため年間の支出額およそ290万円程度が見込まれ、65歳から90歳までの25年で計算すると老後の生活費は7250万円必要になる計算です。

独身の老後の収入はいくら?

Aさんの老後の支出は90歳までで7250万円必要であることが分かりました。それでは、独身の年金収入はいくらになるのかシミュレーションをしてみましょう。ここでの年金収入は厚生労働省の厚生年金保険・国民年金事業の概況をもとに毎月18万円の年金収入があると仮定します。そのため年間の年金収入は216万円となり、25年間の年金収入は5400万円となります。

先ほど現役時代に貯めた老後資金2600万円と合わせることで8000万円の老後の資金を確保できる計算になりますので、老後の支出7250万円から引くと750万円分が老後資金として余裕が作れることが分かります。

まだ安心するのは早い介護費用の罠

「なんだ、そこまで心配する必要はないではないか」と思った人も多いのではないでしょうか。ただ、上記の計算に含まれていないものがあります。それが「介護費」です。医療費は高額医療費制度などを活用することで1割負担程度で済みますが、「介護費」は医療費とは比べられないほどの支出が発生します。

介護保険があるのでは?」と思われた方も多いと思いますが、介護費がなぜ負担として重くなるかと言うと、老人ホームへの入居費用や月額賃料が介護保険の対象外になるのです。老人ホームの入居金は0円から数億円単位で幅が広いのですが、入居一時金は300万円程度と見積もりましょう。加えて、月額の賃料は10万円から50万円程度ですが、食事代なども含めて35万円程度と想定しシミュレーションします。

介護費用は老後資金の計画を狂わせる

仮に80歳から90歳までを介護施設で過ごした場合、どのくらいの費用が発生するのでしょうか。老人ホームへの入居前は年間290万円程度の支出でしたが、老人ホームに入居することで、年間の支出は420万円程度まで上がることが想定されます。

年齢収入支出1年間の赤字額貯蓄
652,160,0002,900,000-740,00026,000,000
662,160,0002,900,000-740,00025,260,000
672,160,0002,900,000-740,00024,520,000
682,160,0002,900,000-740,00023,780,000
692,160,0002,900,000-740,00023,040,000
702,160,0002,900,000-740,00022,300,000
712,160,0002,900,000-740,00021,560,000
722,160,0002,900,000-740,00020,820,000
732,160,0002,900,000-740,00020,080,000
742,160,0002,900,000-740,00019,340,000
752,160,0002,900,000-740,00018,600,000
762,160,0002,900,000-740,00017,860,000
772,160,0002,900,000-740,00017,120,000
782,160,0002,900,000-740,00016,380,000
792,160,0002,900,000-740,00015,640,000
802,160,0007,200,000-5,040,00014,900,000
812,160,0004,200,000-2,040,0009,860,000
822,160,0004,200,000-2,040,0007,820,000
832,160,0004,200,000-2,040,0005,780,000
842,160,0004,200,000-2,040,0003,740,000
852,160,0004,200,000-2,040,0001,700,000
862,160,0004,200,000-2,040,000-340,000
872,160,0004,200,000-2,040,000-2,380,000
882,160,0004,200,000-2,040,000-4,420,000
892,160,0004,200,000-2,040,000-6,460,000
902,160,0004,200,000-2,040,000-8,500,000

こちらの一覧表を見ても分かるように80歳から介護施設に入居すると86歳の段階で老後資金が底をついてしまいます。夫婦二人世帯や子供がいる家庭であれば身寄りの方に介護を頼むなどで在宅介護という選択もありますが、独身の場合はそのようなことができないので、少しでも介護施設への入居を遅らせることが重要と言えるでしょう。

独身世帯Aさんの老後資金は3000万が理想

Aさんの場合、家賃が10万円と高額なため、家賃の安い地域に引越しをするなどの対策が取れます。それでも、介護施設を一定水準の場所に入居すると、3000万円程度の老後資金が年金収入とは別に必要になります。もちろん、介護が発生せず、老後の生活費を家計調査の水準である15.5万円まで落とすことができれば老後資金は0円でも年金生活で暮らしていくことが可能です。ただ、この家計調査の水準で生活するには住居費を抑える必要があります。

万が一の時のために独身こそ住宅を購入すべき

そこで推奨したいのが、独身こそ住宅を購入してもらいたい。ということです。まず、賃貸と購入を金銭面で比較した時に、毎月の支払額は同じスペックの住宅であれば購入の方が安くなります。65歳までに住宅ローンを完済できるスケジュールを組むことがポイントです。ただ、住宅の活用法は日々の生活費圧縮だけではありません。

リバースモーゲージという選択

先ほどのように介護以外でも、急遽老後資金が不足してしまうケースが出てくるでしょう。また、3000万円もの老後資金を用意できない。という方も多くいると思います。そこで住宅を担保に老後資金の借り入れができるリバースモーゲージを活用する方法があります。リバースモーゲージは債務者が死亡するまでは借入額に応じた金利の支払いだけで元金の返済が発生しません。元金の返済は債務者が死亡後に担保にした住宅を売却することで返済を行える制度です。そのため、相続人がいない独身の方はこの制度が向いていると言えるでしょう。

リバースモーゲージの融資審査が通りやすい物件を購入する

その際に、住宅であれば何でも担保にし融資を受けられる訳ではありません。将来、お住いの住宅は売却されますので資産価値の高い物件しか担保の対象にならないでしょう。そのため、理想は担保価値の高い「土地」を保有していることです。よって、戸建の購入が理想でしょう。

マンションでも担保の対象にしている金融機関が増えていますが、おおよそ15年から20年の築年数までが担保対象になるためマンションを購入する場合は、なるべく60代近くで頭金を増やし購入することが理想でしょう。

リバースモーゲージが活用できなくても売却や賃貸も可能

リバースモーゲージの良いところは制度を活用しても引き続き同じ住宅に住み続けることができる点です。一方で引越しを前提とする場合やリバースモーゲージが活用できない場合は、住宅の売却や賃貸を行うことで老後資金を増やす方法もあります。住宅を活用し老後資金を増やす方法が複数あることから独身の方でも住宅購入を検討することをおすすめします。

葬式費用も事前に準備できることが理想

最後に、お葬式の費用も用意できると理想です。独身といえ兄弟や親族がいるでしょうから、残された親族に迷惑をかけないように葬式費用を200万円程度準備ができると理想です。

Aさんのようにゆとりある老後の生活を送るなら3000万円に加えて200万円の葬式費用を合わせるかたちで準備ができることが理想です。働く期間を長引かせることや現役時代にできる限り3000万円の老後資金を用意するなど事前の準備が必要になりますが、万が一不足する場合は、リバースモーゲージもしくは売却、賃貸することで不足する老後資金を調達する選択肢も用意しておきましょう。









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老後資金の教科書

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