リバースモーゲージの相場を解説!「担保物件」・「融資額」・「金利」の基準を理解する







リバースモーゲージは市況の状況により影響を受けやすい商品であることから、「リバースモーゲージの相場」を理解し適切な老後の資金計画を立てられる知識を持つことは非常に重要となります。そこで今回はリバースモーゲージの非常に重要な「担保物件」・「融資額」・「金利」の3点の相場を解説していきます。

担保物件の評価相場

リバースモーゲージは、居住用物件を担保にできるからといって、「どのような物件でも担保対象になる」というものではありません。リバースモーゲージの審査において評価されない居住用物件は担保としての価値がないと見なされ、金融機関も資金を貸し出すことを躊躇います。

リバースモーゲージは時価として物件を見ることが一般的ですが、不動産評価額の相場は1,000万円前後の時価が必要といわれています。

居住用物件は年々「価値」が下がっていくもの。たとえ購入時が5,000万円の不動産でも、何十年も居住し、家屋の各所に経年劣化が目立つ物件だと、実は時価で1,000万円を割ってしまっていることもあります。

時価を算定してはじめて「我が家にはこれだけの価値しかないのか」と驚いてしまうことも多いでしょう。もちろん金融機関の判断によって可否はありますが、いずれリバースモーゲージの活用を検討している方はいまのうちに、著しく時価が低くなっていないか一度確認することをお勧めします。

リバースモーゲージの「不動産評価値」の算出基準に注意

ただ、これは不動産物件そのものの値付けだけではなく、「相場値」ということに注意しましょう。不動産の物件価格は物件単体で算出するものではなく、近隣の物件や同タイプの物件などと比較しながら値段が決定していきます。

不動産の市況が停滞しているときには、リバースモーゲージの評価額もまた下落傾向になりますので注意が必要です。

融資額の相場

次に、「居住用物件の相場」に加え、「融資の相場」があります。融資額の相場は戸建とマンションで異なります。その理由は、リバースモーゲージの担保は土地が中心。という点が挙げられます。

建物も担保力を持ってはいますが、土地を自由に処置できない物件は担保として適格とはいえません。そのため、”土地にほかの抵当権がついている場合”や、”土地と建物の所有者が異なる貸地の場合”、”マンションなど区分所有の場合”は、リバースモーゲージの担保として金融機関が貰い受けても処理できないため、そもそもリバースモーゲージの対象とならないことがあります。この基準は金融機関によって異なりますが、その点を含め、戸建とマンションの融資相場を解説していきます。

【戸建(土地・建物)のケース】

戸建(土地+建物)の場合は、概ね居住用物件の評価額に対して、7割程の融資額が相場になります。そのため「居住用不動産の評価額=融資額」とはなりませんので、ここを勘違いしてしまうと老後の計画に影響が出てしまうでしょう。

【マンションのケース】

「不動産評価額1,000万円程度」や「融資相場の7割」という数字は、担保物件が「一戸建て」の場合が中心です。マンションの場合の融資相場は物件評価額の5割程度になるケースが多いようです。

言い換えればマンションをリバースモーゲージの担保として考える場合、5割程度の価値「しか」生み出さないために通常の借入金の方が少ない負担というケースも多くあります。

借入金を発生させるマイナス面と、物件の担保評価が低くなるマイナス面を天秤にかけて考えたいところ。リバースモーゲージ「ありき」では考えず、様々な選択肢から考えることが大切です。

 

実際に老後資金を借りるタイミングにおいては、検討段階で「どのぐらいの担保能力がある物件なのか」を見積もりするようにしましょう。その時には老後資金の「キャッシュフロー表」をつくり、リバースモーゲージの利用によって受け取れる資金と同等のものか(可能なら少し余裕があるか)を判断するようにしましょう。

今が利用すべき?リバースモーゲージ金利相場

リバースモーゲージを利用するにあたって、もうひとつ気になる相場が「金利」です。リバースモーゲージの金利を決めるのはそれぞれの金融機関ですが、日本銀行が定める金利によって基準が定められています。ここ数年は、前例のないほどの低金利。

更に昨年導入された「マイナス金利」によって、地方銀行から借り手に対して貸し出す金利も史上類を見ない低金利になりました。1カ月あたりの金利は大きな違いがなくても、10年20年お金を借りると積み重ねは大きな「差」になります。

リバースモーゲージの場合、居住用物件の引き渡しをもって返済となるため、実際に元本を支払うことは基本的にありません。ただ、金利が高いときに利用したリバースモーゲージは、担保物件の売却値だけでは元本+金利の借入分に不足してしまうこともあります。

