リバースモーゲージの問題点やリスクを超えて注目される理由







リバースモーゲージは1981年に東京都武蔵野市が導入を開始しましたが、長く日本では浸透してきませんでした。しかしながら近年、リバースモーゲージの注目が急速高まっています。老後の生活に一体どのような変化があったのでしょう?今回は、リバースモーゲージが近年再び注目される理由について解説を行います。

リバースモーゲージの問題点とリスク

まず、リバースモーゲージの問題点やリスクとして一般的に語られるのは、「長生きリスク・金利上昇リスク・不動産価値の下落リスク」の3大リスクと呼ばれるものです。こちらの記事でもリバースモーゲージのリスクについて説明を行いましたが、改めて債務者のリスクと対策を振り返ってみましょう。

リバースモーゲージのリスクを徹底解説!長寿化・金利上昇・不動価値下落の3大デメリットと対策方法を理解する!

2017.04.04

リバースモーゲージの問題①:長生きリスク

長生きリスクとは、債務者が長生きすることで金融機関が設定した融資極度額の上限に達してしまうリスクを指しています。仮に、リバースモーゲージの融資極度額が3000万円だった場合、20年間で3000万円の融資額を利用するつもりで、毎月リバースモーゲージの資金を活用し生活をしたとします。

そして20年後、リバースモーゲージの融資極度額の3000万円を全て使ってしまっても債務者がまだ生きている場合、この後の生活費はどうのように工面するのか?という問題が発生します。これが「長生きリスク」と呼ばれるリバースモーゲージの問題点です。

長生きリスクの対策

老後の収入は、リバースモーゲージの借入金に加え、年金収入もあると思います。リバースモーゲージで借り入れした資金を使用する際はなるべく年金収入は貯蓄に回すなど計画的に老後資金を活用することが最善の対策と言えるでしょう。

リバースモーゲージの問題②:金利上昇リスク

リバースモーゲージは借入金のため、毎月金利の支払いが発生します。現在は、非常に低金利状態のため、そこまで金利支払いが負担にはなりませんが、この金利が上昇した場合に、毎月の金利支払いの負担が増加するリスクがあります。これを「金利上昇リスク」と呼ばれるリバースモーゲージの問題点です。

金利上昇リスクの対策

金利上昇リスクの一番の対策は、金利上昇の影響を最小限に留める方法が一番良いでしょう。東京スター銀行が提供している「預金連動型」の金利は、実際に引き落としをした分のみにしか金利が発生しません。先ほどの融資極度額が3000万円の内、実際に500万円を引き落としすると、この500万円にしか金利は発生しないというものです。そのため、仮に金利が上昇した場合でも影響を最小限にすることができます。

リバースモーゲージの問題③:不動産価値の下落

不動産の評価額により、リバースモーゲージの融資極度額が決定しますが、各金融機関も1年単位で融資極度額の見直しを行うケースが多いです。

これは、不動産価値の変動に合わせて融資できる上限金額を変更するのですが、この際、契約時に3000万円の評価だった不動産が、5年後に2800万円まで値下がりしてしまい、結果として借り入れできる金額が減ってしまうことを「不動産価値の下落リスク」と呼ばれるリバースモーゲージの問題点です。

不動産価値の下落リスクの対策

不動産価値の下落リスクの対策は担保にする不動産が、「土地」を中心とすることでリスク対策をしています。建物の場合は、時間の経過と共に資産価値が下落してしまいますが、土地は市場の変化はありますが、経年劣化はしないため不動産価値の下落リスクに対して有効です。また、最近ではマンションをリバースモーゲージの担保に設定できるケースが増えておりますが、マンションの場合は大都市圏のみを対象にすることで資産価値を担保する傾向があります。

問題点やリスクを超えてリバースモーゲージを契約する理由

リバースモーゲージのリスクに対して対策を挙げましたが、リスクが無くなる訳ではないため完璧な対策とは言えないでしょう。それでも近年、リバースモーゲージが注目される理由には、老後の生活環境が厳しくなっていることが挙げられます。

