振替加算とは?600億の年金未払いが発覚した制度を徹底解説







2017年9月13日におよそ10万人の年金が未払いになっていたことを日本年金機構は発表を行いました。この未払い金額は総額600億円近くとなり、1人あたり最大590万円も支給漏れがありました。

そして、この年金未払いの調査対象になったのが「振替加算」と呼ばれる制度になります。

あまり聞きなれない制度ですので、今回の未払い年金の原因と合わせながら「振替加算」について解説を行いたいと思います。

振替加算とは

夫(妻)が65歳となり老齢厚生年金や障害厚生年金の受給に加えて配偶者である妻(夫)が65歳に到るまでは加給年金も合わせて受給することが可能です。

この加給年金は配偶者である妻(夫)が65歳になったときに支給は停止されてしまいますが、妻(夫)が老齢基礎年金の受給ができる場合は、加給年金に代わり老齢基礎年金に加算できる制度として「振替加算」と呼ばれています。

そのため、振替加算は加給年金を受給している方が対象となりますが、一部条件を満たしている場合は加給年金を受給していない場合も振替加算を受給することが可能です。

加給年金の詳しい解説は「加給年金とは?受給条件・金額・申請方法までまとめて解説」をご参照ください。

振替加算の支給漏れ原因

振替加算は、厚生年金加入者であれば自動的に妻の老齢基礎年金に加算されるのですが、今回の年金未払い問題に限っては共済年金加入者の妻が支給漏れの9割となっています。

共済年金加入者は、厚生年金のように自動で振替加算の手続きが出来ないので今回のような支給漏れが発生したと言われています。

なぜ、共済年金は自動で振替が出来ないのかと言いますと、そもそもは共済年金を管理する共済組合と日本年金機構は別々組織となっており、平成27年10月1日に一元化されるまではそれぞれの制度で運営がされていました。今回、年金支給漏れが発覚したのは、この一元化に伴い情報共有の1つとして過去の記録などを調査している中で発覚したと考えられます。

年金保険料は義務であり強制的に徴収される一方で、支給漏れがあっては国民も納得は出来ないでしょうからしっかりと管理をしてもらいたいものです。

振替加算の問い合わせ回線が増設

今回の問題を通じて、日本年金機構は40台の有料電話回線から100台の無料電話回線を増やす対応を行なっております。平日は午前8時30分から午後8時まで土日は午前8時30分から午後5時15分まで受付時間も拡大しています。

もし、該当する可能性がある方は以下の専門ダイヤルから問い合わせを行いましょう。

フリーダイヤル:0120-511-612

振替加算の対象者

では、どのような方が振替加算の対象であるのか。振替加算を受給するための条件をお伝えしたいと思います。

振替加算の対象者

  • 大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれた方
  • 老齢基礎年金以外に老齢厚生年金や退職共済年金を受けている場合、加入期間を併せて240月未満であること
  • 厚生年金保険の35歳以降の加入期間が、以下の表未満であること
生年月日加入期間
 昭和22年4月1日以前 180月(15年)
 昭和22年4月2日~昭和23年4月1日 192月(16年)
 昭和23年4月2日~昭和24年4月1日 204月(17年)
 昭和24年4月2日~昭和25年4月1日 216月(18年)
 昭和25年4月2日~昭和26年4月1日 228月(19年)

振替加算の受給金額

それでは振替加算はいくらの年金が加算されるのか確認してみましょう。

配偶者の年齢が若くなるにつれて加算額が減額される仕組みとなっており、最大の加算額は大正15年4月2日から昭和2年4月1日までに生まれた方で月額1万8,691円となり、最小は昭和40年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた方で月額1,252円となっております。

ご自身の振替加算の受給額は以下の表からご確認ください。

振替加算の手続き

振替加算の手続き方法は年金請求を行う際に、裁定請求書に「配偶者の基礎年金番号・年金コード・配偶者の氏名と生年月日」を記載する必要があります。配偶者が年金受給権を有していない場合は「配偶者の基礎年金番号と氏名及び生年月日」を記載することで手続きが完了します。

この記入が漏れてしまうと振替加算が受給できなくなりますので十分に注意しましょう。

振替加算を受給するために届出が必要な方

振替加算は年金請求時に手続きを行えば原則手続きが不要になりますが、妻(夫)が65歳になった後に夫(妻)が厚生年金の加入期間が240ヶ月を満たした場合や老齢年金を受給できるようになった場合は届出が必要になります。

その際、「国民年金老齢基礎年金額加算開始事由該当届」の提出が必要になります。そのほかの必要書類については以下をご確認の上、最寄りの年金事務所に届出することで手続きが完了となります。

添付書類利用目的
受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本(記載事項証明書)受給する方と配偶者の関係を証明するために必要
世帯全員の住民票の写し(続柄・筆頭者が記載)受給する方と配偶者が生計を同じにしているか確認するため
受給権者の所得証明書または非課税証明書受給する方が配偶者によって生計維持されていること証明するために必要。加算開始日から直近のものを提出する。

振替加算は離婚をするとどのような扱いになるか

65歳以降に加給年金が振替加算に切り替わった場合は引き続き振替加算は支給されることとなります。(一部例外あり)

一方で65歳未満で加給年金を受け取っていた場合は、離婚によって加給年金は支給停止となります。そのため、離婚するならば65歳までは待ったほうが良いと考えることが出来ます。

ただし、振替加算は上記の受給額一覧でお伝えした通り最大でも月額1万円程度です。とても振替加算だけでは生活できないでしょう。

加えて、第1号被保険者の場合は「平成29年度|国民年金(老齢基礎年金)の満額支給は年額77万9300円」でもお伝えしましたが、満額でも77万9,300円となり、月額で6.5万円程度になります。

これでは離婚によって老後破産をしてしまう可能性もありますので定年後の離婚は慎重に検討をした方が良いと言えるでしょう。

振替加算のまとめ

振替加算について、600億円の支給漏れの原因や制度について解説を行いました。受給できる条件は複雑ですが、基本的には老齢年金の請求時に「裁定請求書」に記載することで受給は可能になりますので、記載漏れが無いようにすれば問題ないでしょう。

今回、日本年金機構は「振替加算」について過去の記録の洗い出し確認を行いましたが、まだ「加給年金」については確認していないようです。

そのため、今後も未払い年金が発覚する可能性が高いことからご自身が本来受給できる年金額を正しく受給できているのか、今一度確認することをおすすめします。









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