遺族年金の受給資格|お亡くなりになられた方と受給者の要件を解説







遺族年金の受給資格は、受給する遺族年金の種類によって変わります。まずは、遺族年金の種類を確認してみましょう。

遺族年金と加算金の種類

  1. 遺族基礎年金:国民年金と厚生年金加入者が受給することができる遺族年金
  2. 遺族厚生年金:厚生年金加入者が受給することができる遺族年金
  3. 寡婦年金:子がいない国民年金加入者の配偶者が年金の掛け捨てとならないようにするための措置
  4. 中高齢寡婦加算:遺族厚生年金の受給者が受け取れる加算金(女性限定)

主たる遺族年金は①と②の「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」となります。

加えて、遺族年金が受け取れない配偶者が年金の掛け捨てにならないように支給される「寡婦年金」と、遺族厚生年金の加算金である「中高齢寡婦加算」と大きく4つの種類があります。

今回はこの4つの種類についてそれぞれ受給資格をお伝えしたいと思います。

遺族基礎年金の受給資格(国民年金・厚生年金加入者)

遺族基礎年金は冒頭でもお伝えしましたが、国民年金と厚生年金加入者の方が受け取れる遺族年金となります。

ただし、国民年金、厚生年金加入者でも受給資格を満たしている必要がありますので、「お亡くなりになられた方」と「受給者」でそれぞれ受給資格を確認したいと思います。

遺族基礎年金の受給資格|お亡くなりになられた方の要件

まずは、遺族基礎年金の受給資格を満たすために亡くなられた方がどのような要件を満たしている必要があるのか確認を行いたいと思います。

お亡くなりになられた方の要件

  1. 国民年金に加入中であり、年金保険料を規定以上に納めていた
  2. 国民年金に加入している方の住所が日本国内であり、60歳以上から65歳未満であった方
  3. 老齢基礎年金を受給中であった方
  4. 老齢基礎年金の受給資格を満たしている方

①の年金保険料の納付条件は、「国民年金加入者が死亡した月の前々月までの加入期間が2/3以上」あることが前提となります。

加えて、平成38年3月31日までは特例措置として、「国民年金加入者が死亡した月の前々月から1年間遡った期間に保険料の未納がない」場合は、遺族基礎年金の年金加入期間を満たしていることになります。

そのため、まずは国民年金の未納や滞納がない。ことが前提になりますので、ご家族が亡くなった際は必ずチェックするようにしましょう。経済的に年金保険料の支払いが難しい場合は免除や猶予申請を行うことで遺族年金の受給期間を満たすことになりますので、詳しくは「国民年金保険料の免除と猶予|基準・申請方法・必要書類・追納を解説」をご参照ください。

遺族基礎年金の受給資格|受給者の要件

次に遺族基礎年金を受給する方の要件を確認してみましょう。

受給者の要件

  1. 18歳以下の子供がいる(18歳に到達する年度末日までの子供)
  2. 障害者等級1級または2級の認定を受けた20歳以下の子供がいる
  3. 受給者の年収が850万円以下である
  4. 亡くなられた方と生計が同一であった

遺族基礎年金の目的は「子供の支援」という側面が非常に大きい制度です。従って、18歳以下(障害者等級1級または2級の場合は20歳)の子供がいる配偶者もしくは子供が受給対象となりますので、子供がいない配偶者は遺族基礎年金を受給することができません。

また、お亡くなりになられた方によって生計が支えられていた。という事実が必要になりますので、受給者の所得を証明する書類を提出する必要があります。その際に年収は850万円以下である必要があります

加えて、「生計が同一」であるという点にも着目しましょう。

生計が同一ということですので、事実婚のような場合も生計を同一にしていたことが証明できれば遺族年金を受給できるケースがあります。また住まいを同じくしていることが原則となりますが、別居中の場合でも「生計を同一にしている」と見なされるケースもありますので、その点は後ほどご説明をさせていただきます。

遺族厚生年金の受給資格(厚生年金加入者)

遺族厚生年金は、お亡くなりになられた方が厚生年金に加入していることで受給できる遺族年金の1つです。厚生年金は合わせて国民年金にも加入していることになりますので、同様に遺族厚生年金と遺族基礎年金の両方を受給する資格を有していることになります。

遺族厚生年金の受給資格|お亡くなりになられた方の要件

遺族厚生年金の受給資格を満たすために亡くなられた方がどのような要件を満たしている必要があるのか確認を行いたいと思います。

お亡くなりになられた方の要件

  1. 厚生年金に加入しており、規定以上の保険料を納付している方
  2. 厚生年金加入中に初診日のある傷病が原因で5年以内に死亡した方
  3. 1級または2級の障害厚生年金を受給している方
  4. 老齢厚生年金を受給している方
  5. 老齢厚生年金の受給資格を満たしている方

①から③に該当する方は「短期要件」と呼ばれ、加入期間が300ヶ月未満の場合でも300ヶ月厚生年金に加入したとみなし計算を行うことが可能です。

一方で④、⑤に該当する方は「長期要件」と呼ばれ、実際に厚生年金に加入した期間で遺族厚生年金の計算が行われます。

遺族年金の計算方法は「遺族年金の計算方法を解説|早見表・エクセルシミュレーション付き」をご参照ください。

また、お亡くなりになられた方が厚生年金にどのくらい加入している必要があるのかは、「①亡くなられた方の保険料納付期間が国民年金加入期間の2/3以上」であることが原則となっております。