総務省のデータによると現在、日本の人口の4人1人は65歳以上であることが発表されました。この割合はさらに増加することが予測されており、2042年には2人に1人が高齢者になると日本の将来推計人口(平成29年推移)の調査から発表がされました。この高齢者の増加はさらに老後の生活環境を厳しくする原因になりますので詳しく見てみましょう。

社会保障制度の崩壊が予想される

社会保障制度において実際に給付された支出を社会保障給付費と呼びますが、大きく「年金」、「医療」、「介護」が主な内訳です。2015年の社会保障給付費は115兆円の支払いがされていますが内訳を確認しましょう。

社会保障給付費内訳給付額
年金費用約56兆円
医療費用約37兆円
介護費用約22兆円

この社会保障制度は、国民の負担によって成り立つのですが、少子高齢化の昨今、国民負担率が上昇してしまい財源の確保が困難な状態になっています。年金の支給年齢の引き上げや年金カット法案、高額医療費の自己負担増加など高齢者の生活を苦しめる法改正が続いている背景には、この社会保障制度を持続させるために必要な法改正と言えるでしょう。それでも老後の生活に不安が募りますし、実際、老後の生活を見直す必要も出てくるでしょう。

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高齢者の生活保護世帯が50%を超える実情

老後の生活が今後さらにが厳しくなることが予測されますが、今現在も決して余裕がある訳ではありません。先日、厚生労働省から発表がありましたが、65歳以上の生活保護受給率が50%を超える状況になっています。高齢者の生活が成り立たない理由に家計の4大支出である「住宅費」「保険料」「教育費」「自動車費」の支払いを中心に現役時代に十分な貯蓄を作ることができないことが挙げられます。詳しくはこちらの記事をご確認ください。

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2017.05.10

高齢者の不動産資産に注目が集まる

このように老後の生活における実情は非常厳しい状態です。一方で高齢者世帯の90%以上が保有する資産に「不動産」があります。この「不動産」は資産と言っても、ただ住むだけでしか活用されていないケースが大半でしょう。

その眠る不動産資産をより有効活用しようとリバースモーゲージに再び注目が集まっているといえます。ただ、利用者の増加に伴い、先ほどお伝えしたリバースモーゲージの問題点やリスクに対して、国の整備を求める声も出ています。そこで国が現状リバースモーゲージに対してどのような取り組みを発表をしているか確認しましょう。

リバースモーゲージにおける国の取り組み

2015年には国土交通省が管轄する「安心居住政策研究会」にて住み替えなどの促進を目的にリバースモーゲージの取り組みを推進すべきとの発表がありましたが国土交通省に加えて経済産業省もリバースモーゲージを推進したい理由がありますのでそれぞれ確認してみましょう。

国土交通省が推進する理由

国土交通省は日本の「空き家問題」を解決したい。という意図があります。現在、日本の空き家率は13.5%と毎年徐々に増えていいます。この空き家が増えると、犯罪の増加、倒壊など危険性、住宅の価値低下など複数の問題を引き起こします。リバースモーゲージは、債務者が死亡後、住宅が売却されますので市場に中古住宅が流通するため、この空き家問題の解決策としても役立つと考えられています。

経済産業省が推進する理由

経済産業省はリバースモーゲージを通じて、中古住宅流通量が増加することで経済が活性化することを期待しています。また、国土交通省が推進する長期優良住宅の普及は、中古住宅市場の規模拡大に繋がり、関連するようにリバースモーゲージの普及にも繋がることを想定しているでしょう。加えて、リバースモーゲージで調達した資金を高齢者が使用することで経済の活性化も期待できます。

まとめ

リバースモーゲージの制度整備はまだまだ課題の残る状況ではありますが、国もリバースモーゲージが普及することで様々な課題解決に繋がります。そのため、制度整備が進められる可能性は高いと言えるでしょう。加えて、老後の生活がより厳しい環境になることは明白ですので、まずは一度、リバースモーゲージの利用について金融機関に相談することが良いでしょう。









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老後資金の教科書

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