リバースモーゲージを利用するにあたって、「金利」は大きな要素です。リバースモーゲージは「借入金」を発生させるため、当然返済に関しては元本のほか、金利を付加して返済することとなります。特に現在のように未曽有の低金利にあるときは、金利タイプをどのように選択するかによって返済負担は大きく変わります。リバースモーゲージの金利の種類について解説を行います。
金利の種類とは?
金利は、「固定金利」と「変動金利」があります。現時点で基準金利と借り手の属性によって定めた適用金利を一定期間継続するのが固定金利です。一方で半年に1度の割合で(金融機関によって異なります)見直した適用金利を都度設定する方法が変動金利です。
利率も金融機関によって異なりますが、変動金利の方が固定金利より1%から2%安くなっています。これは、それぞれの金利タイプによる「リスクへの考え方」です。
固定金利と変動金利の違いは「リスク対応の考え方の違い」
固定金利はこの先数年、金利が上昇する時勢になっても(金利がどのように決まるのかは記事後半で解説します)、当初の金利を継続します。一方、変動金利は金利が上昇すると適用金利も上昇するという、上昇リスクを受け入れなくてはなりません。
もちろん、現状の適用金利から「金利が下がる」可能性もあります。変動金利は適用金利を下げることができる一方、固定金利は契約当初の金利を継続しなければなりません。
この2つは「どちらがいい」ということはありません。ここ数年は未曽有の低金利だったため、「これ以上金利が下がる可能性は低いだろう」ということで、金融機関も専門家も固定金利を推奨していました。今後金利が上がったとしても、現在の金利レートが維持されるためです。
なお、固定金利、変動金利の2つに分けられるものばかりではなく、「3年固定変動金利」など、固定金利+変動金利の商品もあります。この商品の意味は、契約後の3年はまず固定金利を適用し、その後変動金利を適用するというものです。
みずほ銀行の変動金利タイプは「フリー口」と「目的口」
実際にリバースモーゲージには金融機関によって異なりますが、みずほ銀行では変動金利タイプを分けて「フリー口」と「目的口」があります。老後資金の用途制限がないことはリバースモーゲージの大きな特徴ですが、そのなかでも用途を予め申告する方法と、申告なしで自由に使える方法によって金利は大きく違います。以下はみずほ銀行の金利とそれぞれの定義です。
フリー口
金利3.475%(年利)
自由(事業性資金・有価証券投資資金・その他金融商品を除きます)。借入記事に金融機関で用途確認。 目的口
金利2.975%(年利)
老人ホームへの入居保証金・自宅購入資金・自宅の増改築や改装・入院医療介護資料・納税資金等。借入前にあらかじめ金融機関で用途確認。
東京スター銀行の預金変動型とは?
東京スター銀行の変動金利は、預金連動型という制度を採用しています。預金連動型とは、借入金全体ではなく、預金となっている部分のみ金利がかかるというもの。金融機関からのお金は普通預金口座に入金しますので、そこからお金を引き出さない限りは、金利がかかることはありません。
お借入れ適用金利=基準金利+調整幅2.8%
ケーススタディ
3,000万円―500万円(引き出し分)=2,500万円(利息がかからない)
500万円×3.5%(このときの利率と仮定)=175,000円(年利)
金利確定について
ここからは金利がどのように確定していくのかについてお伝えしていきます。
金利の確定には「短期プライムレート」と「長期プライムレート」という2種類があります。違いを見ていきましょう。
短期プライムレートについて
まずは「短期プライムレート」です。金融機関(都心部であればメガバンク、地方であれば大手地銀)が財務状況の良い優良顧客に対して、短期でお金を貸し出すときに、適用される利率を短期プライムレートといいます。
この金利は、「市中金利」に準じます。市中金利は、日本銀行(日銀)が決定する政策金利に準じます。金融機関から各企業へ融資される場合は、短期プライムレートに各企業の属性が加味されます。貸出金利の高い企業は、この加味分が高いといえます。
つまり、様々な場面で使われる金利の「基準」となる金利が短期プライムレート。メディアなどでは略して「短プラ」と言われることも多いです。また、様々な基準となることから「基準金利」ともいわれます。住宅ローンやアパートローン、教育ローンの基準ともなり、リバースモーゲージのローンの基準もこの短期プライムレートが適用されます。
現在の短期プライムレートは?
参照:日本銀行
長期プライムレートについて
一方の長期プライムレートについて。長期プライムレートはその名の通り、金融機関が信用度の高い企業に対して長期で貸し出す際の利率です。概ね「長期」とは、1年以上の期間を指します。
長期プライムレートは短期と比べてそれほど知名度が高くはなく、利率の公表もみずほ銀行や新生銀行、あおぞら銀行など一部の金融機関にとどまっています。
現在の長期プライムレートは?
参照:日本銀行
リバースモーゲージにおける金利の考え方
リバースモーゲージにおいて、借入金の返済が発生するのは契約者が亡くなったときです(希望者には金利を都度払いする商品を扱う金融機関もあります)。
遺った配偶者は担保に設定した居住用物件の引き渡しをもって返済としますが、利息が想定以上にかかった場合はこの時点で現金などほかの資産にて支払うケースがあります。なお、配偶者の生活を守るため1年程度居住用住宅に継続して住むことのできる商品や、配偶者を契約者として再設定し、リバースモーゲージの借入期間を継続する商品もあります。
もちろん、配偶者が契約者として継続する場合など、借入期間が長くなる場合は金利の対象となる期間も長くなることに注意が必要です。契約者としては契約時に想定していた以上の金利がかかるのは避けたいもの。その時に活用できるのが、老後資金として「引き出した分」にのみ金利がかかる「預金連動型」という商品は安心感があります。
今後の金利はどうなるのか
今後の金利レートがどのように変わっていくかは、専門家のあいだでも予測がわかれるところです。このように金利の推移は大々的にメディアで報じられることも多いです。現時点ではないものの、「将来的にリバースモーゲージの利用を考えたい」という方は、最新の金利情勢を随時チェックするようにしましょう。
またその際は、検討しているリバースモーゲージの商品が「どの時点の金利を適用するのか」を合わせて確認するようにしましょう。商品によっては契約したときの金利を適用するものもあれば、実際に融資実行となるタイミングの金利を適用する商品もあります。
まとめ
リバースモーゲージの金利種類を徹底解説しました。老後資金を借りる期間は10年15年といった長期間にわたります。どのような金利を採用するか、どの程度の利率を採用するかはとても大きな問題です。情報を収集し、賢く活用するようにしましょう。