老後資金の貯め方|資産運用とリバースモーゲージどちらがおすすめ?







「貯蓄から投資へ」。NISAや確定拠出年金(iDeCo)の導入開始に代表されるような投資を推奨する動きから、あらたに資産運用を始めてみようと思った人も多いでしょう。ただ、将来使う可能性の高い必要資金を、無理に資産運用に回すのも非常に大変なことでしょう。今回は資産運用とリバースモーゲージを対比して、どのような方法で老後資金を貯めるといいのかを考えます。

資産運用って結局何をすることなのか

テレビやインターネットなどのメディアで「資産運用」という言葉を耳にしない日はありません。日々の生活で余ったお金をきちんと銀行口座へ貯蓄していた人にとっては、資産運用の経験がないと、まるで時代の波に乗り遅れたような印象さえ持ちます。

資産運用という言葉は、「資産を運用すること」です。資産とはいわゆる自分のもの。現金、貯金、不動産、証券すべて資産です。さまざまな顔を持つ資産を適切なタイミングで適切な種類に換え、価値を増やしていく動きが資産運用です。

例えば、ここに現金があります。不動産が上昇しそうだと判断すると、「上昇する前に」不動産に代えます。実際に不動産が上昇し、「もうこれ以上あがることはない」と判断すると売却して現金に戻します。資産運用とはこの上昇・下落の流れを読み、タイミングを読んで仕掛けることをいいます。

資産運用のメリット

それでは資産運用には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

資産運用のメリット

  • 資産を増やすことができる
  • インフレリスクを軽減できる
  • 資産運用に必要な様々な知識を習得することができる

資産を増やすことができる

30年後に老後を迎えるのに、このまま貯金していても老後資金が足りない。そのような時、資産運用によって資産を増やすことができます。株や投資信託という一般的な方法にとどまらず、金などの動産、FX(外国為替証拠金取引)やビットコイン(仮想通貨のひとつ)まで。

ただ、資産運用はリスクとリターンの関係があることを必ず頭に入れましょう。10,000円のお金が12,000円になる可能性の一方で、8,000円になることもあり得ます。プラスになる(リターンを生む)可能性と同様に、マイナスになる(リスクを生む)可能性があるのも資産運用の特徴です。

インフレリスクを軽減できる

インフレ、とはインフレーションの略。物価の上昇を意味します。物価の上昇の一例は、100円のリンゴ1個が200円に上昇すること。これはすなわち、200円出さないとリンゴが購入できないことを意味します。200円がリンゴ2個分の価値だったものが、りんご1個分の価値に「下落」したということです。

このようなインフレが進むなかで、現金を持っていると「損」をします。現金以外の株や証券に換え、100円分の証券が200円分の証券になった場合、インフレリスクを軽減したことになります。これは資産運用のメリットのひとつです。

様々な知識を習得することができる

資産運用は資産を増やすために、様々な知識を必要とします。それは時に政治や経済のニュースにとどまらず、スポーツの結果に影響することも。なぜスポーツの結果が資産運用と関係するのでしょうか。

一例を挙げてみましょう。スペインにある強豪のサッカーチームがあり、ヨーロッパ全体の大きな大会で優勝しました。このチームのユニフォームは胸の部分(サッカーで一番目立つ部分)にアメリカの航空会社の社名がデザインされています。この航空会社A社はスポンサーです。

チームが優勝を決めた試合はテレビとインターネットで全世界に放映されることから、A社に入る宣伝効果はチームに投じているスポンサー料と比較にならないほど高いともいわれています。するとA社の株を購入したり、A社が含まれるファンドの投資信託を購入したりする人も増えます。これによりA社の株や投資信託で資産運用をしていた人は、大きく資産を増やすことができるという構図です。

もちろんこの恩恵を受けるためにはこのチームが優勝してから注目しても遅いです。充実した戦力を整備し、「今年は例年以上の成績が望めるかもしれない」という時点で株を買い、歓喜のときを待つ粘り強さが必要です。

資産運用のデメリット

一方の資産運用のデメリットについてです。

資産運用のデメリット

  • 不確実性がある
  • 損失を発生した際に「下限」がない
  • 専門家によって意見が異なる

不確実性がある

「資産運用はお金を殖やすことができる」といわれますが、運用の失敗によっては元本を大きく割ってしまう可能性があります。それは投資をする際の知識不足や分析不足の場合もありますが、たとえば2016年のイギリスによるEU脱退を決議した国民投票(Brexit)のように、投資に参加している多くの人がとても予想できない状況になる可能性も秘めています。資産運用の持つ「不確実性」といえるでしょう。

損失を発生した際に「下限」がない

資産運用には「損切り」という言葉があります。投資で「買い」の判断をするにあたって可能な限り最善の判断をしても、損失を生んでしまうことはあります。株価にしろ投資信託の基準額にしろ、上昇と下落を交互に繰り返すもの。

