【リバースモーゲージ契約者が死亡】配偶者が住宅に住み続けるための相続条件を解説







いま住んでいる住宅を担保に入れることによって老後資金を得られるリバースモーゲージ。契約者が亡くなったとき、担保設定をしていた居住用住宅は当然引き渡すことになりますが、配偶者にとっても長年住み続けたマイホームであることは変わりません。

希望をすれば、配偶者は引き続きリバースモーゲージの契約を継続し住宅に住むことができるのかを解説いたします。

契約者が死亡したときの手続き

リバースモーゲージの契約者が死亡したとき、それまで借り入れていた老後資金を返済する必要があります。既に契約時に居住用住宅を担保設定しているため、住宅を引き渡すことで借入金は返済完了となります。リバースモーゲージの債務者死亡後の手続きは金融機関の担当者が動いてくれる場合が多いのでそこまで不安になる必要はないでしょう。

契約者の配偶者は、もちろん夫(妻)を送り出したあと、相続の手続きを進めて、自身の住処を確保する必要があります。このとき担保となっている物件は、担保設定により金融機関の所有と変わるため相続の対象資産とはなりません。終身保険の保険料などは比較的早く受け取ることができるため、当面の生活費と賃貸物件の家賃としましょう。とはいっても引っ越し代なども必要となるため、可能であれば長年住んでいた住宅に引き続き住みたいという配偶者もいます。

債務者死亡後も1年程度住み続けることができる商品もある

配偶者が継続して居住を続けたいとき、フォローできる商品もあります。リバースモーゲージの契約時に、1年程度を上限に、引き続き住宅に居住できるとする特約を付けることができます。もちろん配偶者が亡くなるまで居住できるものではないため、次の住処を探さなければいけないのですが、相続時は様々な手続きがあり慌ただしいもの。その時に自分の住処まで考えなくていいというのは大きなメリットです。

相続税が発生するとき、相続税の申告は「相続があることを知ってから10カ月以内」とされています。つまり、1年経ては相続の概ねの手続きが終わり、配偶者は次の段階を考えることができます。居住用住宅が引き渡されず、1年程度住めるとすれば、配偶者は落ち着いて「その後」を考えることができます。子世代の家に同居するのも、一人用の物件に住み直すのも有効な方法です。

配偶者が住み続けられる条件と契約を継続できる商品

また、契約者が亡くなったときに「住宅以外の方法」で借入金を返済することで、引き続き住宅に居住することもできる場合があります。相続時には資産状況により現金や証券など不動産以外の資産を受け取ることができますが、それを充当して返済原資とすることができます。このように「ほかの」返済原資を確保することで、希望した配偶者は長く住み慣れた家への居住を続けることができます。

また、契約者が亡くなったあとに、リバースモーゲージの契約を配偶者が引き継ぐことのできる商品があります。この場合は配偶者が亡くなった時点で居住用物件の担保引き渡しになりますので、配偶者は「引渡し後の住まい」に悩まなくて済みます。

AさんからBさんに居住用物件の所有権が移る場合は「相続資産」になるため注意が必要です。配偶者に相続資産が移る場合の特例については以下の「配偶者への相続特例」と「居住用財産の贈与」という2つの特例がありますので、しっかり活用するようにしましょう。なお、相続とは契約者が亡くなってからの財産移動を指し、相続税の対象。贈与とは生前の契約者から配偶者への財産移動を指し、贈与税が課税されます。

配偶者の税額軽減

配偶者の生活保障をするという観点から、遺産総額に配偶者の相続分を乗じた金額が1億6,000万円を下回る場合は1億6,000万円まで。超える場合も法定相続分までは、相続税額が無税となります。

夫婦間の居住用財産の贈与特例

婚姻期間20年以上で、居住用財産を取得する金銭の贈与が夫婦間で行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円までの贈与が非課税となります。

なお夫婦間の居住用財産の贈与特例は、「取得する金銭の贈与」となっていますが、これは法律用語であり、契約者の所有名義を配偶者に移すには、「配偶者が取得する」という用語の使い方になります。実態は夫婦間の名義移動です。

ケーススタディ

55歳のときにリバースモーゲージの利用を決めたAさん夫婦。先にAさんが亡くなったときも妻のBさんが長年住み慣れた住宅に引き続き住めればと、「Aさんが亡くなったあともBさんが居住できる」リバースモーゲージの商品を選択しました。

Aさんが亡くなったとき、リバースモーゲージの契約者はBさんに移動するため、引き続き居住することができます。また、AさんからBさんへの相続も1億6,000万円までが無税となるため、Bさんは税金の負担もなく日常生活に戻ることができました。

契約時に「亡くなったあと」を想定することが大切

いずれにしても、契約者が亡くなったあとに希望した金融機関に伝えても対応が難しい場合が多いです。可能な限りリバースモーゲージの契約時に「配偶者が遺されたときの住処」を想定し、金融機関とのあいだで交渉をするようにしましょう。

また、1年を過ぎて引き渡すときには当然ですが、新しく住む場所の賃料が必要となります。リバースモーゲージを活用してご夫婦元気なうちは問題ありませんが、契約者が亡くなったときには「転居が発生する」と考え、早い段階から貯蓄しておくことが必要です。

生前準備しておいた方がいいこと

  • 現金の確保
  • 子世代の意思確認(一緒に住めるかどうか。特に子供の配偶者の意思は大切)
  • 遺言の作成(不動産が配偶者にスムーズに財産承継できるようにしておく)

まとめ

その視点からも、リバースモーゲージを利用する際は、夫婦ともに納得のうえ契約をすることが望ましいといえます。特に契約者が亡くなったあと、配偶者がどうしていいかわからないことのないように、可能な限り綿密なシミュレーションをすることが大切です。

二人とも元気なうちに、老後計画と合わせて「リバースモーゲージの利用計画」を組み立てるようにしましょう。









ABOUTこの記事をかいた人

工藤 崇

株式会社FP-MYS代表取締役社長兼CEO。ファイナンシャルプランニング(FP)を通じて、Fintech領域のリテラシーを上げたいとお考えの個人、 FP領域を活用して、Fintechビジネスを開始、発展させたいとする法人のアドバイザーやプロダクトの受注を請け負っている。Fintechベンチャー集積拠点Finolab(フィノラボ)入居企業。執筆実績多数。東京都千代田区大手町。