また、遺族基礎年金の特例と同様に平成38年3月31日までは、「②死亡日の前々月から1年の間に保険料の滞納がない」ことを条件に遺族厚生年金の受給が可能になっております。

遺族厚生年金の受給資格|受給者の要件

次に遺族厚生年金を受給する方の要件を確認してみましょう。遺族厚生年金は遺族基礎年金と比較すると受給できる対象が広いことが挙げられます。早速確認してみましょう。

受給者の要件

  • 受給対象者は、配偶者、子、父母、孫、祖父母の順に左から優先順位が高い
  • 配偶者の方は子供がいないくても受給可能
  • ただし、30歳以下の配偶者は5年間のみ受給となる
  • 父母、祖父母の場合は60歳以上からの支給となる

上記の通り、子供がいない配偶者でも遺族厚生年金を受給することが可能になります。また、遺族基礎年金の受給資格である18歳以下の子供がいる場合は、遺族基礎年金も合わせて受給することが可能になります。

生計の主たる者が亡くなった時に年金はいくら下がる?

老齢厚生年金を受給しているご夫婦で生計を支える方が亡くなった場合は、どの程度年金が下がってしまうのか気になるところです。「妻の年金はいくら下がる?夫の死後に受け取れる遺族年金の受給額」にて年金の減少額を紹介していますのでご参照ください。

寡婦年金の受給資格

寡婦年金とは、第1号被保険者として10年間以上、国民年金に加入している方が亡くなった時にその妻(婚姻関係が10年以上)が受給できる制度となります。

性質としては、亡くなった夫が長年支払い続けた年金が掛け捨てとならないように、遺族基礎年金の受給資格がない妻に対して寡婦年金というかたちで支給されることになります。

寡婦年金の受給資格

  • 夫が10年以上国民年金に加入している
  • 子供がいない。もしくは、子供が18歳以上となり遺族基礎年金を受給できない妻
  • 亡くなった夫が障害年金を受給していない
  • 妻が繰り上げ受給で年金を受け取っていない

上記の受給資格を満たしている場合は、残された妻は「寡婦年金」を受給することが可能になります。寡婦年金の受給額は、夫が本来受給できる老齢基礎年金の3/4程度と覚えておきましょう。

中高齢寡婦加算の受給資格

中高齢寡婦加算とは、厚生年金に加入していた夫が亡くなった時に、妻の年齢が40歳から65歳までの間、遺族厚生年金に加算して年金を受給することができる制度となります。

ただし、遺族基礎年金を受給している場合は支給停止となります。また、65歳を超えた場合も妻の老齢基礎年金が受給できるようになりますのでこちらも支給停止となります。

中高齢寡婦加算の受給資格

  • 夫の死亡時に生計が維持されていた妻
  • 夫の死亡時に妻の年齢が40歳以上、65歳未満であること
  • 遺族基礎年金を受給していないこと
  • 夫の厚生年金加入期間が20年以上である

中高齢寡婦加算の支給額は平成29年度では、年額58万4,500円が遺族厚生年金に加算されて支給されております。

別居中でも遺族年金の受給資格を満たすことはできるのか?

遺族年金の受給資格を種類別にお伝えしましたが、原則としては亡くなられた方によって生計を支えられている。という事実が必要になります。生計の維持については受給者全員の年収が850万円以下であれば生計が支えられていたことになります。

一方で、「生計を同一」にしているという定義も合わせて確認する必要があります。この「生計を同一にしている」とは、「原則同居している家族」となります

しかしながら別居している場合でも以下に該当する場合は、遺族年金を受給できるケースがあります。

別居中でも遺族年金が受給できる場合

  • 別居中の配偶者から生活費や治療費などの経済的な支援を受けている
  • 別居中ではあるが、定期的な連絡や訪問がある
  • 夫の暴力(DV)によって避難する必要がある場合
  • 介護などによって別居する必要がある場合

などの個別事情によって別居中でも遺族年金を受給することが可能になる場合がありますので、まずは年金事務所などに相談をし、手続きを行うようにしましょう。

遺族年金の詳しい手続き方法は「【保存版】遺族年金の手続き|万が一に備えて知っておきたい申請方法」をご参照ください。

まとめ

遺族年金の受給資格について解説を行いました。

遺族年金の受給者と受給できる種類を以下にまとめましたのでご自身がどの遺族年金を受給できるのか確認してみましょう。

亡くなられた方受給できる方受給できる遺族年金の種類
自営業18歳未満の子供がいる「妻」遺族基礎年金
子供がいない「妻」寡婦年金または死亡一時金
会社員・公務員18歳未満の子供がいる「妻」遺族基礎年金+遺族厚生年金
子供がいない「40歳未満の妻」遺族厚生年金
子供がいない「40歳から65歳の妻」遺族厚生年金+中高年齢寡婦を加算

また、遺族年金は全額非課税となりますので、所得扱いされないというメリットもありますので「遺族年金が非課税の根拠|扶養家族は所得税や住民税の節約にも繋がる」をご参照いただき賢く節税することも意識するようにしましょう。

最後に、遺族年金の詳しい解説は「遺族年金の仕組み|受給金額はいつまでいくら貰えるのか?」をご参照ください。









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