この場合は、利息分を現金やほかの担保物件にて支払わなくてはなりません。そのとき、どれくらいの金利で利息が蓄積されているかは、大きな負担感の違いになるため注意が必要です。当然、借入の金利が低い場合と、底を打って金利が上昇した後では負担感は大きく異なります。

リバースモーゲージを利用する利点

「担保物件」・「融資額」・「金利」の相場を解説しましたが、通常の借り入れの方が自分は良いかもしれない?と思った方もいらっしゃると思います。ではなぜ、リバースモーゲージを活用する方が増えているのか。メリットを見てみましょう。

リバースモーゲージのメリット 

  • 住み慣れた住宅を手放すことなく老後資金を確保できる
  • 自分が亡くなった後も「猶予期間」がある
  • 老後資金は使い道が限定されておらず融資条件も比較的緩やか(資金用途に柔軟性がある)
 

老後資金を確保できるという点では通常の借入金と一緒ですが、老後生活のなかで返済の必要がないという点、および老後資金の使い道が限定されていないというのが大きなメリットと言えるでしょう。

最新リバースモーゲージについて

これら「物件の〇割の借入可能額」という数字は、リバースモーゲージの知名度が上昇し、広く使われるようになってきた最近も大きな変動はありません。ただ、新しいリバースモーゲージの商品として、動産所有者と金融機関のあいだに「一括借り上げ業者」が入り、物件を貸し出すことによって定期収入を生じさせ、所有者の代わりに金融機関に通常返済をするものが誕生しています

本来、不動産所有者は居住用物件を引き渡すことで金融期間への「返済」とします。その部分の仲介役に借り上げ業者が入り、不動産所有者とは定期借地契約を締結します。

これは定期借家のため、不動産所有者の持つ所有権は消滅しません。また、自身で賃貸借物件として貸し出すものではないため、賃借人とのやり取りや、管理業者としての役割が重荷となるものでもありません。ケースバイケースですが、借り上げ業者が不動産所有者に対して「保証金」を支払うケースもあります。なお、保証金は定期借家の「義務」ではないため、発生しない契約もあります。

常陽銀行「住活スタイル」の商品を見ると、このスキームは地方銀行と自治体がタッグを組んで取掛っていることがわかります。その理由は、この新型タイプが「地方創生」となることです。

地方を悩ませる約820万戸の空き家問題

この背景には、地方を悩ませる全国約820万戸の空き家問題があります。平成25年統計局の「住宅・土地統計調査」によって報じられ、大きな社会問題となりました。この統計調査は5年ごとに行われているため、次回予定は平成30年(2018年)。一部の専門家の予想によると、次回調査では大台の1,000万戸を超えるのではないかといわれています。

前回の調査でクローズアップされた空き家問題は、行政も対応を開始しています。所有している土地に建物が建設してある場合、固定資産税や都市計画税の軽減対象となります。ところが相続で実家を承継した場合、この軽減税率が原因で「建物を解体せずに残しておく」家族が増えました。

これが原因で、地方部の治安が悪くなったり、シャッター街が増えてしまったりとマイナスの影響を地方が被ることとなりました。

金融機関が活用するリバースモーゲージ

金融機関としても、リバースモーゲージで引き受けた不動産物件が人気のないものであれば、その物件の活用方法としても限られてしまいます。それを避けるため、金融機関がリードをとって、定期借地スキームの提供を開始しました。

前項の新型リバースモーゲージは茨城県の金融機関の提供ですが、空き家問題は地方銀行、そして地方自治体にとって大きな課題。今後は各地に広がっていくものと思います。また、今回だけではなく、社会のニーズを受けて新型のリバースモーゲージも増えていくことが考えられます。 

まとめ

まずは物件の「相場」として、長年住んできた物件がどれくらいの価値になるのか算出するところからリバースモーゲージの検討を始めるようにしましょう。この記事でお伝えした「物件の7割」や、「マンションだと(戸建ての)約半値」というのはそれこそが「相場」です。一度算出して、信頼のおける価格でその後の計画を組み立てることが大切です。

現在の「相場」を踏まえたうえで、金利など周辺状況を、「相場」を鑑みて、リバースモーゲージを活用するようにしましょう。









ABOUTこの記事をかいた人

工藤 崇

株式会社FP-MYS代表取締役社長兼CEO。ファイナンシャルプランニング(FP)を通じて、Fintech領域のリテラシーを上げたいとお考えの個人、 FP領域を活用して、Fintechビジネスを開始、発展させたいとする法人のアドバイザーやプロダクトの受注を請け負っている。Fintechベンチャー集積拠点Finolab(フィノラボ)入居企業。執筆実績多数。東京都千代田区大手町。