リバースモーゲージでマンションを建て替え|合意形成に必要な資金問題を解決させる







国土交通省の調査によると、2015年の段階で築年数が40年以上のマンションは全国に51万戸が存在し、10年後の2025年には3倍の151万戸まで増えると予測がされています。老朽化したマンションは設備面が衰え老後の生活に悪影響を及ぼすことや空室が増え犯罪のターゲットにされるなどの問題を秘めています。しかしながら、この老朽化したマンションを実際に建て替えした件数は平成26年まででわずか1.5万戸しかありません。およそ全体の3%程度しか建て替えが実現していない状況です。今回はこのマンションの建て替え事情について解説を行います。

なぜマンションの建て替えが進まないのか

築年数が40年を越えれば共有設備を含めて老朽化が進むことや、そもそもエレベーターがない。という物件も多いでしょう。老後の生活においてエレベーターのない物件に住むことはそれだけでリスクと言えますが、このような老朽化したマンションの建て替えはなぜ進まないのか解説をします。

居住者の合意形成ができない

まず、マンション特有の問題でもありますが、居住する方には、高齢者の方から若い方まで様々な生活環境の方が暮らしています。そのため、マンションの建て替えに求める利害関係が異なることから建て替えにおける合意形成が取れないケースが多いようです。建て替えには居住者の4/5の承認を得ることで実行させることができますし、反対派の権利を買い取ることもできますが、それでも意見を合致させるというのは難しいことです。

建て替え資金が用意できない

その反対派の意見としてやはり「建て替え資金」をどう用意するのか?という部分は非常に問題になります。1度建て替えをしようと思うと、居住者の負担は2000万円近くに登るケースががあります。この場合、現役世代ならば住宅ローンが組めるかもしれませんが、高齢者世帯ではそもそもローンが組めないケースが大半でしょう。そのため、建て替えはしたいが資金がなく、承認することができないという居住者もいます。

耐震性の低いマンションの建て替えは喫緊の課題

南海トラフ巨大地震や首都直下地震等の巨大地震発生が予測される中、居住者の安心安全を守るためには老朽化したマンションの建て替えは喫緊の課題にもなっています。そこで「マンション建替法」が改正され、一般のマンションと比較すると敷地の売却制度が新設されたことや容積率の緩和が受けられるようになりました。

 一般のマンション耐震性不足のマンション
改修
  • 区分所有法による改修→3/4以上の賛成
耐震改修促進法による改修
→過半数の賛成、容積率等の緩和特例
建替え
  • 区分所有法の建替え(個別売却)
  • マンション建替法の建替え(権利変換)→4/5以上の賛成
マンション建替法改正で措置

  • マンション敷地売却制度の創設→4/5以上の賛成
  • 容積率の緩和特例
取壊して住み替え・民法原則に基づき全員同意が必要

マンション敷地売却制度の概要

対象になるのは先ほどお伝えした、「耐震性の低いマンション」であることが前提ですが、「マンション敷地売却制度」は、先ほどの大規模改修や居住者による建て替えも実現しない場合に、マンションと敷地を第三者に売り渡すことができる制度です。買い受けた第三者がそのマンションと敷地をどのように扱うかは買取人が決める形となります。そのため、マンションを手放すことにはなりますが、耐震性の低いマンションで建て替えもできない状況から脱することができるでしょう。

容積率の緩和

容積率の緩和メリットは、マンションの部屋数を増やすことで入居者の数を増やし、その部屋の購入資金をマンション建て替え資金に活用することができます。したがって、現在の居住者の建て替え資金の負担が軽減される制度となっていますので、建て替え資金が不足し、合意形成が進まない場合は非常にメリットのある選択になるでしょう。

耐震性が低くても対象にならないケースも

マンション建替法の改正は耐震性の低いマンションが対象とお伝えしましたが、国が定める諸条件に合致した物件のみになりますので、全てが対象ではないことをご理解ください。

一般マンションの建て替え資金はどうするのか?

先ほどの容積率「緩和」はなどのマンション建替法の優遇措置はありませんが、容積率に余裕のあるマンションであれば部屋数を増やすことが可能です。これによってマンションの建て替え資金の負担を軽減させることもできるでしょうが、実際、そのようなことができるマンションは希のようです。そこで、リバースモーゲージの活用が注目されています。

リバースモーゲージを活用しマンションの建て替え資金を用意

リバースモーゲージは制度上、住宅を担保に借り入れを行いますが、返済は債務者が亡くなった後に担保にした不動産を売却し返済するため、存命中は金利の支払いのみになります。そのため、日々の生活に負担をかけずに老後資金を借り入れすることができることに加え、住宅ローンよりも審査が通りやすい特徴があります。

マンションの建て替えだからこそリバースモーゲージが有効な理由

リバースモーゲージの担保にマンションを設定する条件に「築年数」があります。およそ15年から20年程度の築年数を目安にするケースや債務者が100歳時点での築年数が45年以下でないと担保として設定できないケースなど、なかなかハードルの高い条件になっている実情があります。その点、建て替えを行う場合は、一度解体するため、新しいマンションに住むことが可能です。したがって、リバースモーゲージでマンションを担保にする条件を一つクリアすることが可能です。

建て替えたマンションを担保に住み替えも可能

さらに、リバースモーゲージの資金用途は「原則自由」としている金融機関が多く、建て替え後のマンションを担保に資金を借り入れし、その資金で老人ホームへの住み替えなども可能になります。そのため、建て替え直後は、元気で引き続き現在のマンションに住むことができても、身体的な問題で老人ホームや介護施設への入居が必要になった場合に建て替えたマンションを担保に住み替えを行い、快適な老後の生活を手に入れる選択もあります。

リバースモーゲージは55歳以上から活用できるのが一般的

リバースモーゲージの制度は高齢者の老後資金問題の解決策であることから、多くの金融機関は55歳から65歳以上でなければ制度の活用ができないケースが大半です。したがって現役世代はリバースモーゲージの活用ができませんので、住宅ローンなどを活用することとなります。

まとめ

リバースモーゲージの借入金を活用し、マンションの建て替えを行う方法について解説を行いました。もちろん、戸建のリフォームや建て替えにもリバースモーゲージの資金を活用することは可能ですので、老朽化した物件やバリアフリー構造ではない住みにくい住宅などはリバースモーゲージを活用し、より快適な老後の生活を営めるようにすることをおすすめします。









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老後資金の教科書

老後資金の教科書は老後の生活をより豊かにするために、金融や老後に関する法改正などを中心に解説記事を掲載しています。 リバースモーゲージ、介護保険問題、年金カット法案、高額医療費の自己負担の増加など難しい制度を分かりやすくご紹介します。