時に許容範囲を超える下落に対して、「今後は上昇するはずだ」という根拠のない確証を持つ投資家がいます。結果、「下限」なく更なる下落を招き、取り返せない損失となってしまうことも。投資によってはFXのロスカットのように、一定程度損失をすると一時的に投資が止まってしまうセーフティネットも設定されていますが、この下限のなさは資産運用の持つデメリットのひとつと言えます。

専門家によって意見が異なる

アドバイスを求めて様々な専門家に意見を求めるとき、専門家によってまったく意見が異なることも多々あります。このとき、「専門家がこう言ったからここに投資しよう」というスタンスだと、投資結果が下落しても納得できません。

もちろん下落に対して専門家が結果に責任を持って貰えるわけではありません。投資はあくまでも自分の責任であることを認識した上で行うようにしましょう。特に最近はインターネットで気軽に「専門家の意見(その意見が本当に専門家によるものなのかの真偽は不明)」に触れる時代であり、アドバイザーの多さに余計に迷ってしまう人もいますので、個人の考えをしっかりと持つことは非常に重要です。

リバースモーゲージのメリット

このように、資産運用にはメリットとデメリットがありますが、既に所有している資産で老後資金を確保する方法もあります。その代表格がリバースモーゲージです。リバースモーゲージとは、居住中の住宅を担保として抵当権を設定し、金融機関から老後資金を借りる手段です。

いくら借りることができるかは予め住宅を査定するため、老後資金として借り入れできる額を老後の前にある程度は把握することができます(不動産査定の見直しで利用中に評価額が下がる可能性はあります)。リバースモーゲージを利用して亡くなった場合の返済方法は、住宅を引き渡すことで遺された家族が返済義務を負わないという特徴もあります。

リバースモーゲージのリスクには注意

債務者が返済のリスクを負わないとお伝えしましたが、リバースモーゲージのリスクの1つにある不動産価値の下落により不動産の売却益が融資額を下回ってしまうと、不足する分の返済責任が生じてしまうので注意が必要です。その他にも長生きリスクや金利上昇リスクもあるのでしっかりと確認をしましょう。

リバースモーゲージのリスクを徹底解説!長寿化・金利上昇・不動価値下落の3大デメリットと対策方法を理解する!

2017.04.04

リバースモーゲージのデメリット

リスクに加えて、リバースモーゲージのデメリットは、居住用住宅を担保とするため、基本的に築年数の経過した物件に抵当権を設定します。評価額が低く、リバースモーゲージだけでは老後資金の一部にしかならない場合も出てくるでしょう。そのうえで契約者が亡くなった際に物件を引き渡さなければならないため、遺された家族は「住む場所を確保」しなければならないのもデメリットのひとつです。ただ、リバースモーゲージの契約を配偶者に引き継がせることができる商品や配偶者が1年から3年程度物件に引き続き居住できる猶予期間が設定されている商品もありますのでご自身に合った商品を選択するようにしましょう。

資産運用とリバースモーゲージ、どちらを選ぶといいか

両者のメリットとデメリットをお伝えしました。どちらも現在資産を運用することで老後資金を生み出すものですが、特徴は異なります。現在資金を原資にリスクをとってお金を殖やす資産運用と、住宅の評価額を算定することで老後資金を入手するリバースモーゲージ。どちらを選ぶかの基準を考えてみましょう。

資産運用に苦手意識があるか

資産運用は専門的な情報を理解する必要があるなど一定の勉強が必要になります。新たに勉強することに抵抗がある方や苦手意識がある方はリバースモーゲージ向きです。リバースモーゲージの算定額に不足している部分のみ資産運用するのも賢い方法です。

退職金や年金の受取額が充実しているか

退職金や確定拠出年金の受取額がある程度見込める場合は、長期の安定銘柄で資産運用を行う方が良いでしょう。リバースモーゲージも利用可能ですが、その場合は子供に住宅を相続させる予定が無い場合などに限定して活用すると良いと言えます。

両者を組み合わせる

両者を組み合わせる柔軟さも大切です。リバースモーゲージを利用してどのくらいの老後資金を得られるかは事前に査定することができます。そのうえで資産運用がどれくらい必要かを算出し、リスクの高い運用か、元本保証など減らないことを意識した方法か、戦術を固めるようにしましょう。

まとめ

資産運用のメリットとデメリット、リバースモーゲージの特徴をお伝えしました。自分にあった方法を探し、特徴を踏まえたうえで老後のお金と向き合っていきましょう。









ABOUTこの記事をかいた人

工藤 崇

株式会社FP-MYS代表取締役社長兼CEO。ファイナンシャルプランニング(FP)を通じて、Fintech領域のリテラシーを上げたいとお考えの個人、 FP領域を活用して、Fintechビジネスを開始、発展させたいとする法人のアドバイザーやプロダクトの受注を請け負っている。Fintechベンチャー集積拠点Finolab(フィノラボ)入居企業。執筆実績多数。東京都千代田区大手町。